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2025.12.12
瞬時に針が戻るレトログラード、ロジェ・デュブイはW&永久カレンダーで!
【学ぶぞ、本格時計】パーツで分けて、すべてを理解しよう!
なんとなくは分かっているけど、人には説明できない……。そんな時計の専門用語を一度しっかりマスターすれば、本格時計の真の価値が見えてくるはずだ!

[ムーブメント編]
両側“W表示”はロジェ・デュブイのお家芸 【バイレトログラード】
左右に翼のように居並ぶ2つのレトログラード
円弧状に進む針が終点に達すると瞬時に出発点に戻る針の動きを“逆行”の意味のレトログラードと呼ぶ。その機構自体は、19世紀の懐中時計にすでに見られる。今では複数のレトログラード表示をもつモデルもあるが、その始祖となるバイレトログラードを考案者がロジェ・デュブイ氏とジャン・マルク・ヴィダレッシュ氏だ。
名門時計ブランドを退社後、自身の工房を開いたロジェ氏は、時計師ヴィダレッシュ氏と彼の妻キャサリン-エステル氏とでP.M.E社を設立。1988年、従来よりもコンパクトな新型のレトログラード機構の特許を取得。これにより、世界初の日付と曜日をWレトログラード表示としたバイレトログラードパーペチュアルカレンダーのモジュールを開発した。各針を上下に運針させたのも彼らのアイデア。後に夫婦で「アジェノー」を設立したヴィダレッシュ氏はレトログラードの名手。ロジェ氏も’95年の自ブランドを立ち上げた時の初作の1つにバイレトログラードを用いた。二人の時計師の創造性が両翼のような機構を生み出した。
レトログラードの仕組み

回転するスネイルカムに接するレバー車が、針車を回して針を進める。その間、針に備わるゼンマイで力を溜める。スネイルカムが1周し、レバー車が段差に落ち込むと針車はゼンマイの力も利用して、出発点へと瞬時に移動する。
この2人の開発で特許を取得

ロジェ・デュブイ氏(左)/ジャン・マルク・ヴィダレッシュ氏(右)
ヴィダレッシュ氏は1972年に時計製造の学位を取得後、すぐに自身の工房を設立。後に妻とともにP.M.E.社を興し、さまざまなブランドに複雑機構や薄型ムーブメントを提供してきた。ロジェ氏は、名門時計メゾンで複雑機構を長く担当。それと並行し、アンティーク時計の修復も手掛けてきた。彼らはクォーツショック時代に多くが失われた複雑機構の数少ない継承者として互いの才能を認め合い、バイレトログラード以外にも複数の機構を共同開発した。
ROGER DUBUIS(ロジェ・デュブイ)
エクスカリバー グランドコンプリケーション

大胆な複雑時計
今年バイレトログラードがメゾンに帰還。永久カレンダーのデイデイトに用い、さらにトゥールビヨンとミニッツリピーターを統合した。2つのマイクロローターを装備する。ブティック限定8本。自動巻き。径45mm。18KPGケース。アリゲーターストラップ。価格要問い合わせ。
問い合わせ:ロジェ・デュブイ
ロジェ・デュブイ公式サイト
[時計Begin 2025 AUTUMNの記事を再構成]
※表示価格は税込み