2019.09.16

ロシアの時計師が作ったこの時計、いま何時か分かります?【個性派時計アカデミー#2】

表情で時を告げる擬人化ウォッチ

時計に命が宿った!職人技が冴える個性派フェイス

カードゲームにおける一発逆転の象徴“ジョーカー”を大胆にフィーチャーしたこのモデルは、ウォッチメイキングへの情熱を新たな手法で表現した意欲作。“本気の遊び心”が光る。

時刻の読み方 2時50分
文字盤左のインダイヤルが「時」、右が「分」を示す。"黒目" が指すインデックスを読み取る。

 

"目"を巧みに模したインダイヤルで時刻を表示

コンスタンチン・チャイキン
ジョーカー

カードゲームで勝敗の重要な鍵となる「ジョーカー」の表情を、機械式ムーブメントで表現したレギュレーター&ムーンフェイズモデル。自動巻き。径42㎜。SSケース。クロコダイルストラップ。日常生活防水。360万円。お問い合わせ先:アンドロス

 

ココが個性的!

"顔"を構築するための特別仕様ムーブ
ムーブメントは、レギュレーター機構のCal.K07-0を搭載。すべての製品はシチュエーションを変えながら約1ヵ月のランニングテストを経て出荷される。

絶妙なバランスで"顔"を模した文字盤
ブラス製の文字盤に、ラッカー塗装、ロジウムやルテニウムメッキ、パッド印刷など、様々な手法でカラーリングや仕上げが施される。ロシア、欧州、中国などで特許を取得。

<b>"顔"を構築するための特別仕様ムーブ</b><br>ムーブメントは、レギュレーター機構のCal.K07-0を搭載。すべての製品はシチュエーションを変えながら約1ヵ月のランニングテストを経て出荷される。
<b>絶妙なバランスで"顔"を模した文字盤</b><br>ブラス製の文字盤に、ラッカー塗装、ロジウムやルテニウムメッキ、パッド印刷など、様々な手法でカラーリングや仕上げが施される。ロシア、欧州、中国などで特許を取得。

 

多彩な“表情”が楽しめる、ユニーク機構

時計の文字盤を“フェイス”とも呼ぶけれど、今、世界でもっとも魅力的な“顔”と言えばコレ。表情の要、目と口が時間と月齢を示しながら刻々と変化し、ときに喜びを爆発させ、ときにやや寂しげな憂いも漂わせる。

ポイントは回転ディスクを用いた10時&2時位置の時・分表示と、6時位置のムーンフェイズ。時・分表示は指時マークを“黒目”に見立て、またムーンフェイズも通常は月の図柄とするところを“舌”のように赤くすることでリアルな擬人化に成功した。正攻法で品質基盤を固めた高級時計たる品格と、ユーモラスな“遊び心”の均衡を求めて40以上ものキャラクターが試作され、さらに塗装やコーティングなどの工程も6回更新された。ロシア屈指の独立時計師の大胆不敵なチャレンジが、時計の魅力に、新たな光明をもたらしたのだ。

 

ロシアのウォッチシーンを担う独立時計師

ロシア・モスクワを拠点とする独立時計師、コンスタンチン・チャイキンによるブランドで、自社製造ムーブメントも手がけるロシア随一の高級マニュファクチュールとして注目を集めている。

コンスタンチン・チャイキンは独立時計師アカデミー(AHCI)のメンバーで、これまでに70以上の特許を取得している。

 

[時計Begin 2019 SUMMERの記事を再構成]
文/川口哲郎