2019.06.14

モーリス ラクロアの新作「アイコン」は自分だけに時刻を教えてくれる!?【動画あり】

確かな品質にして手の届く価格帯。そんな真面目な時計作りが支持され「アイコン」シリーズが好調なセールスを続けているモーリス・ラクロア。新しいアイコンは、またしても「堅実なモデル」かと思いきや、これがかなりの変化球。

新作「アイコン マーキュリー」は、アイコンの象徴的なケースに大胆な肉抜きムーブメントが文字盤側からも見えるようになっている。パッと見は、最近のトレンドでもあるスケルトン時計。でも、ポイントはそこではない。なぜなら時分針がクルクルと回りだしたり、12時位置でピタッと止まったりと、針の動き方がフツーではないから。

実はこのモデル、時計を自分の方に傾けた時だけ本当の時刻を表示するという、極めてトリッキーな腕時計なのである。

動画で動きをチェック!

時刻表示のアプローチが、愛嬌たっぷり。「くるりん、パ!」。言葉にすると上島竜兵になってしまうのだが、針がクルクルと回り出し、本来の時刻でピタっと止まるメカニズムは、何度見ても飽きない。

重力によって作動するメカニズム

「タイム・メモリー・モジュール」と名付けられたこのメカニズムは、実は自然の重力によって作動している。その仕組みをもう少し詳しく解説していこう。

イラスト左が、正しい時刻を表示している状態。右が「0時」に帰零している状態。

時刻は、ダイアルの下に配された2つのスネイルカムによって表示される。右側のスネイルカムは時表示のためのもので、12時間に1回転。左側のスネイルカムは分表示のためのもので、60分で1回転する。

時刻を確認しようと手首をひねって時計を垂直、つまり6時位置を下の状態にすると(A)、重力によって扇状の2つのレバーがぶら下がる状態になり、回転するスネイルカムと接触。すると、2つのレバーが時針と分針を作動させて、クルクルと時分針が回転した後、正確な時刻を表示する。

逆に12時位置が下の状態で重力がかかり、スネイルカムとレバーが一番離れた状態になると(B)、時分針はクルクル回った後、レトログラードと同じ原理で「0」に戻る。

ちなみに時計を机の上に置くなどして水平の状態にすると、2つのレバーは重力のかからないアイドル状態となり、時分針の動きも不規則(方位磁石のような動き)となる。しかし、その間も時計は動き続け(スモールセコンドは常に動き続けています)、着用者が手首を動かして時計が再びAの位置に戻れば、すぐに正しい時刻を表示できる仕組みになっている。

この表示システムを実現するにあたり、もっとも重要だったのが針の重さのバランス。カウンターウェイトの重さと重心を調整し、針の軸を中心にして、時刻を表示する側とカウンターウェイト側が、完全に同じ重さにならないと、クルクル回る針の動きは実現できない。針の重心は、塗布するスーパールミノバの重さですら変わってくるため、何度も試作品を作ったという。

特許を取得するこのメカニズムは、実は10年前にあったアイデア。その時は製品化にいたらなかった幻の機構を、今回は3年を費やしてついに実現させた。

「アイコン マーキュリー」の日本入荷は2019年11月予定。その驚異的な針の動きを、ぜひともお店で体感して頂きたい。

モーリス・ラクロア
アイコン マーキュリー

自動巻き(Cal.ML225)。毎時2万8800振動。SSケース&ブレスレット(イージーチェンジャブル機能のカーフレザーストラップ付属)。ケース径44㎜。ケース厚14㎜。10気圧防水。38時間パワーリザーブ。88万8000円(税抜き)。2019年11月発売予定。

自動巻き(Cal.ML225)。毎時2万8800振動。SSケース&ブレスレット(イージーチェンジャブル機能のカーフレザーストラップ付属)。ケース径44㎜。ケース厚14㎜。10気圧防水。38時間パワーリザーブ。88万8000円(税抜き)。2019年11月発売予定。

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撮影/岸田克法 文/市塚忠義