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2020.02.29
ウブロの複雑なケースの多くが自社内で作られていた【ウブロの工房へ行ってきた!!】
極めて高いケース内製率で複雑なデザインも何のその
多彩な素材をフュージョンさせるウブロのケースは、パーツ点数が多くて形も複雑。それをサプライヤー任せにせず、自社製造することで、独創性とクオリティとが両立する。
ラ・フェラーリの複雑ケースはすべて放電加工で作られていた!

放電&切削でフレームを加工
ラ・フェラーリのケースのフレームはすべて、まず放電加工で左端のベースとなる形状に切り抜かれる。その後高精度に切削加工し、複雑なフレーム構造に形作る。
あらゆる素材を自社切削
ご覧のようにウブロのケースを織り成すパーツは、形も色も多種多彩。右側に並ぶのは、カーボン素材。これもまた自社成型できる技術を確立した。
自社製治具で加工精度アップ
ビッグ・バンのキングゴールド製ミドルケースを固定した自社製治具。振動&切削の特殊加工でもブレないよう、ガッシリした造作になっている。
フェラーリの要求に応える
フェラーリ・デザインセンターがデザインした、「テクフレーム」。トラス構造の立体的なラグやサイドのくり抜きなど加工は極めて複雑である。
ケースの多彩な表現を最新設備と技術でかなえる
第2工房内にあるケース製造部門には、実に多くの工作機械が居並んでいる。ウブロのケースに使われる極めて多彩な素材の加工に対応するためだ。ケースを構成するパーツは、すべて切削で成型。一般的なSSやゴールド、チタンだけではなく、セラミックを切削加工する技術と設備も、ウブロは有する。セラミックケースを自社で切削加工できる時計メーカーは、業界全体を見渡しても、実は数社しかない。前述したマジックゴールドの切削のための専用バイトに加え、振動させながら2ミクロンずつ削るという新たな加工技術をウブロは考案してもいる。
さらに驚かされたのは、3次元曲面で構成されたラ・フェラーリのケースとベースとなるフレーム加工。金属塊から切り出す一次加工を、なんとワイヤー放電加工機で行っていたのだ。金属の部材に細いワイヤーを通して水中に沈め、電気を流し、その放電熱で一筆描きのように切り抜くワイヤー放電加工機は、ミクロン単位の成型精度が得られる。クロノグラフのハンマーなど形が複雑なムーブメントのパーツ製造に重宝されるが、ケース製造にこれを使っているのを見たのは、今回が初だった。またビッグ・バンのキングゴールド製ミドルケースの一次成型も、ワイヤー放電加工機で行っている。
通常の切削においても、部材を固定する治具を自社で設計・製造し、加工精度を高めている。極めて高いケースの内製率とも相まって、ウブロはまさに真のマニュファクチュールと呼ぶにふさわしい。さらにケース内製率100%を目論み、第3工房の建設を計画中。積極的な設備投資と技術開発で、ウブロは時計ケースの表現をこれからもさらに広げていくだろう。
フェラーリ専用ケース
クラシック・フュージョン
フェラーリ GT キングゴールド
フェラーリ・デザインセンターがデザインを手掛けた最新作。ムーブを収めたミドルケースは4つのビスとリューズなどで宙に浮かばせる。滑らかな曲面で構成した造形も新鮮。世界限定500本。自動巻き。径45㎜。18Kキングゴールドケース。スケドーニ+ラバーストラップ。412万円。
透明仕立ての50日巻き
MP-05 ラ・フェラーリ
サファイア
サファイアケースの中央に居並ぶ7つの香箱で、約50日駆動を実現。時刻表示はすべて左右のシリンダーの数字で行う仕組みで、ケース下部には垂直トゥールビヨンが潜む。世界限定20本。手巻き。ケース59.7×51.1㎜。サファイアクリスタルケース。スケルトンストラップ。5570万円。
[時計Begin 2020 WINTERの記事を再構成]