2019.03.04

【IWCの工房へ行ってきた!!】生産効率アップのために時計作りの合理的システムを導入

順路に沿って移動すると、時計製作の過程が順を追って理解できる。
見学者に優しいレイアウトは、部門間の連携もしやすく、効率の向上をもかなえる。

 

清浄な環境でアッセンブリー
アッセンブリー部門は、クリーンルームに。1時間に5万㎥の空気が、フィルターによって清浄される。ここではベースキャリバーの組み立てを行い、複雑機構の組み立てとケーシングは、本社の工房で行う。

 

見学しやすい工場は作業しやすく効率もアップ

新工場を訪れた見学者は、パーツ製作→デコレーション→組み立て→検査と時計製作の過程が順を追って見られ、理解しやすいレイアウトになっている。また組み立て部門こそ、クリーンルームとするためガラスの壁で囲われているが、他にはほとんど場内をへだてる壁はなく作業が見やすい。これは見学者に配慮した結果……というだけではない。工程順に各部門が並んだオープンスペースの工場は、部門間の連携がしやすく、作業効率が格段に上がるのだ。また単純な繰り返し工程となるムーブメントのピン打ちや穴石の設置などは作業精度を均一にするため、自動化マシンを導入。建物をガラスで囲ったのも美観のためだけでなく、明るい作業環境を得るためだ。見に行ける新工場は働きやすく、生産効率も高い。

 

パーツ在庫もカンバン方式
ムーブメント・パーツの在庫管理も、一目で分かるカンバン方式を導入。フルオープンのストック棚は、必要なパーツが見つけやすく、作業効率の向上にも大いに役立つ。

 


一次精度検査はマシンで
ムーブメント精度の一次検査には、専用マシンが大活躍。ロボットアームが、正確にムーブメントを移動させ、スムーズかつ正確に自動で精度チェックを行ってくれる。

 

クリーンで使い勝手がいいまさに理想的な工場です
「本社は製作の現場でもあるべきとの考えから、複雑機構とケーシングの各部門を残しています。それでもなお、新工場のレイアウトも建物構造自体も、従来より格段に作業しやすくなっています。白紙の状態から作り上げたので、理想的な工場になりました。新工場が担う、プロトタイプの製作の開発速度も上がるでしょう」

マルクス・ビューラー氏
IWCムーブメント組み立て部門責任者

組み立てに加え、設計にも長く携わってきたムーブメントのスペシャリスト。新工場完成に伴い、現職に就任した。

 

 

初代へオマージュを捧ぐ
ポートフィノ・ハンドワインド・ムーンフェイズ

8日巻きのCal.5900系に、1984年誕生の初代ポートフィノが備えていたムーンフェイズを装備。577.5年で1日の誤差という高精度で、月の満ち欠けを正確にダイヤルに表す。手巻き。径45㎜。SSケース。アリゲーターストラップ。135万円。

気品あるレトロ感を創出
ポートフィノ・ハンドワインド・エイトデイズ

Cal.5900系搭載のベーシック機。先を細く長く伸ばしたリーフ型の針や、12時のローマ数字が気品ある印象を醸し出す。ボックス型のサファイアガラスで、レトロな装い。手巻き。径45㎜。SSケース。アリゲーターストラップ。105万円。

<strong>初代へオマージュを捧ぐ<br />ポートフィノ・ハンドワインド・ムーンフェイズ</strong><br />8日巻きのCal.5900系に、1984年誕生の初代ポートフィノが備えていたムーンフェイズを装備。577.5年で1日の誤差という高精度で、月の満ち欠けを正確にダイヤルに表す。手巻き。径45㎜。SSケース。アリゲーターストラップ。135万円。
<strong>気品あるレトロ感を創出<br />ポートフィノ・ハンドワインド・エイトデイズ</strong><br />Cal.5900系搭載のベーシック機。先を細く長く伸ばしたリーフ型の針や、12時のローマ数字が気品ある印象を醸し出す。ボックス型のサファイアガラスで、レトロな装い。手巻き。径45㎜。SSケース。アリゲーターストラップ。105万円。

 

 

[時計Begin 2019 WINTERの記事を再構成]
写真/岸田克法 文/髙木教雄 構成/市塚忠義