2019.02.02

【IWCの工房へ行ってきた!!】2020年までに時計ムーブメントの自社製造率80%が目標

2000年以降、IWCの自社製ムーブメントは多様性を増してきている。新たな製造拠点を得て、高品質を維持しつつさらなる量産を目指す。

今後はベースキャリバーを徹底強化

地板はすべて自社製造
自社製ムーブのベースとなるキーパーツの地板は、すべて自社で高精度に切削加工される。写真は、原材料の真ちゅうから削り出された様子。装飾加工はもちろん、ガルバニックメッキも工場内で行える。

 

自社ムーブの比率を高めオリジナリティを発揮する

新ファクトリーの1階には、ムーブメントの製造・組み立て部門が集約されている。エントランスからファクトリーに入るとすぐに微細なビスなどを製造する旋盤が並び、続いてプロトタイプ製造部門があり、通路を挟んだ反対側では地板とブリッジを切削加工していた。またパーツの焼き入れ・焼き戻し、さらにメッキも自社で行える設備を持つ。ペルラージュやコート・ド・ジュネーブといった装飾部門も、むろんあり、機械と手作業との併用で優れた美観と量産性とが両立されている。

現在IWCは、キャリバー52系、59系、69系、82系、89系の5つの自社製ムーブメントを持つ。それらのモデルへの搭載比率は、現在47%。これを2020年までに80%までにすることを目標とし、工場はフル稼働している。

 

複数を精密に切削加工
ブリッジも自社製造。1枚の部材で同形のブリッジを複数個切削加工した後、切り取る。切る前のブリッジは、大量にストックされ、量産体制が整っていることが分かる。

 

機械と手仕事で装飾
上/専用のマシンを用い、ブリッジにコート・ド・ジュネーブ装飾を施す。下/高級機の装飾は、手作業。一つずつ丁寧に、小さなブリッジにペルラージュ装飾をする。

 

自社製ムーブは新工場でより高品質になります
「ムーブメントのパーツ製造と組み立てのすべてが、1カ所に集約されたのは、IWCとしてはこの新工場が初です。各部門間のコミュニケーションがより密になり、問題解決も早くなって一層の高品質が得られるようになるでしょう。生産効率も格段に高まりました。自社ムーブ比率を80%にする体制は、整っています」
ステファン・イーネン氏
IWC設計開発部門 責任者

クルト・クラウス氏の愛弟子。時計師として働いた後ムーブメント開発に携わり、'06年から設計開発部門統括に。

一斉送り可能な暦表示
ポルトギーゼ・パーペチュアル・カレンダー

7日巻きのCal.5200系に、永久カレンダー・モジュールを重ねた。7-8時位置には四桁の西暦表示を装備。暦表示はリューズで一斉に送れ、操作性にも優れる。自動巻き。径44.2㎜。18KWGケース。アリゲーターストラップ。437万5000円。

伝統の意匠と7日巻き
ポルトギーゼ・オートマティック

スモセコと対称位置に並ぶパワーリザーブ計は7日間をカウント。7日巻きの名機Cal.5200系搭載モデルだ。アラビア数字や針の形状は、1939年誕生の初代からの継承。自動巻き。径42.3㎜。SSケース。アリゲーターストラップ。133万円。

<strong>一斉送り可能な暦表示<br />ポルトギーゼ・パーペチュアル・カレンダー</strong><br />7日巻きのCal.5200系に、永久カレンダー・モジュールを重ねた。7-8時位置には四桁の西暦表示を装備。暦表示はリューズで一斉に送れ、操作性にも優れる。自動巻き。径44.2㎜。18KWGケース。アリゲーターストラップ。437万5000円。
<strong>伝統の意匠と7日巻き<br />ポルトギーゼ・オートマティック</strong><br />スモセコと対称位置に並ぶパワーリザーブ計は7日間をカウント。7日巻きの名機Cal.5200系搭載モデルだ。アラビア数字や針の形状は、1939年誕生の初代からの継承。自動巻き。径42.3㎜。SSケース。アリゲーターストラップ。133万円。

 

 

[時計Begin 2019 WINTERの記事を再構成]
写真/岸田克法 文/髙木教雄 構成/市塚忠義