2019.05.14

絶対精度の鬼「シチズン」のクォーツはココがすごい【国産時計が面白い】

光発電エコ・ドライブにしてパーペチュアルカレンダーのクォーツは修正要らずの年差±5秒が旗艦

世界で初めてアナログ式光発電時計を開発したシチズンは、高精度なクォーツ作りにおいても世界随一の技術力を誇る。ここではその2つの美点を高度に融合させたモデルをご紹介したい。

 

文字盤に和紙を使いCITIZENソーラーパネルに色気が!

ザ・シチズン
AQ4030-51E

どこからでも視認性が高く、流行に左右されないスタンダードなデザイン。文字盤には三大和紙のひとつで、国の伝統工芸品に指定される「土佐和紙」をエコ・ドライブとして初採用。結果、光を透過しつつ、角度によって表情を変えるかつてないモデルとなった。クォーツ。径38.4㎜。スーパーチタニウムTMケース&ブレス。10気圧防水。37万円。お問い合わせ先:シチズンお客様時計相談室

和紙に印字や植字を施した透明な上板を重ねる二重構造を採用。これにより和紙の風合いを損なわない画期的な文字盤が実現した。

 

水晶振動子は寝かせて1日1440回検温

クォーツの精度は心臓部である水晶振動子の品質に大きく左右される。そこでシチズンでは水晶振動子を₃ヵ月間寝かせ、選りすぐりの高精度な個体のみ時計に組み込んでいる。さらに水晶振動子の精度は温度変化にも影響されるため、ムーブメントには温度補正機能まで搭載。1日1440回、自動的に時計内部の温度を0.1℃刻みで測定し、温度差による周波数の補正も行っているのだ。

光ある限り動き続けるエコ・ドライブ
シチズンが世界初のアナログ式光発電時計を生み出したのは1976年。以来このエコ・ドライブ技術に磨きをかけ、今や光のないところでも1年半動き続ける省エネ性まで獲得!

 

クォーツの大家の技術はこんなにも凄かった!?

「正確に時を刻む」という時計の第一義に対し、常に凄まじいこだわりを見せてきたシチズン。その到達点として標準電波やGPS衛星電波を受信するモデルもラインナップするが、じつはそうした最新の時刻修正システムを積まない“素”のエコ・ドライブ機でも、凄まじい正確性を叶えている。それが今頁で紹介した「ザ・シチズン」だ。

搭載するクォーツムーブは、なんと年差±5秒! これは実用クォーツとして世界最高峰の精度である。しかも今作のカレンダーは、一度設定してしまえば2100年2月28日まで修正不要の “パーペチュアルカレンダー”なのだ。シチズンのクォーツ技術の集大成的ムーブといえるだろう。

さらに今作はエコ・ドライブとして画期的な試みもなされた。なんと文字盤に光を透過する和紙を採用。これにより奥行き豊かな表情も得ている。長年着用しても飽きのこないスタンダードなデザインのうちに、その名の通りブランドの高度な技術と美学を凝縮させたスペシャルモデルだ。

年には年差±1秒のモデルも実用化!
2018年バーゼルでシチズンは年差± 1 秒の超高精度なエコ・ドライブムーブ「Cal.0100」を発表。その時点では試作だったが、今年中に遂に腕時計で市販化されるとのニュースをキャッチした。時計の内部機構だけで自律的に正確無比な時を刻むこの時計、激しい争奪戦は必至?

[時計Begin 2019 SPRINGの記事を再構成]
文/高木教雄 構成/市塚忠義