2019.01.18

あの名門出身時計師によるブランド「ローラン・フェリエ」が本格上陸

2010年のバーゼルフェアでデビューした新進ブランド『ローラン・フェリエ』。創設者であるローラン・フェリエ氏は、パテック フィリップに長年勤めた時計師であり、日本でもアワーグラス、カミネといった名時計店がいち早く扱っていたが、2019年1月1日より、DKSHジャパンが正式に総代理店となり日本での取り扱いが始まった。これに先駆け12月に来日したCEOのヴァネッサ・モネステル氏に、ローラン・フェリエの魅力を尋ねた。

ローラン・フェリエCEOのヴァネッサ・モネステル氏。総合コンサルティング企業にてMBAを取得。インディペンデントウォッチメーカーに興味を惹かれ、グルーベル・フォルセイを経て2013年にローラン・フェリエに入社。1年後にCEOとなる。

時計師ローラン・フェリエの名を冠したこのブランドは、2010年のジュネーブウォッチグランプリで初出展にて、メンズウォッチ賞を受賞(2015、2018年にも部門賞を受賞)。日本ではまだ流通こそ限られていたが、時計好きにはかなり注目されていた。高級時計らしいシンプルなデザイン、フォルムに独自のムーブメントを搭載した美しい時計を生み出すローラン・フェリエ氏はどんな人物なのか?

Mr.ローラン・フェリエはル・マン表彰台ドライバー!

ローラン・フェリエ氏は1946年、ジュネーブの生まれ。1968年に時計学校を卒業後、パテック フィリップに入社。途中3年間、レーシングドライバーをやっており、同社を一時退社し、また復帰している。

「彼は、ジュネーブの時計学校を卒業後パテック フィリップに入社し、時計師としてムーブメントの設計などに携わり、後期は外装パーツなども担当していました。37年間、パテック フィリップに在籍した後に独立し、2010年に自身のブランドを始めたのです。実は、その途中3年ほどレーシングドライバーとしても活躍していて、ル・マン24時間の耐久レースにも出場しているのですよ」

これは事実であり、1979年のル・マンで、ローラン・フェリエ氏は、ポルシェ935のドライバーの一人として、なんと3位表彰台を獲得している(ちなみにこの時の2位のポルシェ935ではポール・ニューマンもハンドルを握っている!)。

「このレーサー時代に出会った人物が現在のローラン・フェリエ社のパートナーです。フェリエ氏はパテック時代にやりたいことがたくさんあったようで、独立し、最初はムーブメント技術者の息子と2人でブランドを立ち上げました。現在は4人の時計師がアトリエで働いています」

見目麗しいドレスウォッチは中身も凄い!

2010年に発表された第1作「ガレ・クラシック・トゥールビヨン・ダブル・スパイラル 39㎜」のRGケース+ローマンインデックスモデル。2つの逆向きに動くヒゲゼンマイでテンプの軸の中心を安定させる機構を備え、トゥールビヨンはあえて前面より見せずクラシックなドレスウォッチに仕上げている。アリゲーターストラップ。自動巻き。2380万円。

シンプルな3針のドレスウォッチが中心ながら、上記の「ガレ・クラシック・トゥールビヨン・ダブル・スパイラル」をはじめ、前述の通り3つのモデルがジュネーブウォッチグランプリにて、賞を獲得している。

「『ガレ・スクエア・マイクロローター・ナチュラル・エスケープメント』というモデルは、一般的なスイスレバー脱進機でなく、2つのガンギ車が直接テンプ調速するナチュラル脱進機を使用しており、これが2015年の“オロロジカル・レベレーション賞”を受賞し、2018年には、伝統的な意匠の『ガレ・アニュアルカレンダー』がメンズ複雑時計賞を獲得しています。ナチュラル脱進機を現在実用化しているのは、F.P.ジュルヌやヴティライネンなど数社のみです。これは効率を重視したメジャーブランドではできない、インディペンデントメーカーならでは。私は、そういったことに挑めることこそ、このブランドの魅力だと思っています」

2018年の新作でありジュネーブウォッチグランプリのメンズ複雑時計賞を序章した「ガレ・アニュアルカレンダー」。アニュアルカレンダーというところが、パテック フィリップ出身のフェリエ氏らしい。ポインターデイトはリューズで両方向に修正可能。10時位置のボタンで曜日を送ることができる。全ての針がそれぞれ違う形状なのもこだわりだ。SSケース。アリゲーターストラップ。手巻き。660万円。

シンプルで、正確で、ピュアな時計

「ガレ・トラベラー・デュアルタイム」。調和のとれた美しいデザインと、機能性を融合させたデュアルタイムモデル。9時位置の第2時間帯表示は、ケースサイドの2つのプッシュボタンで前後に動かすことが可能。このプッシュボタンは使う人のことを考え、溝をつけることで押し易い形状となっている。自動巻き。RGケース。アリゲーターストラップ。715万円。

誰もが買えるとは価格とは決して言えない時計だが、そこに妥協点を求めず、こだわったものを作ることができるのは、インディペンデントメーカーならではだ。

「ローラン・フェリエ氏本人が大切にしているのは『パーフェクトハーモニー』。これは、調和の取れたデザインといった外見だけでなく、着け心地へのこだわりや、この『ガレ・トラベラー・デュアルタイム』のプッシュボタンなど、“使う人の利便性を考えた時計”にも表れています。ローラン・フェリエというのは会社名ではなく、ローラン・フェリエ氏本人が存在しているインディペンデントメーカー、とても正直なブランド、嘘をつけないブランドなのです。ブランドが掲げる3つの大事なテーマは『シンプル』『正確』『ピュア』。本当にまじめなブランドで、とても働きやすいんですよ(笑)」

お問い合わせ先:DKSHジャパン TEL 03-5441-4515

 

「ガレ・トラベラー・デュアルタイム」の特別モデル。990万円。

日本での発売は未定だが、このようなクラシックでシンプルなレギュレーターも制作。

ジュネーブ、プラレワット地区にあるアトリエでは、4人の時計師を含む10名が働く。

「ガレ・トラベラー・デュアルタイム」の特別モデル。990万円。
日本での発売は未定だが、このようなクラシックでシンプルなレギュレーターも制作。
ジュネーブ、プラレワット地区にあるアトリエでは、4人の時計師を含む10名が働く。