2018.04.11

腕時計ロングセラー変遷記 GIRARD-PERREGAUX(ジラール・ベルゴ)【ロレアート】

起死回生で放たれた革新クォーツ搭載モデル

1970年代半ばのクォーツ旋風の最中、ジラール・ペルゴが世に送り出した「ロレアート」。
高級スポーツ時計発展の一翼を担い、進化を続けてきた同モデルの変遷を追う。


高級スポーツを体現した高精度クォーツモデル
ロレアートのオリジナルモデル。イエローゴールドの8 角形ベゼルと、ブレス一体型のSSケースを絶妙に融合し、高級スポーツウォッチを代表する1 本に。内部にはスイス初となる3万2768Hzのクォーツムーブメントを搭載。その確かな精度はクロノメーター証明書によって保証された。

Original model
オリジナルモデル



クォーツ機構を活かした複雑系
1984年に発表されたロレアートの第1世代モデル。横長のSSコマをYG製の中ゴマでつなぐ特徴的なH型ブレスを初採用。均時差を表示するイクエーション・オブ・タイムに加え、星座表示まで備えたクォーツムーブ搭載の複雑系天文時計もラインナップした。


コンビ仕様の個性的ブレス
ブレス中央の平面的なストライプ模様を、本作ではベゼル同様、ポリッシュに磨き上げた立体的なイエローゴールドのコマに変更。シリーズの特徴であるH型ブレスの原形が完成した。繊細な針とインデックスの仕様は継承。



エレガントな薄型自動巻き
自社製キャリバーGP3100を搭載した自動巻きモデルが登場。ケース径が拡大し、ベゼルも大型となった一方、上品な薄型スタイルにして、H型ブレスのデザインも一新。YG×SSのコンビ仕様も継続したが、この第2世代あたりからオールSSケースが主流となる。


より手の込んだベゼル&文字盤
薄型自動巻きムーブの採用で、ケースの厚さがダウン。ベゼルは8角形とラウンドを融合した形状となる。H型ブレスは中ゴマが横長となって現行品に近いスタイルに。文字盤にはクル・ド・パリ状の装飾を施した。

時代に沿う変化を加えつつ革新的なスタイルを維持

高級スポーツウォッチの典型である8角形ベゼルとケース&ブレスの一体型スタイルを取り入れ、1975年に登場したロレアート。本作が他と一線を画すのは、ベゼルが丸みを帯びた鏡面の金無垢製だったことと、高性能なクォーツムーブを搭載したこと。クォーツが時計界を席巻する前より、ジラール・ペルゴはいち早く開発に着手し、’70年にスイス初のクォーツ時計を発表した。この際に採用した周波数3万2768Hzが現在に至る世界基準となり、のちにヌシャテル天文台の精度証明も得る。つまり本作は、当時最新の技術を駆使した1本だったのだ。
 同社が第1世代と位置づける’84年発表モデルでは、クォーツ技術の革新にともない、天文系の複雑機構へと進化する。また、シリーズの特徴のひとつであるH型ブレスもこのとき初めて装備された。’95年には高級時計の潮流に乗って自動巻きムーブを搭載。ケースサイズも拡大した一方で、薄型に仕上げてエレガントさをキープする。その翌年に登場した「オリンピコ」には、初のクロノのほか、スリー・ゴールド・ブリッジ トゥールビヨンが加わり、以降は搭載機構を重視する傾向に。デカ厚の流行を反映した2003年の「Evo³」でも、やはりコンプリケーションモデルを中心に展開していった。
 初登場から40年以上を経た2016年、オリジナルの3針ロレアートが限定で復活する。そして昨年、ついにレギュラー化を果たした。時代の変遷とともに、機構と多少のデザインを変えながらも、8角形ベゼル、一体型ケースの貫禄ある姿は、不変である。



初の機械式クロノがエントリー
「ロレアート オリンピコ」はコレクション初のクロノグラフ。30分積算計、12時間積算計、スモールセコンドを擁した横並びの3 カウンター仕様で、外周にはタキメーターを装備。この2年後には、複雑系のスリー・ゴールド・ブリッジ トゥールビヨンも登場した。


肉感的なスポーティデザイン
クロノグラフの特性に合わせ、全体のスタイルがスポーティかつマッシブに。8角形ベゼルの幅が増し、ケースサイドにはリューズガードを設置。針は太めのペンシル型で、インダイヤルの外枠も丸みを帯びた立体型に。



トレンドに合わせ大型化
2003年に第3世代の「ロレアート Evo³」が登場。8 角形ベゼルやブレス一体型ケースの特徴はそのままに、ケースがより大ぶりとなった。上の写真は’06年に発表されたムーンフェイズ、パワーリザーブ、ビッグデイト表示機能付きのコンプリケーションモデル。


コンビ仕上げの流麗デザイン
これまで鏡面だった8角形ベゼルの前面をサテン仕上げにするなど、ケースをポリッシュ&サテンを使い分けたコンビネーション仕様に。またH型ブレスの中ゴマも大型化し、全体をソフトなラインに作り変えた。



レギュラーモデルとして復活
2016年にロレアートの3 針が限定225本で復活。その翌年に上のレギュラーモデルが発表された。随所をモダン化させつつ、よりオリジナルに近いデザインに。自動巻き。径42㎜。SSケース。アリゲーターストラップ。111万円。お問い合わせ先:ソーウィンドジャパン Tel.03-5211-1791


いっそう高級感漂う仕様に
文字盤の装飾はそれまで格子模様だったが、新たにクル・ド・パリのギョーシェ仕上げとした。12時位置にはオリジナルと同じGPロゴをセット。また、ケースサイズに合わせた自社キャリバーGP01800を搭載。

[時計Begin 2018 SPRINGの記事を再構成]
文/岡崎隆奈 構成/市塚忠義