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2026.10.22
美しい文字盤にはワケがある! 高級時計を彩る「ダイアル装飾」の世界
【ホンモノの価値はココを見ろ! 時計選びの“審美眼”養成講座】
ダイアル装飾
デザインの好みや直感、予算とのバランス、歴史への共感など、時計の魅力は十人十色。ただ、見どころを知ることで、時計が持つ真の凄みや価格の理由がより深く理解できる。本特集では、時計を構成する各要素の注目すべきポイントを、初心者にも分かりやすく解説。自分だけの確かな審美眼をしっかりと養い、運命の愛機を最高の手応えで選ぶ参考にしていただきたい。時計は、決して適当に選んではならないのだ。

見た目の美しさに加え視認性も高める装飾技術
フェイスとも呼ばれるダイアルは、文字通り時計の“顔”。また時を示す針とインデックスの背景となるため、その装飾は単に美しさのためのものではなく、視認性を高めるためでもある。
グレイン仕上げに代表されるマットな質感は光の反射が抑えられ、針位置を確認しやすくなるから古くから好まれてきた。それ以外にもブラストなどによるマット仕上げは、反射を嫌うミリタリーウォッチやパイロットウォッチで多用される。
ギョーシェも同様で、初代ブレゲはフラットな金属ダイアルの反射を抑えるために時計に応用し、さらに各インダイアルに異なる模様を与えるなど機能を視覚的に切り分けるためにも用いた。ギョーシェ専用彫り機は、今は製造されておらず、19世紀末から20世紀初頭に使われたヴィンテージ機を各社レストアしながら使っている中、ブレゲだけが自社でマシンを製作。他社にはない模様もかなえている。
またプレスでギョーシェ模様を再現したモデルも、市場には数多く存在する。その成型の際は、150~200tもの高圧で金型を打ち付けているため、クッキリとした模様を表現できる。
一方、ブラシで放射状の筋目を入れるサンレイは、反射を抑えると同時に光を乱反射させることでダイアルに艶感を生じさせることも1つの目的とする。フラットな単一カラーのダイアルよりもニュアンスが豊かでかつエレガントな雰囲気に。ドレスウォッチはもちろん、スポーツ系でも採用例が多い。
CHECK POINT 立体的な仕上げがあるか?
息を吹き返した伝説の「グレイン仕上げ」を知っているか!?
グレインとは粒の意。元来は酒石英や塩、銀などの粉末と水を混ぜたペーストをブラシでダイアルに擦り込み、マットな質感を得る技法を指す。
PARMIGIANI FLEURIER(パルミジャーニ・フルリエ)
トリック パーペチュアルカレンダー

閏年を含む全暦表示を2つのインダイアルに統合。永久カレンダーをミニマルに表現し、伝統的な技法による真のグレイン仕上げの美しさをダイアルの主役とした。ムーブメントの地板とブリッジは、ケースと同じRG製。手作業による装飾と仕上げが行き届き、優れた美観を放つ。限定50本。手巻き。径40.6mm。18KRGケース。アリゲーターストラップ。1458万6000円。

問い合わせ:パルミジャーニ・フルリエ
パルミジャーニ・フルリエ公式サイト
MORITZ GROSSMANN(モリッツ・グロスマン)
テフヌート シルバーフリクション グリーン

ブランド名の由来となった時計師の生誕200周年記念モデルの1つ。そのダイアルは別名、銀摩擦メッキと呼ばれるグレイン仕上げで繊細なマットシルバーを表現した。ケースはコレクション初のYG製。グリーンのインデックスとの相性が抜群だ。入念に手仕上げしたムーブメントのテンプ受けには、時計師の誕生年である1826を刻んだ。手巻き。径39mm。18KYGケース。アリゲーターストラップ。968万円。
問い合わせ:モリッツ・グロスマン・ジャパン
モリッツ・グロスマン公式サイト
PANERAI(パネライ)
ルミノール PAM01735

最初期のルミノールRef.6152/1の姿をケースサイズを含め、忠実になぞらえた1本。オリジナルのドームアクリル風防も、サファイアクリスタルで再現。お馴染みのサンドイッチダイアルは、やや粗めなグレイン仕上げのアイボリーグラデーションなのが新鮮。ヴィンテージ感は、一層高い。大型ムーブメントによるロングパワーリザーブも当時からの伝統であり、径37.2mmで3日巻きの自社製Cal.P.3000を搭載した。手巻き。径47mm。SSケース。カーフストラップ。184万8000円。
問い合わせ:オフィチーネ パネライ
パネライ公式サイト
VACHERON CONSTANTIN(ヴァシュロン・コンスタンタン)
オーヴァーシーズ・デュアルタイム カーディナルポイント

4つの異なるカラーで、東西南北を表わすシリーズからの1本。このブラウンは、広大な大陸と平原が続く“南”を表現した。やや大きな粒が散らばるグレイン仕上げと相まって、力強い印象となった。リューズで主時針を前後に動かし、現地時間に合わせられるデュアルタイム機能を装備。オレンジ色の針が、9時位置の昼夜表示とともにホームタイムを12時間で示す。自動巻き。径41mm。チタンケース&ブレスレット(ラバーストラップ2本が付属)。651万2000円。

問い合わせ:ヴァシュロン・コンスタンタン
ヴァシュロン・コンスタンタン公式サイト
伝統的な手彫り「ギヨシェ」

18世紀から変わらぬ手彫り機
専用の手動彫り機で金属表面に模様を彫り込む技法で、1786年に初代ブレゲが初めてダイアルに応用した。直線を連続して彫り込むストレートエンジンと、回転運動で複雑な模様が得られるローズエンジンを模様によって使い分ける。
BREGUET(ブレゲ)
クラシック クロノメトリー 7727

ギヨシェは今もブレゲのシグネチャー。本作はテンプの軸受けに強力な磁石を用い、時計の姿勢が変わっても常に軸先を中心に保持して高精度をかなえる。また軸先は半ば宙に浮き、摩擦が少ないため毎秒20振動の超ハイビートも実現。手巻き。径41mm。18KRGケース。アリゲーターストラップ。783万2000円。
問い合わせ:ブレゲ ブティック銀座
ブレゲ公式サイト
細密加工を可能にする「プレス」

高圧プレスでクッキリ模様
凹凸を逆転した模様を彫った金型を、高圧でダイアルの原盤に打ち付けて転写する技法。1枚ずつ彫るギョーシェよりもはるかに量産が容易く、多くのメゾンで採用されている。また模様の制約がほとんどなく、多彩な表現を可能とする。
AUDEMARS PIGUET(オーデマ ピゲ)
CODE 11.59 バイ オーデマ ピゲ オートマティック

水面の波紋のような同心円状の模様は、手彫りギョーシェを原盤とした金型をプレスして成型している。その模様の大小がグラデーションする様子が、実に繊細で美しい。ミリタリー調のカラーリングであっても、エレガントな雰囲気となる。自動巻き。径41mm。SSケース。ラバーストラップ。396万円。
問い合わせ:オーデマ ピゲ ジャパン
オーデマ ピゲ公式サイト
ダイアルが輝きを増す「サンレイ」

太陽光に似た放射状装飾
金属製のブラシ掛けなどでダイアル表面に放射状の筋目を入れて光を乱反射させ、色や質感のニュアンスを生み出す装飾技術。別名は、ソレイユ。より筋目が深い仕上げは、サンバーストと呼ばれることも。
RAYMOND WEIL(レイモンド ウェイル)
A.R.T.デイト

今夏、メゾン唯一のブレスレット統合型コレクションが登場。ケースが小ぶりかつ厚さ10mmを切るフラットな薄型で、ラグスポの王道である。長方形とH型のリンクを組み合わせたブレスレットは、極めて上質。ブルーのサンレイダイアルに気品が漂う。自動巻き。径38mm。SSケース&ブレスレット。37万4000円。
問い合わせ:ジーエムインターナショナル
レイモンド ウェイル公式サイト
[時計Begin 2026 AUTUMNの記事を再構成]
※表示価格は税込み