2018.08.19

【シャネルの工房へ行ってきた #3】高難度なムーブメントへのダイヤモンドセッティング

 

レディスならではの超ゴージャス仕様

自社製ムーブメント第2弾は、カメリアを象ったレディス用のスケルトン。ジュエリーセッティング仕様も用意され、絢爛豪華に淑女の腕を彩る。

歪みが許されないダイヤセット「Calibre 2.」
角型のCal. 2.を丸い「マドモアゼルプリヴェ」に搭載するため、今年は丸型へと変更。カメリアを象る大小の円を重ねた細いフレームが一切歪まないようダイヤモンドをセットするのは、至難の業だ。

 

高難度な設計と宝飾技術で30周年を祝す美を創造

シャネルの時計製作は、1987年に発表された「プルミエール」に始まる。その30周年となる昨年、自社製ムーブ第2弾が搭載された。地板とブリッジとを大小の円を重ねて造作し、シャネルにとって重要なモチーフであるカメリアを表現。その円の中に香箱や歯車、テンプが収まり、円形のフレームで固定される今までにないスケルトン構造が創造された。機構はシンプルな2針。しかしキャリバー1.同様にデザイン先行で、歯車の位置やサイズが予め規制されていたことから、設計の難易度は極めて高かったという。また2005年にG&F シャトランに設けられた宝飾アトリエでは、地板のフレームにジェムセッティングする職人の姿があった。細く立体的なフレームにダイヤモンドを敷き詰める作業は、これまた高難度。最上級品質で、カメリアの花が眩い煌めきを放つ。

 

パリのクリエーションを実現する高い設計力
パリのクリエイション スタジオによるスケッチ。円が幾層にも重なっていると分かる。奥にあるのは、後述するCal. 3.を搭載する今年の新作。

 

ダイヤモンドが煌めくスケルトンムーブ
四角い外枠も含み地板を構成するフレームすべてにダイヤモンドをセッティング。その数は246個もあり、作業には約90時間を要する。

 

超一流の宝飾職人がスイスの工房に集う
G&F シャトランの宝飾工房では熟練の職人が腕を振るう。彼らが使う工具にも年季が入る。ハンマーは、バゲットダイヤのセット用。

 

栄えある賞にも輝く新スケルトン
プルミエール カメリア コレクション スケルトン
カメリアを象る地板とブリッジは、ADLCでブラックに。針にはダイヤモンドがセットされ、黒を背景に煌めきが際立つ。ジュネーブ ウォッチ グランプリのレディス部門賞を受賞。手巻き。ケース37×28.5㎜。18KWGケース。サテンストラップ。1530万円。

 

[時計Begin 2018 SUMMERの記事を再構成]
文/髙木教雄 構成/市塚忠義