週休2日制のおかげでパワーリザーブは72時間（3日巻）が増えた!?

【学ぶぞ、本格時計】パーツで分けて、すべてを理解しよう！

なんとなくは分かっているけど、人には説明できない……。そんな時計の専門用語を一度しっかりマスターすれば、本格時計の真の価値が見えてくるはずだ！

［ムーブメント編］
いま主流の「3日巻き」は「ランゲ1」から広がった！
正確なビートを刻むにはパワーが必要【パワーリザーブ】

週休二日制の広がりが長時間駆動を求めた

金曜日の朝に着けた時計を夕方に外し、そのまま週末を過ごしても月曜の朝にもちゃんと動いている──72時間パワーリザーブ（3日巻き）は、週休二日制に対応した新スタンダードだ。特に着用中に巻き上げがチャージされない手巻きにおいては、有効である。これを先駆けたのは、1994年に誕生した初代「ランゲ1」だった。

それ以前にも、3日間以上のロングパワーリザーブが備わるムーブメントは存在していた。それを「ランゲ1」は、他の表示から完全に独立させた大きく見やすいパワーリザーブ計で視覚化することでアピールした。結果、3日巻きが「ランゲ1」を象徴する機能の1つとして高く評価されたことにより、多くのフォロワーが現れたのだ。

着用中に巻き上がる自動巻きの場合、パワーリザーブが60時間あれば手巻きの3日巻きと同様となる。また三連休の広がりを見据え、80時間駆動の自動巻きが、散見されはじめている。

《キャリバーL121.1》

第2世代のために開発された専用キャリバー。歩度調整は、初代の緩急針式から自社製ひげゼンマイとフリースプラング式偏心鍾付きテンプへと進化。スワンネックは、テンプの振動のズレ（ビートエラー）の補正用。

《1994年「初代ランゲ1」》

衝撃の復活モデル
東西冷戦による休眠から復活を遂げた、新生A.ランゲ＆ゾーネの初作の1つ。オフセットダイアルの右にアウトサイズデイト、パワーリザーブ計、秒針をいずれも重ならないよう配置し、優れた視認性を得ている。

A. Lange &　Söhne（A.ランゲ＆ゾーネ）
ランゲ1

ドイツ時計のアイコン
現行モデルの第2世代は、2015年のリリース。外観をほぼ変えることなく新開発ムーブメントの搭載により、象徴的なアウトサイズデイトは深夜0時に切り替わる瞬転式となり、パワーリザーブ計と連動で残量が0になると秒針が0位置で停止するなど、機能をアップデイトさせた。むろん3日巻きは、初代から継承している。手巻き。径38.5mm。18KPGケース。アリゲーターストラップ。649万円。

問い合わせ：A.ランゲ＆ゾーネ
A.ランゲ＆ゾーネ公式サイト

効率に優れた独自の両方向巻き上げシステム

《ペラトンシステム》

1950年に登場した独自機構。人工ルビーのローラーで挟んだハートカムにローターが載り、回転方向に応じてカムの突起が各ローラーを順に押して取り付けられた台座を振り、そこに備わる巻き上げ爪が交互に一方向に巻き上げる。

IWC（アイ・ダブリュー・シー）
ビッグ・パイロット・ウォッチ 43

進化したペラトンシステム
軍用由来の視認性に優れたダイアルがブルーで華やいだ。自社製Cal.82100はペラトンシステムの巻上げ爪、自動ホイール、カムといった摩擦が大きいパーツをセラミック製に置き換えて摩耗を防ぐ。自動巻き。径43mm。SSケース。カーフストラップ。143万円。

問い合わせ：IWCシャフハウゼン
IWCシャフハウゼン公式サイト

《マジックレバー》

登場は、1959年。下の写真にあるように偏心車（A）の歯車が右回転および左回転する際に上側のレバーの爪（B）で巻き上げ車を押し下側の爪（C）で巻き上げ車（D）を引くことで同一方向に整流（回転）し、ぜんまいを巻き上げる。

GRAND SEIKO（グランドセイコー）
エボリューション9 コレクション SLGA023

5日巻きスプリングドライブ
日本近海の激しい波のうねりを、型打ちダイアルで表現。搭載するCal.9RA5は、マジックレバー機構をオフセットし、薄型化を図った。自動巻きスプリングドライブ。径43.8mm。ブライトチタンケース＆ブレスレット。168万3000円。

問い合わせ：セイコーウオッチお客様相談室（グランドセイコー）
グランドセイコー公式サイト

ショパールは4つの香箱で9日間パワーリザーブ！

ショパールは2000年、2組の積載式二重香箱によって9日間もの超ロングパワーリザーブを実現した。4つの香箱が備わるので、これを名付けて「ショパールクアトロテクノロジー」。各香箱に収まるゼンマイの総計は、1.885mにも及ぶ。4つが同時に巻き戻るため、互いの回転速度を補正し合い、高精度が得やすいのも利点である。

CHOPARD（ショパール）
L.U.C クアトロ マーク IV

小ぶりな9日巻き
今年登場した9日巻きの第4世代。旧作では12時位置にあったパワーリザーブ計を裏蓋側に移し、ダイアルを整理した。そのブルーダイアルは、微粒子を散らしたマット仕立てが実に上質。クロノメーター取得の高精度を誇る。手巻き。径39mm。18KRGケース。アリゲーターストラップ（インターチェンジャブル仕様のカーフスキンストラップも付属）。602万8000円。問

問い合わせ：ショパール ジャパン プレス
ショパール公式サイト

[時計Begin 2025 AUTUMNの記事を再構成]

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