2018.12.25

グランドセイコーの“ウチの薀蓄”「61GSは大阪城本丸跡地に埋められている!」

1970年当時を代表する男性用腕時計として選定

岡本太郎氏作の太陽の塔がシンボリックにそびえ立ち、アポロ12号が持ちかえった月の石を一目見ようと、長蛇の列ができた。1970年に開催された日本万国博覧会、通称・大阪万博は、77カ国が参加した戦後最大のビッグイベントだった。参加国に加え、多くの企業もパビリオンを出展。大阪を発祥とする松下電器(現パナソニック)も、その中の1社だった。その展示品の一つに、タイムカプセルがあった。

大阪万博開催を記念し、当時の文化を後世に伝えることを目的に1967年に毎日新聞社と共同でプロジェクトがスタート。物品と記録類、計2098点が選定され、2つのタイムカプセルに収められた。その収納品の男性用腕時計の代表として選ばれたのが、「61GS」だった。2つのタイムカプセルは1971年、大阪城公園本丸跡に埋設。その上にはモニュメントが築かれた。上下に重ねて埋められた各カプセルの内、上側の第2号機は、西暦2000年に一度掘り出され中身をチェック、以降100年ごとに検査が行われる。対して下側の第1号機を地中から取り出し開封するのは、なんと西暦6970年! つまり、万博開催から5000年後に設定されている。遥か未来の日本人が、61GSを見て何を思うのか? 何とも、夢がある。

大阪万博で、5000年後に開封するタイムカプセルに収納

1968年~ 61GS
ハイビートムーブ搭載の最高峰機
タイムカプセルに収められた時計の同型機。実際に収納されたのはブレスレット仕様で、SSケース仕様としては、かなり高価なモデルだった。1968年に販売された傑作61GSは、当時国産初の自動巻き10振動モデルだった。毎時3 万6000振動のCal.6145をベースに、曜日表示を追加したデイデイト装備のモデルが、タイムカプセルに眠っている。

 

 

5000年後の人々にもGSがとどく!?

SS製のカプセルに完全密封
5000年後の未来を地中で待つ

正式名称は「タイム・カプセル EXPO’70」。内径1mの球形で、ニッケルとクロムを主体とした特殊ステンレス鋼だ。内部は29個の小容器に分割。2098点を収納した後、アルゴンガスを充填し、2重の蓋をそれぞれ電気溶接で密閉した。埋設溝は、地下15m。上側に埋まる第2 号機は2000年以降、100年ごとに取り出して中の状態が調べられる。埋設場所にはモニュメントがあり、人目を引く。

 

当時最高基準のメカニカルハイビート

スイス天文台コンクールで培った技術を市販モデルに
セイコーは1964年からスイスの天文台の精度コンクールに参加。高精度を得る手段として、セイコーが選んだのはハイビートだった。そこで培った技術を応用し、1968年に毎時3 万6000振動のCal.6145を発表。これを初搭載したのが、61GSであり、そのデイデイト版であるCal.6146がタイムカプセルに収められた。当時最高峰のハイビートの市販モデルは、大阪万博開催当時の文化を伝える腕時計の代表として、まさにふさわしい。

 

メカニカルハイビート搭載の現行モデル

グランドセイコー SBGH255
深海に至るハイビート

セイコーが誇る飽和潜水対応ダイバーズに、ハイビートを搭載。ダイヤルを純鉄製とし、耐磁性も高めたプロ仕様だ。防水性能は600m。自動巻き。径46.9㎜。チタンケース&ブレスレット。100万円。お問い合わせ先:グランドセイコー専用ダイヤル

グランドセイコー SBGH201
正確で見やすく、美しい!

両サイドをファセットカットしたケースは、伝統の「セイコースタイル」を継承。白ダイヤルとコントラストを成す、ブルーの秒針でハイビートが際立つ。自動巻き。径40.2㎜。SSケース&ブレスレット。62万円。お問い合わせ先:グランドセイコー専用ダイヤル

グランドセイコー SBGJ203
ダイヤルにも凝るGMT

24時間表示のGMT針を備えるメカニカルハイビート機。その赤が映える黒ダイヤルは、雄大な岩手山の山肌を表現したパターンを採用する。自動巻き。径40㎜。SSケース&ブレスレット。67万円。お問い合わせ先:グランドセイコー専用ダイヤル

<strong>グランドセイコー SBGH255<br />深海に至るハイビート</strong><br />セイコーが誇る飽和潜水対応ダイバーズに、ハイビートを搭載。ダイヤルを純鉄製とし、耐磁性も高めたプロ仕様だ。防水性能は600m。自動巻き。径46.9㎜。チタンケース&ブレスレット。100万円。お問い合わせ先:グランドセイコー専用ダイヤル
<strong>グランドセイコー SBGH201<br />正確で見やすく、美しい!</strong><br />両サイドをファセットカットしたケースは、伝統の「セイコースタイル」を継承。白ダイヤルとコントラストを成す、ブルーの秒針でハイビートが際立つ。自動巻き。径40.2㎜。SSケース&ブレスレット。62万円。お問い合わせ先:グランドセイコー専用ダイヤル
<strong>グランドセイコー SBGJ203<br />ダイヤルにも凝るGMT</strong><br />24時間表示のGMT針を備えるメカニカルハイビート機。その赤が映える黒ダイヤルは、雄大な岩手山の山肌を表現したパターンを採用する。自動巻き。径40㎜。SSケース&ブレスレット。67万円。お問い合わせ先:グランドセイコー専用ダイヤル

 

[時計Begin 2018 AUTUMNの記事を再構成]
写真/小澤達也(Studio Mug)、岸田克法、谷口岳史 文/髙木教雄、岡崎隆奈