2025.11.20

ブルースティールは錆の一種? 意外と知らない青針の作り方

【学ぶぞ、本格時計】パーツで分けて、すべてを理解しよう!

なんとなくは分かっているけど、人には説明できない……。そんな時計の専門用語を一度しっかりマスターすれば、本格時計の真の価値が見えてくるはずだ!

[ダイアル編]
美しい“青”は焼いて完成【ブルースティール針】

鉄の酸化の進行を止める 鮮やかなブルーの保護膜

鉄(鋼)を熱すると酸化被膜、すなわち微細な錆が生じ、加熱時間に応じて黄色に近い明るい茶色、褐色、青、グレーへと色が変化していく。この性質を利用し、成形した鉄製の針を加熱し、青色になった瞬間に取り出したのが、ブルースティール針である。日本語では青焼き針、あるいは青針。

\ ブルーになるのは、ほんの一瞬 /

BREGUET

小さなパンを用いてオイルランプの炎で鉄製の針を熱する、伝統的な青焼きの様子。ブレゲは、下のモデルの針に、この初代ブレゲの時代と同じ昔ながらの手法を用いた。

酸化被膜は錆の一種ではあるが、その下の鉄と空気との接触を防ぐ保護膜として機能し、鮮やかなブルーが長く保たれる。一方、鉄が自然酸化した赤錆は脆く、隙間が大きいので保護膜にならず、内部まで酸化が進行する。

ブルースティール針は、18世紀後半から用いられ、特にアブラアン-ルイ・ブレゲが好んだため、今もブレゲの象徴の1つとなっている。他社では苛性ソーダで酸化被膜を形成したり、PVDで青に色付けするケースも多いが、ブレゲは伝統的な青焼きを堅持する。

BREGUET(ブレゲ)
クラシック スースクリプション 2025

BREGUET クラシック スースクリプション 2025

初代から継ぐ1本針
初代が前金制(スースクリプション)で製作した時針だけの懐中時計を、創業250周年を機に腕時計で再現。グラン・フー・エナメルに描いた精緻な目盛りで、5分単位まで目視できる。手巻き。径40mm。18Kブレゲゴールドケース。アリゲーターストラップ。757万9000円。

BREGUET クラシック スースクリプション 2025

しかも先端を曲げてます!
先端を長く伸ばした初期のブレゲ針を再現。ご覧の通り、その先端はボンベダイアルのカーブに合わせ、丁寧に手曲げしている。

問い合わせ:ブレゲ ブティック銀座
ブレゲ公式サイト

[時計Begin 2025 AUTUMNの記事を再構成]

※表示価格は税込み