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2019.09.10
【ラドーの百年物語】歴代の復刻モデルが絶好調。昔の時計のこと、もっと知りたい!!
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ここ数年、ラドーの名作がつぎつぎに復刻され、注目を集めている。
そこで、約1世紀にわたる同社時計製造の歴史をふり返ってみた。
実用の観点から先進素材を見きわめる革新的な気質
ラドーの歴史は、1917年に創立された「シュルップ・アンド・カンパニー」に始まる。同社はフリッツ、エルンスト、ヴェルナーの3兄弟が、スイス・レングナウで創業したムーブメントメーカーであり、その後、経済学者のポール・ルーテー博士が経営に参画することによって、腕時計製作にも着手した。
1950年代、シュルップ兄弟社は「ラドー」のブランド名のもとに時計販売をスタート。そして’57年、ラドーとして初めてモデル名が与えられたコレクション「ゴールデン ホース」が誕生する。当時は画期的な12気圧の防水性を備えたこのモデルは、凸型のボンベ文字盤の12時位置に、赤をバックに動く錨を擁した象徴的なロゴを装備。これは時計が自動巻きムーブメントで作動することを表し、現在まで使われている。
’60年代にはラドーの革新性を示すモデルがデビューする。当時、ゴールドをはじめ、ケース素材の脆弱性を問題視していた同社は、工作器具に用いる硬質合金ハードメタルに目をつけ、これをケースに取り入れた「ダイヤスター」を開発。’62年に“傷と無縁な世界初の時計”として売り出され、その個性的な外観とともにラドーの代表作へと成長していく。
また同年、ラドーを象徴するもうひとつの作品「キャプテン クック」も登場。グリーンのスーパールミノバを塗布した黒文字盤に矢型の針を備え、ダイバー用の回転ベゼルを搭載したこのモデルは、デザイン変更を繰り返しながら同社スポーツモデルの代表格として人気を博した。
時を経て’80年代、ラドーの革新性を決定づけるモデルが生み出された。’86年発表の「インテグラル」は、それまで航空宇宙業界や医療分野で使用されてきたハイテク素材のセラミックを腕時計に初採用。さらに’90年にはケース&ブレスをセラミック素材で統一し、これらが完全に一体化したデザインとなる「セラミカ」も発表した。これにより同社は、いまやSSやチタンと並ぶこの代表的外装素材のパイオニアとなったのである。
ハードメタルしかり、セラミックしかり、ラドーが成し遂げた“素材革命”は、すべてが時計の実用性向上に貢献するもの。それゆえ同社は、真の革新ブランドと呼ばれるわけだ。
(1930~1960)
歴史的名作を生んだ’50~’60年代
前身であるシュルップ兄弟社時代の角型時計などに次ぎ、1957年に「ゴールデン ホース」をラドーの名で初めて発表。同モデルは数々のバリエーションを生む。’60年代に入ると、超硬素材ケースの「ダイヤスター」、スポーティなダイバーズ「キャプテンクック」、スクエアケースの「マンハッタン」などの代表作を次々に発表する。

Vintage

Golden Horse

Satellite

DiaStar 1

Captain Cook
(1970~1990)
素材で革新をもたらした’80年代
ラドーの歴史の中で"実験の10年" に位置づけられる’70年代を経て、’80年代には新たな独自コンセプトを追求。’86年に時計に初めてセラミック素材を用いた「インテグラル」を発表。そして’90年には、ケース、リューズ、ブレスをセラミックで統一した初のモデル「セラミカ」を投入し、時計業界に素材の分野で革新をもたらす。

Manhattan

Starliner

Murano

Integral

Ceramica
★ラドーの3大レジェンドはコレ!!★
本誌独自の視点により、ラドーの3 大モデルを「ゴールデン ホース」「ダイヤスター」「キャプテン クック」に決定。これらは今も現行モデルとして受け継がれている。

ラドーの名のもと、象徴的な錨のシンボルとともに最初に発売されたモデル。それまで、ペットネームが与えられた時計は存在せず、これが記念すべき第1号となった。

工作用器具などに使われていた硬質合金をケース素材に採用した世界初のモデル。個性的なオーバル型が特徴で、現在は「オリジナル」の名で継続されている。

ダイヤスターと同年、ダイバーズタイプのスポーツウォッチとして誕生。その後モデルチェンジが繰り返されたが、2017年に初代のスタイルを踏襲して復刻された。

まだシュルップ兄弟社として活動していた1928年、同社は初めて「ラドー」の名称登録を行っている。ブランド名が正式にラドーとなったのは30年後の1957年である。
ラドーの名を一躍有名にした傑作腕時計
このモデルから全てが始まった!!
初めてラドーの名を冠して発表された「ゴールデン ホース」。
だが、それだけでは語れない魅力がこのモデルにはある。
RADO
ゴールデン ホース 1957 リミテッド エディション
1950年代名作デザインを完璧に再現
1957年に登場したラドー名義初のモデルを復刻。初代と同じフォントや錨のシンボル、タツノオトシゴなどを配した文字盤のデザインを忠実に再現しつつ、80時間パワーリザーブの最新キャリバーETAC07.611を搭載。自動巻き。径37mm。SSケース。5 気圧防水。各限定1957本。左/ブラック&レッドグラディエント文字盤。カーフストラップ。18万円。右/ブラック文字盤。SSブレス。19万円。
今年ついに、あのレジェンドを復刻!!
Golden Horse ゴールデン ホース
一昨年の「キャプテン クック」に続き、今年は「ゴールデン ホース」が復活。
ラドーの歴史において特別なモデルだけに、その仕上がりは本気そのもの!
歴史的重要作ゆえのパーフェクトな再現
上に述べたとおり、1917年にムーブメントメーカーとしてスタートしたシュルップ兄弟社が、時計の文字盤に現行のブランドロゴで販売した最初のモデルが「ゴールデンホース」である。まだ時計が金などの貴金属製品が中心の豪華品だった’50年代、SS製の本作を生み出すことは大胆な試みといえた。文字盤の仕様においても、凸型のプレート上に傾斜をつけて配したインデックスとドーフィン針、白を背景に赤色の数字で示されるデイト表示など、その実用を重視した姿はまさに“形態は機能に従う”を体現していた。
そして今回、ラドーがこの歴史的作品を復刻するにあたり、最大限に気を配ったのは、ただひたすらオリジナルに忠実であること。不要な装飾性はいっさい加えることなく、機能性のみが優先されたのである。
まず、黒から赤へと変化するグラデーション文字盤の6時位置に記された“Golden Horse”は、1957年のオリジナルで使用された文字と同じフォントが使われている。同じく12時位置の動く錨のシンボル、6時位置の2匹のゴールドシーホース(タツノオトシゴ)も忠実に復元され、ドーフィン針や楔形インデックス、赤数字のデイト表示といった細部までが完璧に再現された。
また、このモデルの名称の由来となるタツノオトシゴは、ねじ込み式のケースバックにも3匹、同じ数の星とともに刻み込まれているが、これもオリジナルを踏襲したものである。ケース径は37mmと小ぶりで着けやすく、ヴィンテージ風のルックスを演出することにも貢献している。
このようにリアルに再現する一方、現代の使用に見合う取り組みも忘れていない。たとえばオリジナルに装備されていたアクリル風防は、サファイアクリスタルをボックス型に仕立てることで、古風な外観のまま強靭かつクリアに。さらに80時間パワーリザーブの高性能ムーブを搭載して、ハイレベルな機能性を確保した。
外観はレトロそのものだが、使用感はあくまで現代的。この完成度の高さを見れば、ラドーが「ゴールデン ホース」をどれだけ大切にしているのかがお分かりいただけるだろう。


ケース&リューズはポリッシュ仕上げ。オリジナルのアクリルガラスに代え、ボックス型のサファイアクリスタルを採用。ケースバックには3 匹のタツノオトシゴと星のほか、LIMITEDEDITION OUT OF 1957の刻印を施した。
モデル名の由来
金色のタツノオトシゴ
モデル名の由来は、文字盤6時位置で向かい合う2 匹の"タツノオトシゴ"。ユニークな形状が特徴の魚類だが、その英語名であるシーホース(Seahorse)にちなみ、これをゴールドカラーでデザインしたことにより「ゴールデン ホース」となった。
キャプテン クックの復刻モデルにも注目!
ラドー キャプテン クック オートマティック
オリジナルデザインのまま現代的サイズにした新作。セラミック製の回転ベゼルを装備。自動巻き。径42mm。SSケース。20気圧防水。右/ブラウン文字盤。カーフストラップ。21万円。左/ブルー文字盤。SSブレス。21万円。
ラドー キャプテン クック オートマティック
1962 リミテッド エディション
初代をケース径まで忠実に再現した限定新作。ミラネーゼブレスまたはNATOストラップ収納のトラベルポーチ付き。自動巻き。径37mm。SSケース。カーフストラップ。10気圧防水。限定1962本。22万円。
商品の問い合わせ/
ラドー/スウォッチ グループ ジャパン ☎03-6254-7330
https://www.rado.com/
[時計Begin2019 Autumnの記事を再構成]
写真/岸田克法 文/岡崎隆奈 構成/市塚忠義