2018.03.08

創立100周年を迎えたミドー、その時計作り哲学とは?

「世界は変わってもミドーの時計作りは変わらない」

写真中央の時計は、1920年代に発表のラジエーターグリルをかたどったモデル。12時位置にリューズを装備したケースデザインは今でも斬新。

1918年11月11日、第一次世界大戦の休戦協定が結ばれた歴史的な日に設立された、スイスのウォッチメーカー、ミドー。創立100周年記念モデル第1弾として発表された「コマンダー ビッグデイト」は、1950年代に一世を風靡したミドーの防水時計「オーシャンスター」の流れを継承しつつ、ブランドが誇る最新自動巻きムーブ、キャリバー80をベースにビッグデイトを搭載。中国・上海で行われた創立100周年記念式典において実機が初公開された。その会場で、フランツ・リンダー社長に新作とブランドの今後について伺った。

中国・上海で行われたミドー100周年記念式典にて。写真中央がフランツ・リンダー社長。1967年スイス生まれ。1995年にミドーに入社。2002年よりプレジデントを務める。

Q 100周年記念でどうして「ビッグデイト」なんでしょうか?

もちろん、100周年記念として「トゥールビヨン」もいいのですが、ミドーらしくない。我々の時計作りの哲学は「見せる時計」ではなく「実用的な時計」。1918年の創業以来、その哲学はぶれることはありません。80時間パワーリザーブ、GMT、クロノメータークラスの高精度とさまざまな角度から実用性を追求して新作を発表してきました。その結晶ともいえるのが、今回発表のビッグデイトです。

コマンダー ビッグデイト/自動巻き。径42mm。SSケース(ローズ色PVD加工)。カーフストラップ。5気圧防水。11万8000円。

Q 新作でもっとも苦心したのはどこでしょうか?

キャリバー80は、パワーリザーブ80時間というミドーの歴史の中でもトップクオリティを誇るムーブメントです。このムーブメントの性能を損なうことなく、かつ限られたスペース内にビッグデイト用の機能を搭載することがもっとも苦労した点です。

Q ミドーの価格帯には多くの時計ブランドがひしめいています。勝算は?

正直、外装の作りこみ、ムーブメントのクオリティという点でミドーの価格帯での競争相手はいないと思っています。スウォッチ グループ内でも、エレガンス=ロンジン、ハイテク=ティソという中で、ミドーは「トラディショナル」というテイストの違いがあるので、競合するとは思っていません。

Q 次の100年はどんな時計を?

ビッグデイトに続く周年記念モデルとして、アーカイブから2モデルを復刻します。どちらも、当時のオリジナルロゴを使用しています。ひとつは、1939年発表モデルの復刻「マルチフォート デイトメーター リミテッドエディション」。もうひとつは1959年発表モデルの復刻「コマンダー シェイド スペシャルエディション」。前者はポインターデイト搭載、後者は、防水性の高いモノコック構造のケースが当時非常に革新的でした。100年にわたる、ミドーの過去からのバトンをしっかり受け継ぎつつ、世界が変わっても、時代を超越した時計を皆様に提供していければと思っています。

マルチフォート デイトメーター リミテッドエディション/創業年にちなみ世界限定1918本。自動巻き。径40mm。SSケース(ローズ色PVD加工)。カーフストラップ。50m防水。予価15万円。4月以降発売予定。

コマンダー シェイド スペシャルエディション/自動巻き。径37mm。SSケース&ミラネーゼブレス。50m防水。予価9万4000円。4月以降発売予定。

お問い合わせ先:ミドー/スウォッチ グループ ジャパン Tel.03-6254-7190