2019.05.06

完全主義の王様「グランドセイコー」のメカニカルムーブメント【国産時計が面白い】

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厳格な「GS規格」でクロノメーター超え

圧倒的自製率で知られるグランドセイコー。そのラインナップは、すべて超厳格な自社規格をクリアすることを義務付けられている。まさに日本の高精度かつ高品質なモノ作りの象徴だ。

セイコースタイル踏襲のGMTモデル

グランドセイコー
SBGJ203
高精度を叶える10振動ムーブに第2時間帯表示を付加。“セイコースタイル”を現代的に解釈し、歪みのない鏡面仕上げを多用した。GSの機械式を担う雫石高級時計工房から望む岩手山の山肌を表現した文字盤パターンとともに、凛とした美しさを際立たせている。自動巻き。径40㎜。SSケース&ブレス。シースルーバック。10気圧防水。67万円。お問い合わせ先:グランドセイコー専用ダイヤル

5振動の手巻きとして当時最高精度を誇った1967年誕生の「44GS」。本作で以降のGSのデザイン理念、“セイコースタイル” が確立した。

 

全部自社で作るから規格に妥協なし

高い時計精度を叶えるには、当然ながらパーツの工作精度が高くなければならない。ひげゼンマイから自製できるGSはそういう意味でアドバンテージが大きい。たとえば脱進機となる部分も、本来半導体などの超精密部品に用いられる先進の加工技術“MEMS” を採用し、0.001mm単位の精度で製造。一番下の写真は、すべてのGSメカニカルに付属する“GS規格” の合格証明書。

 

職人の手作業で組み上げる9Sメカニカルムーブメント

GSが41年ぶりに放つ10振動ムーブとして2009年に登場したキャリバー9S85。その高精度はそのままに、GMT機構をプラスしたのが「SBGJ203」が搭載するキャリバー9S86だ。

 

時計大国スイスに対抗すべくはるかに高い精度基準を設定

精度基準としてはスイスの公式クロノメーター規格(C.O.S.C.認定)が最も有名。多くのブランドがその取得に情熱を注ぎ、1960年誕生の初代グランドセイコーも合格の証として文字盤にChronometerと記していた。しかし現在のGSにこの表記はない。理由は、全モデルがより厳格なGS規格をパスしているからだ。

機械式の場合、クロノメーターでは15日間にわたって5つの姿勢、3つの温度環境で平均日差+6秒〜−4秒の精度を求めるが、GS規格では試験は17日間に及び、6つの姿勢、3つの温度環境で平均日差+5秒〜−3秒まで追い込む。全パーツを自社製造する真のマニュファクチュールだからこそ設定できる基準であり、この完全主義が世界中に多くのファンを持つ要因だろう。

そんなGSの中で本誌イチ推しが「SBGJ203」。“セイコースタイル”と呼ばれる美しい意匠を受け継ぎ、搭載する機械は伝統の10振動ムーブにGMTをプラスしたもの。これぞGSの王道を行く1本だ。

 

もっと厳しい「GSS規格」もあり!

GSのメカニカルムーブには、「グランドセイコースペシャル(GSS)規格」も存在。熟練時計師が通常の何倍もかけ到達できる精度基準(平均日差+ 4 秒~- 2 秒)のため、1 年間にわずかしか生産できない。右はそのGSS規格をパスしたキャリバー9S85を搭載した150本限定のSBGH266。

[時計Begin 2019 SPRINGの記事を再構成]
文/吉田 巌

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