オリスが全力でチャレンジした量産タイプの自社製ムーブメント、キャリバー400。
このムーブ、どうやらタダ者ではなさそうだ。
写真/岸田克法 文・構成/市塚忠義

「オリスは一部の富裕層だけでなく、時計を愛する多くの人のために時計を作る」。オリスが新しく開発した自社製ムーブメント、キャリバー400の凄さは、開発チームを率いたビート・フィッシュリ氏のこの言葉に最も端的に表われている。例えば機械式時計のオーバーホール。3、4年おきに数万円がかかるとなれば、購入をためらう人も多いだろう。こんなに頻繁にメンテナンスしないと本当に壊れてしまうのか、という疑念も残る。
キャリバー400を搭載しているモデルのオーバーホール推奨期間は、なんと10年間。つまりメーカー保証期間も、10年間(マイオリス登録で)なのだ。この数字だけでも、新ムーブの優秀さが理解できる。それを可能にしたのは自動巻きの最も故障しやすい2大ポイントを克服したことだ。
1つは回転ローターの摩耗の軽減だ。オリスは長年の経験から自動巻きムーブメントの故障の多くがゼンマイの巻き上げシステムにあると判断。通常のボールベアリングではなく、より消耗の少ないスライドベアリングシステムを導入した。そしてもう1つは、耐磁機能。シリコン製脱進機に加え、30以上のパーツを耐磁性に。キャリバー400は、2250ガウスの磁気に晒された後でも日差10秒以内を実現。ISO764による耐磁性の基準は、200ガウスに晒した後の日差が30秒以内。つまり基準の11倍の磁力に対し、日差はその3分の1に収まっている。
誰もが安心して長く使える時計を作る――。簡単そうで、簡単ではないこの命題に、オリスは信念を持って応えた。最高傑作ムーブメントを搭載する2つの新作モデルを、ぜひその手で確かめてみて欲しい。
 

 
 ラバーストラップは裏のボタンでSS製のブレスレットにも簡単に付け替えることができる。なお、SSブレスレット装着モデルの価格は37万4000円となる。
ラバーストラップは裏のボタンでSS製のブレスレットにも簡単に付け替えることができる。なお、SSブレスレット装着モデルの価格は37万4000円となる。
 

 
