AUDEMARS PIGUETのアトリエ

1907年当時の姿を今に留めるオーデマ ピゲの社屋は、ル・ブラッシュのランドマーク。2009年には、拡張された新工房が落成し、ジュウ渓谷でも屈指の生産能力を得るにいたった。時計製作に必要な、ほぼすべての設備と技術者を集約したアトリエで、至宝の時計は生まれる。

マニュファクチュール・デ・フォルジュ
大きな窓からオルブ渓谷の美しい景色を望む最新のマニュファクチュールは、エネルギー消費を最小限に抑え、熱を循環し再利用するシステムを組み込むなど、環境へ配慮する。建物自体のデザインも周囲の景観と調和を果たしている。

新キャリバーの設計・開発だけでなく時計作りへの愛情から修復部門も完備

ジュウ渓谷の伝統を巨大なアトリエに継承

2人の創業者が当初、他の時計メーカー向けの複雑機構を製作していたように、スイスの時計産業は分業制によって発展してきた。しかしブランド創設以降、オーデマ ピゲはムーブメントはもちろん、ケースやダイヤルにいたるまで、自社一貫生産体制を目指してきた真の意味でのマニュファクチュールだ。
1907年に建てられたアトリエは、時代を追うごとに拡張され、2009年には3つの棟から成る「マニュファクチュール・デ・フォルジュ」が完成。ジュウ渓谷の伝統を総面積1200平方メートルの巨大なアトリエに継承。巨大なマニュファクチュールは、ジュウ渓谷でも屈指の規模と生産能力を誇っている。そしてムーブメント開発や組み立て、スケルトンやエングレービングをはじめとする様々な装飾加工、ケースの仕上げ、ダイヤモンドセッティングなど、時計製作に関するあらゆる技術を集約する。
それぞれのアトリエには、大きなスペースが割り当てられている。とりわけ集中力が必要な複雑時計の組み立て部門では、作業台の間の仕切りで、個室のように設えられてもいる。
オーデマ ピゲでは、独自の厳しい研修制度を設け、優れた技術者の育成にも余念がない。さらに博物館も併設され、希少な歴史的タイムピースも保管されている。これらはすべて完璧に修復され、今も正確に作動するという。その修復を担うのが、本社のアフターサービス部門だ。そこには200年前の弓引き旋盤があった。19世紀に作られた懐中時計が修理に持ち込まれた際、当時と同じ機械でパーツを再現するためだ。ここで働く時計師は、選抜された腕利きだ。古い時計を蘇らせることは、時計文化の継承に欠かせぬことだと、オーデマ ピゲは考えている。
ジュウ渓谷における時計製作の歴史のすべてが、ここにある。

スケルトン加工

伝統的な工芸技術の継承
1世紀以上にわたり、オーデマ ピゲはスケルトン加工を得意としてきた。今もすべて手作業。ボックフィルという専用の刃物を操
り、透かし模様を一つずつカットしていくのだ。ムーブメントやローターに美を与える。

 タペストリー

一刃ずつ丁寧に模様を刻む
ロイヤル オーク・シリーズを特徴付けるダイヤルのタペストリー装飾には、1960年代~70年代に作られた貴重なヴィンテージの彫版機が使われる。熟練の職人が器用にマシンを操り、一刃ずつ丁寧に模様を彫り込んでゆく。

ケース製造

手仕事による最終仕上げ
高度に精度コントロールされたスタンピング(鍛造)や切削で製作されたケースは、最終的に専門の職人の手にゆだねられ、ポリッシュやヘアライン加工といった最終仕上げが施される。繊細な指先がケースに表情を与える。

エングレービング

繊細な美を与える彫金技術
自動巻きローターをはじめ、金属パーツの表面に施すエングレービングも、手作業で行われている。繊細な模様は、職人の正確な指先の動きで彫り込まれてゆく。すべてのムーブメントがエングレービングされる。

セッティング

宝飾技術にも秀でるメゾン
ケースやブレスレット、ダイヤルを豪華に彩るダイヤモンドのセッティングにも、オーデマ ピゲは、優れた技術を持つ。複雑な曲線を描くケースにすき間なく宝石をセッティングするために、独自のノウハウを蓄積する。

装飾

隠れる部分も手抜きなし
ムーブメントの地板やブリッジにはすべて、伝統的な装飾模様が施される。部品によって隠れる部分にも緻密なペルラージュ装飾を施しているのが、高級時計の証し。歯車をはじめとするすべての部品も、多様な装飾で彩る。

修復

すべて直す、メゾンの良心
歴代の時計は、すべて完璧に修復が可能。古い工具もそのために大切に保管される。なんと自社製品だけでなくジュウ渓谷で作られた他社の時計修復も最後まで面倒を見る、これぞメゾンの良心。

OTHER CONTENTS 他のコンテンツ

  • 歴史