2018.11.07

IWCの“ウチの薀蓄”「ウチはSSとチタンの価格差、ほぼナシ!」

チタン加工の長い経験で優れたノウハウを蓄積

軽量で、医療用にも使われるアレルギーフリー材でもあるチタンは、時計ケースとして適している。大型時計であっても軽く着け心地が良くなり、また弾性が高く、耐衝撃性を向上させてもくれる。近年、多くのブランドが採用する理由だ。しかし多くの場合チタンケースは、同じモデルのSSケースよりもかなり高額となる。

チタンケースの値段が高くなるのは、加工の難しさに起因する。切削加工もプレス加工も、さらに溶接でさえも、SSよりもはるかに難しく、専用のノウハウと工具が必要となる。加工を困難とするのは、チタンの長所の裏返し。優れた弾性は、加工時にたわみやすく加工精度を落とす。粘り強くもあり、これが切削時に刃への負担を大きくする。さらにチタンの切り粉は、燃えやすい。だからチタンを扱う工作機械には、専用の消火機能の取り付けが義務付けられていて、設備投資もかさむ。

IWCはチタンの加工において、スイスのどの時計ブランドよりも長い経験を持っている。同社初のチタンモデルが誕生したのは、1980年。ポルシェ・デザインとのコラボで実現し、その2年後には、有名なオーシャン2000がチタンで作られた。以来、チタン加工技術の研鑽に努め、ノウハウを蓄積してきた。チタン加工に長け、自社製造しているから、IWCのチタンケースは、SSケースとの価格差が小さい。同じSSモデルに数万円プラスするだけで、チタンモデルが手に入れられるのだ。特に「ビッグ・パイロット」のような大型モデルほどチタンの恩恵は大きい。IWCの技術力が、チタンの魅力をより多くの人に届ける。

 

チタンケースモデル

チタンケースも自社製だからわずかな価格差で提供できる

SSモデルとの価格差1万円!
(右)パイロット・ウォッチ・マークXVlll ヘリテージ
チタンが増すレトロ感
傑作マークXIからの伝統を継ぎ、やはり軟鉄製インナーケースを備える耐磁仕様に。その重量感をチタンが軽減する。〝ヘリテージ〞なダイヤルは、チタン特有の深くマットなグレーと相まってよりヴィンテージ感を増す。ブラウンストラップとの相性もいい。自動巻き。径40㎜。チタンケース。カーフストラップ。51万円。
お問い合わせ先:IWC

SSモデルとの価格差2万円!
(左)パイロット・ウォッチ・マークXVlll ヘリテージ
チタンが増すレトロ感
傑作マークXIからの伝統を継ぎ、やはり軟鉄製インナーケースを備える耐磁仕様に。その重量感をチタンが軽減する。〝ヘリテージ〞なダイヤルは、チタン特有の深くマットなグレーと相まってよりヴィンテージ感を増す。ブラウンストラップとの相性もいい。自動巻き。径40㎜。チタンケース。カーフストラップ。51万円。
お問い合わせ先:IWC

 

 

SSケースモデル

(右)ビッグ・パイロット・ウォッチ
大型航空時計の大定番大型ケースと黒×白の強いコント
大型ケースと黒×白の強いコントラストを成すダイヤルとによる、高い視認性は航空時計のまさに手本。ストラップのビス打ちも、雰囲気がある。7日巻きオートマティック搭載。3時位置にそのパワーリザーブ計を装備。自動巻き。径46.2㎜。SSケース。カーフストラップ。145万5000円。
お問い合わせ先:IWC

(左)パイロット・ウォッチ・マークXVlll
高精度を日常使いに
汎用ムーブメントをベースに、モデファイ。IWCならではの高精度を身近な価格とした。耐磁仕様でもあり、強力磁石が身近に多い現代社会においては心強い。サイズ感が適度で、ダイヤルはシンプル。ファッションを選ばない。自動巻き。径40㎜。SSケース。カーフストラップ。49万円。
お問い合わせ先:IWC

 

 

IWCは約40年前からチタンケースを製造

チタンケースのパイオニア
IWCは1980年、ポルシェデザインと共同で初のチタンモデルを発表した。これは世界初のチタン製クロノグラフでもあった。初めての素材に挑むため、航空宇宙などの先端技術産業にも協力を仰ぎ、加工技術を習得したという。ケースを内製するブランドでもチタンは外注であることが多い中、IWCはチタンも自社製を貫く。

 

ブロンズケースもチタンと同価格!

ビッグ・パイロット・ウォッチ・ヘリテージ
使い込むほどに古艶を帯び味わいが深まる

ブロンズケースも内製するIWCは、経年変化が楽しめるモデルもチタンと同価格で提供。チタンとは真逆、腕にずっしりとした重みが頼もしい。裏蓋はチタン製。限定1500本。自動巻き。径46.2㎜。ブロンズケース。カーフストラップ。146万5000円。
お問い合わせ先:IWC

 

 

[時計Begin 2018 AUTUMNの記事を再構成]
写真/小澤達也(Studio Mug)、岸田克法、谷口岳史 文/髙木教雄、岡崎隆奈