2019.07.17

【ヴァシュロン・コンスタンタンの工房へ行ってきた!!】美観にこだわるジュネーブブランドの矜持とは?

どんなパーツも美観にこだわるジュネーブブランドの矜持

技術だけではなく美的センスも超一流

創業は1755年。ジュネーブを代表する老舗メゾンの時計には、美と技術力の高さとが融和する。その最終的な製作を担う本社工場では、美観を整え、複雑さを極める手業が受け継がれてた。

 

行ってきたのはココ!

ジュネーブ(プラン・レ・ワット)本社工場

ファクトリー自体の美しさもこだわる
多くの時計メーカーのファクトリーが集結するジュネーブ郊外のプラン・レ・ワットにある現・本社工場は、2004年に完成。その外観は極めてモダンで、全景は半分に切ったマルタ十字を模している。

パーツ製造も担う明るい現代建築
エントランスは、巨大な吹き抜け空間に。ガラスが多用され、建物内は実に明るい。設計はスイス人建築家ベルナール・チュミ。2015年に増築され、クロノグラフなどのパーツ製造も行うようになった。

 

コンプリ系パーツは微調整できるよう気持ち大きめに作るのが鉄則だった!!

 

精巧さと美しさとを複雑機構に与える職人技術

1790年から複雑機構を手掛け、今も世界一複雑な時計の製作者といわれるヴァシュロン・コンスタンタン──ジュネーブ伝統の美しさに加え、精巧さを極める高い技術力を有しているのが、名門と呼ばれるゆえんだ。

本社工房内のアトリエでは、メゾンが誇るコンプリケーションやグランドコンプリケーションの組み立てに、真摯に向き合う時計師たちの姿があった。一人が一つを最後まで責任を持ち、精度調整やダイヤル付け、ケーシングまで行っているという。モデルによっては600個を超えるパーツ類は、ジュウ渓谷にある第2の工房「ヴァシュロン・コンスタンタン・バレ・ド・ジュウ」で精密に製造され、プラン・レ・ワットの工房に届けられる。

それらのパーツは、組み立てながら正確かつ滑らかに動くよう、噛み合わせ具合などがその都度確かめられ、不具合を解消するために時計師の手で度々手直しされる。そして完璧な動きが確認された後、すべてバラされ、それぞれに手仕上げを施してから再度組み立て、再現性が確かめられている。こうした微調整や手仕上げで削り取られる分を考慮して、ジュウ渓谷の工場でパーツを製造する際は、ほんのわずかに大きく作られている。むろん大きすぎては、不具合が増えてしまう。その微妙な匙加減に、複雑機構を長く手掛けてきた名門ならではのノウハウが潜む。

また別のアトリエでは、クロノグラフのムーブメントが組み立てられていた。一人の時計師が担うのは、脱進機の組み込みまで。最終工程であり、かつ精度への影響が最も大きいテンプの組み込みは専門の技術者が行い、完璧な歩度へと調整されていた。クロノグラフやベーシックなムーブメントのパーツ製造部門は、ジュネーブの本社工場内にある。もちろん、これらのパーツも丁寧な仕上げが施され、老舗メゾンならではの優れた美観が育まれる。

 

大量のパーツは順番通りに整理
グランドコンプリケーションに必要な600を超えるパーツは、仕切りのある専用のケースに一つずつ組み立てる順番通りに整理される。写真は、トゥールビヨンの組み立て途中。パーツケースには、手順の数字が大きく書かれている。

何度も微調整を繰り返し、正常な動きを得る
いかに精巧に切削加工されていても、パーツが多いグランドコンプリケーションでは組み立て中に度々手直しが必要となる。特に動きも形状も複雑なミニッツリピーター用のパーツは繰り返し微調整しなければ、正常に働いてはくれない。固定具はテープで保護。

クロノグラフのパーツ製造も本社が担う
別の工房では、クロノグラフが組み立てられていた。これに使われるパーツは、増築された製造部門で作られている。地板やブリッジはもちろんハンマーやテンプ、脱進機、さらにひげゼンマイまで自社製造できる設備と技術を持つ、マニュファクチュールだ。

 

ドレッシィな複雑時計

パトリモニー・エクストラフラット・パーペチュアルカレンダー
センターローターでの薄型自動巻きの 名機Cal.1120と薄型の永久カレンダー・モジュールとを組み合わせ、ケース厚を8.96㎜に抑えた。ドーム型の風防とダイヤルとで、装いはクラシックだ。自動巻き。径41㎜。18KPGケース。アリゲーターストラップ。840万円。

 

複雑機構も薄型を実現

トラディショナル・ トゥールビヨン
ドーフィン型針とバーインデックスによるシャープなダイヤルの下には、ペリフェラルローターの採用で薄型化した自動巻きトゥールビヨンが潜む。ムーブメント厚は、わずか5.65㎜。自動巻き。径41㎜。18KPGケース。アリゲーターストラップ。価格要問い合わせ。

 

[時計Begin 2019 SUMMERの記事を再構成]
文/高木教雄 写真/岸田克法 構成/市塚忠義