QUESTION Q&A

機械式ムーブメントの価値はどこで決まるの?

同じようで ココまで 違う!!肉眼では 判別できない核パーツ6にズームイン!!

ムーブメントの核パーツ01 ネジ

機械製品において、ネジはもっとも基本的なパーツ。何を組み立てるにしたって、コレがなければ始まらない、基本のキの部品だから、メーカーのやる気も滲み出る。

安物ムーブメントは基礎のネジから問題あり

助手 博士、今日はよろしくお願いします。それで、2 つのムーブメントの部品を比べてみるという話ですが、何で、ネジが一番なんです?
博士 キミは修業が甘いな。受け板やレバー、ローターを固定しているのは、何だ?
助手 ネジですよね。
博士 そう。ほとんどの部品はネジで留める。機械の基本中の基本じゃろうが。カメラでアップにすれば、さすがにわかるだろう?
助手 うわあ……普通の自動巻きは、ひどいですね。カドがガタガタ。ブライトリングの方は、面取りまでされててキレイだ。
博士 ネジの頭の溝も、ドライバーの使い方が雑でガタガタにされているのがわかるだろう?こんなところから、違いがあるんじゃよ。

ムーブメントの核パーツ02 アンクル

時計の精度を司る脱進機内の重要部品。これが規則正しく左右に振動するから、時計全体の機構もキチンと動く。小さいながらも時計の根幹をなす部分なのだ。

微細パーツだから出る大きな技量の差

助手 今度はアンクルですね。こんなにちっちゃくて、違いなんて出るんですか?
博士 やっぱりわかっていないなあ……微細だからこそ、工作精度に大きく差が出るんじゃないか。ほら、比べてみたまえ。
助手 サイズをですか?
博士 ボケるのも、いい加減にしたまえ。爪石のルビーの取り付け部分を、よく見ろ。
助手 うわ、何だこの赤い塊。
博士 赤いのは接着剤の塊が固まったもの。とにかく接着剤をいい加減にポンとのせ、グチャッとくっつけただけなんだな、安物は。
助手 なるほど。ブライトリングの方のアンクルは……接着剤がはみ出してもいなくて、キレイですね。
博士 必要な接着剤の量がわかってるから、適切な量だけ使い、技量があるから、はみ出したりもしない。
助手 安物の方は、厚化粧と同じですね~。お肌の荒れを隠すために、とにかく盛っちゃえと。アゲハ系の女の子にありがちな……。
博士 どういう喩えだよ、それ……。

ムーブメントの核パーツ03 ヒゲゼンマイ

ヒゲゼンマイは、ゼンマイからの動力を受け取り、収縮しては広がりを繰り返し、テンプやアンクルの左右の振動を生み出す。一定のリズムで動くことが要求される。

ダラリとだらしなく伸びるのはアウト
助手 博士、今度は何をしてるんですか?
博士 ほら、テンプを付けた状態のヒゲゼンマイを、この台にセットすると……重みでビローンと伸びるだろ?
助手 確かに安物のほうは、ウチのバアさんのパイ◯◯みたいに、完全にビローンといっちゃってる。あーこれはまた、差がわかりやすい。
博士 普通の自動巻きのヒゲゼンマイはだらしなく、ダラリと伸びて、円筒形に近くなっている。だが、ブライトリングの方は、ほどほどのところで、円錐形を保っている。
助手 なるほど~。そういえば、ブライトリングのヒゲゼンマイは、ちょっと太めで、弾力もありそうですね。
博士 逆に普通の自動巻きのヒゲゼンマイは、細くて弾力が不足している。ちょっとしたことで、形状変化が起き、規則正しい収縮・開放の運動が乱れ精度が悪くなることもあるのだ。
助手 わかりました。何事につけ、しっかりと引き締まったものがよく、だらしなくたるんだものは良くないというわけですね。
博士 なぜ私の下半身を見ながら言う?

ムーブメントの核パーツ04 ガンギ車

アンクルがこの歯車を規則正しく停めては蹴り、停めては蹴りを繰り返し、この歯車と噛み合う四番車を60秒周期の回転スピードに調整。時計の精度の要の一つだ。

工作精度が心配になる表面仕上げ

助手この歯車は、何でこんな形をしてるんでしたっけ?
博士今さらだな。さっきのアンクルのルビーの爪石が、歯車の刃先に引っかかって停まり、さらに蹴られて、また動きの繰り返しになる。それに合った形になっとるんだ。
助手なるほど。ちゃんと形にも意味があるんですね。
博士それにしても、軸についている小歯車(カナ)も、ブライトリングの方がぶっとくて、ピンと立ってて、逞しいな。
助手ちょ……博士、その表現、何か変ですよ。ちゃんとポイントを説明してください。
博士普通の自動巻きは、表面が、削り出したままでザラザラだ。ブライトリングの方は、実に滑らかで、丁寧に仕上げている。歯車の歯の工作精度も違うかもしれないな。それを確認するには、顕微鏡が要るが……。
助手そんなに細かい話なんですか?
博士紙一重どころか、髪の毛1本の差でさえ、取り返しのつかない誤差になることがあるのが、時計の世界というものだからな。

ムーブメントの核パーツ05 ローター

自動巻き上げ機構を作動させるための動力源となる回転錘が、ローターだ。腕時計をする腕が動くたびに、ローターが動き、その力でゼンマイが巻き上がる。

小さなベアリングが巻き上げ効率の差を生む
助手 このパーツが回転して歯車を回し、それと連動してバレル(香箱)が回って、中のゼンマイが巻き上がると。
博士 そう。ローターの回転が滑らかで、力強いほど、ゼンマイもスムーズに巻き上がるわけだが……。普通の自動巻きは、ブライトリングに比べて、動きが悪いな。
助手 本当ですね。何が原因でしょう?
博士 なるほど、よく分かるようにローターをバラしてみよう……。ここだ、ここ。
助手 ああ、回転部分に使っているベアリングですか。普通の自動巻きは5個で、ブライトリングは7個ですね。
博士 滑らかに回転するパーツが多い方が抵抗は小さくなるから、納得だ。ついでに言えば、工作精度の良し悪しも、関係してくるかもしれないな。ともあれ、小さな玉でも、時計を動かすのに大きな影響があるわけだ。
助手 玉が増えれば、元気になるっていうのなら、僕だっていくつか欲しいですよ~。
博士 いい加減、キミも意味のよく分からない話をやめんか。

ムーブメントの核パーツ06 バレル

日本語では香箱(香箱車)と呼ばれ、時計全体を駆動させるゼンマイを格納する。中のゼンマイを動力として回転。二番~四番車、そして脱進機へと力が伝播する。

ゼンマイの太さ・長さが駆動時間の差を生む
助手 言ってみれば、この円盤が、時計のスタミナの源というわけですね。
博士 その通り。まず、両者は見た目に違いが出ている。普通の自動巻きの方は、駆動時間が約40時間。ブライトリングの方は、駆動時間が約70時間。ブライトリングの方がバレルも大きく、サイズの違いがパワー(トルク)の違いに直結してくるわけだ。
助手 大きいと、強くて、持続力もあると。
博士 ちょっと待て……話を変な方に引っ張るなよ。とりあえず、バレルを開けるから……。ああ、中身のゼンマイも、ブライトリングの方が、太くて長いわけだ。
助手 太くて長いから、動きが持続するし、みんなが喜ぶわけですよね。
博士 だから、変な方向へ話を引っ張るんじゃないぞ。ともあれ、太いゼンマイの方が反発力が強く、大型のバレルだから、長いゼンマイをキチンと格納できる。
助手 それだから、20時間もの駆動時間の差ができるというわけですね。
博士 その通りじゃ(ホッ)

【結論】時計の価値は「側」だけでは分からない!

外装についても、今回のムーブメントのように丹念にクローズアップすれば、違いが出るだろうが、一見しただけでは分からないものなのだ。やはり時計の真の価値を理解するには、中に納められている、機械の質を知ることが最重要。時間をかけて作ったメカニズムは違うのだ。

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