2019.06.26

【ロングセラー変遷記】ブルガリ オクト「丸型でも、角型でもない、唯一無二のケースデザイン」

ローマ建築のエッセンスを取り入れ生まれ変わった八角形ケース

有名デザイナーの手による複雑系モデルとして誕生した「オクト」。ブルガリのもとでどのように生まれ変わり、どんな変遷を辿ったのか?

Original model オリジナルモデル

個性的外観はそのまま力強くシンプルに再生
ブルガリ銘柄として初登場した初代オクト。ジェラルド・ジェンタ作の八角形ケーススタイルを継承しつつ、よりスポーティにリデザインされ、機能もデイト付き3針のシンプル仕様に。巻き上げ効率のよいボールベアリング式ローター、ツインバレルを備えた自動巻きCal.BVL193を搭載する。

 

初のブレス採用タイプ
デビュー翌年の2013年に、バーゼルワールドで発表されたSSブレスレット装備モデル。いっそうスポーティなテイストとなり、オン・オフを問わず着用シーンの幅を広げた。自動巻き。径38㎜。SSケース&ブレスレット。100m防水。参考商品。

装着性抜群の個性派デザイン
SS製のブレスレットを採用した以外は、文字盤&ケースデザイン、搭載ムーブメントなどに大きな変更はなし。ワイドで細めのコマが連なるブレスレットは、スタイリッシュにしてしなやか。着け心地のよさも申し分ない。

 

ハイビートなクロノ
新生オクト初となるクロノグラフ「オクトヴェロチッシモ」。名機「エル・プリメロ」ベースのハイビートキャリバーBVL328を搭載する。4-5時位置にデイト表示。自動巻き。径41.5㎜。SSケース。アリゲーターストラップ。100m防水。参考商品。

計器感が漂う文字盤仕様
ラッカー仕上げのブラック文字盤に30分計、12時間計、スモールセコンドを配備。外周のインジケーターは1/10秒計測に対応した緻密な仕様に。また、ケースデザインに合わせた角型のプッシュボタンを取り入れた。

 

大胆な意匠に気品が宿る独創の多角形フォルム

ブルガリを代表するシリーズの「オクト」。その発表は2012年だが、原型となるモデルがあった。それが’04年、ジェラルド・ジェンタ名義で登場した「オクト」である。ブルガリ傘下で初のリリースとなった本作は、画期的デザインを数多く手がけてきたジェンタらしいオクタゴン(八角形)とラウンドを融合したケースが特徴。多角形の外装を、鍛造ではなく切削で作り上げたのも当時は斬新だった。

一方で、複雑機構を搭載した一部の好事家向けだった本作をテコ入れすべく、’07年にブルガリがオクトプロジェクトをスタート。そこで抜擢されたのがイタリア出身のブルガリ ウォッチデザイン センター シニア ディレクター、ファブリツィオ・ボナマッサ氏である。彼はローマ様式の建築をモチーフに、八角形フォルムをリデザイン。機能面でも複雑系を廃し、シンプルな3針に仕上げた。こうして幅広い人気を得る新生オクトが誕生したのだ。

その後もオクトは、スタンダード機能をベースにしたスポーティなモデルを中心に展開する。’13年にスタイリッシュなブレス仕様が加わると、翌年には初のクロノグラフを発表。これは名機エル・プリメロのハイビートを活かした高機能が自慢の1本だ。さらに、’17年にはDLC加工により強靭なボディと精悍な外観を獲得したオールブラックモデル、’18年にはケースのみならず文字盤にまでチタン素材を使ったオールチタンモデルも登場している。

最新仕様を取り入れながらも気品を失わないのは、やはりその大胆な八角形フォルムがあってこそといえよう。

 

精悍なブラックモデル
2017年の「オクト ウルトラ ネロ」。ダイヤモンド・ライク・カーボン(DLC)加工のケースに、自社製"ソロテンポ" キャリバーBVL191を搭載。3時位置にデイト表示。自動巻き。径41.5㎜。SSケース。ラバーストラップ。100m防水。81万円。お問い合わせ先:ブルガリ ジャパン

外観の個性と実用性が向上
ダイヤモンド並みに表面硬度を高め、傷が付きにくくなるDLC加工をケースに施し、ポリッシュ仕上げの黒文字盤にはファセット加工のブラック針を装備。精悍かつエレガントなオールブラック仕様を実現した。

 

オールチタンのクロノ
オクトシリーズの原点を見つめ直す「オクトオリジナーレ」のクロノグラフ。チタン製のケース&文字盤を備え、毎時3 万6000振動のハイビートキャリバーBVL328を搭載。自動巻き。径41.5㎜。チタンケース。ラバーストラップ。100m防水。112万円。

軽量・硬質素材で外装を統一
ケースや文字盤などの外装素材に、軽量ながら高い硬度をもち、耐熱性、耐腐食性にも優れたチタンを採用。デザインは「ヴェロチッシモ」を踏襲するが、いちばんの変更点はタキメーター付きベゼルを導入したこと。

 

コンビケースの最新作
今年発表された「オクト オリジナーレ ソロテンポ」。DLC加工のSSと18Kピンクゴールドを融合したコンビ仕様のケースを採用。自社製"ソロテンポ" キャリバーBVL191を搭載。自動巻き。径41.5㎜。ラバーストラップ。100m防水。94万円。4月発売予定。

豪華でスポーティな黒×金
ラウンド型ベゼルとケースの土台部分はDLC加工のSS製で、八角形部分とリューズは18KPG製。さらに、ブラック文字盤にゴールドの針&インデックスを配すことで、力強くも上品なラグジュアリースポーツを体現した。

 

[時計Begin 2019 WINTERの記事を再構成]
文/岡崎隆奈 構成/市塚忠義