【2018 時計グランプリ】3針部門グランプリは「ブライトリング ナビタイマー1 オートマチック38」

3針部門グランプリ実用時計としてのベーシックな計時機能とスタイルを備える３針だが、それだけでは飽き足りない。ノミネートされた時計はブランドらしさとともにそれぞれの個性を競う。

講評 ▶ 柴田 充

クロノグラフから解き放たれ、広がる魅力の世界

新ＣＥＯを迎え、ブランドの今後の方向性がいよいよ見えてきた。そんなブライトリングのスタートを飾るモデルがグランプリに輝いた。伝統的なパール装飾を施した回転式ベゼルに、ブランドを象徴する航空用計算尺を備える。新しさの中にヴィンテージ感を漂わせ、ほど良いサイズ感も現代のスタイルに合う。クロノグラフという制約から解放された先に、まさに大空のような自由な世界が広がっている。自動巻き。径38㎜。SSケース。クロコダイルストラップ。3気圧防水。50万円。お問い合わせ先：ブライトリング・ジャパン

文字盤の外周に刻まれた回転計算尺は、1942年に当時のクロノマットが世界で初採用したもので、ナビタイマーが通常搭載する航空用計算尺はその進化系。ロゴマークも1950〜60年代に使われていたスタイルになった。

ベーシックなだけに求められるブランドらしさ

髙木　サントスは外見も変わったし、ＬＭは日付表示を装備、ＭＭはノンカレンダーのエレガント仕様。バイカラーベゼルにカーフストラップは、初代のオリジナルに近くて好ましいね。

市塚　チェンジャブルストラップも話題を呼んでいます。

吉田　そう、増えましたよね、このタイプは。使い回しも簡単にできる。

柴田　ヴァシュロン･コンスタンタンはモダンクラシックなスタイルもさることながら、価格設定が絶妙！

髙木　大英断だよね。ＳＳはジュネーブシールを取得しないけれど、新しいファンが増えるんじゃないかな。

吉田　グラスヒュッテ・オリジナルのガルバニックダイヤルはキレイだね。

岸田　インデックスもレトロだし。ちょっと昔の目覚まし時計みたい。

柴田　なんだか’50ｓとか’60ｓといった近代時計の復刻が目立つような気が。なかでもブライトリングの３針ナビタイマーに惹かれます。

島津　38㎜径のサイズもいいし。

髙木　回転計算尺付きの３針は新鮮だよ。もちろん使おうと思えば、海外でのレート換算にも使えるし。

吉田　ダメだ、この細かさはもう見えない（笑）。ヴィンテージスタイルを楽しむに留めます。

髙木　シャネルを推すのは、見た目の美しさだけでなく、注目の素材を用いたり、パーツにローマン・ゴティエが関わっているから。まさに最新技術を結集した３針ですね。

まつあみ　グランドセイコーは？　Ｖ．Ｆ．Ａ．もそそられる。

島津　プラチナということもあるけれどプレステージ感が高いかな。海外展開を視野に入れたブランド構築の一環なんでしょうね。

市塚　ＧＳも高額モデルが売れているそうですよ。完売も少なくないとか。

松山　こうしてみると３針はクラシックなデザインが多いね。とくにモリッツ・グロスマンはいいな。

髙木　ムーブメントは、これまでレディス向けにオフセットだったスモセコの輪列を変更し、６時にずらした。まつあみ　それだけ小回りが利くのも新しいブランドであり、稀少性を大切にした少量生産のメリットでしょう。日本人向けのサイズだし、アラビア数字のインデックスもいいですね。

柴田　それにしても３針は全体の傾向が掴みづらい。

髙木　一番ベーシックだからバリエーションもそれだけ多い。ブランドの歴史に根ざすという特徴はあるかも。

吉田　ナビタイマーの３針も往年の名作をルーツにしているしね。

松山　クロノグラフでなくとも、ブライトリングらしいといえばそうだね。

柴田　基本に立ち返ると、じつはそこから可能性が広がるのかも。それも新たなスタートを切ったブライトリングにふさわしいと思います。

3針部門ノミネートモデル