強烈なGや衝撃、機内の振動まで…パイロットウォッチの堅牢性とは？

堅牢性
急反転時の強烈なＧや衝撃、機内の振動まで
過酷な状況から時計本体を保護するために

地表から遠く離れて繰り広げられる飛行は重力、衝撃、振動など、想像を絶する負荷の“嵐”。非日常的状況にどう備えるか、が命運を握る。

頑丈でなければ、航空用時計にあらず！

パイロットウォッチはあくまでタフでなければならない。というのは、ときに急上昇や急降下、急反転など立体的な高速運動をともなう飛行は地上では考えられないほどの重力（Ｇ）がかかるうえ、こと小型機の場合は操縦席が狭く、周囲のフレームなどに始終時計をぶつけることにもなるからだ。さらにエンジン、乱気流などによる激しい振動も、精密機器である機械式腕時計にとっては大敵だ。

というわけで正統のパイロットウォッチは基本的に耐衝撃性、耐振動性、さらに性能を長期にわたって維持しやすい構造などを備えている。往年の軍用航空時計を復刻したハミルトンのパイロットウォッチは、とりわけ激しい負荷のかかる戦闘機での使用に耐えるよう特別設計されたマッシブなフォルムを再現。最新機種には見られない、丸っこい素朴な面立ちは一見懐古調の“オシャレ時計”のようでもあるが、決してあざといデザインではなく、性能を優先した結果なのだ。

この復刻版は最新ムーブの採用で約₈₀時間の連続駆動も達成し、むしろガンガン使える頼もしい実用品。パイロットウォッチの本領発揮、である。

頑丈で時計をしっかり固定する太く短いラグ

一般的な時計に比べてラグに厚みがあり、また長さも短いため、ケース全体が強固な一塊となって堅牢性が向上。衝撃が加わった際、ムーブメントへの影響を最小限に食い止める。ベルトとの接合部も一体感が強まり、強烈なＧが加わっても耐えられる構造だ。

フル巻き上げの状態で約80時間の連続駆動が可能なCal.H-50を搭載。外観はレトロでもスペックは最新仕様だ。

激しいGでもちぎれない分厚いブレスレット

最新ジェット機の旋回時にかかるGは想像を絶する。急旋回や急上昇・急降下が”生業”のアクロバット飛行チームのために開発されたこちらの時計。過大な荷重によるブレスの破損を防ぐため、通常よりもコマが厚く、ラグの接合部もねじ式でより堅牢な構造となっている。

あらゆる細部が考え抜かれた究極のパイロット仕様

メンテナンス性から軍が要請強化アクリル風防

ジンの103.B.AUTOの風防は現在主流のサファイアクリスタルではなく、アクリル製。アクリル風防は傷がついても磨いて何度でも補修できるため、時計を酷使する軍の要望で採用されたという。アクリルとはいえ強化型の素材。恒久性が合理的に追求されているのだ。

インデックスと指針には、高輝度が長時間にわたり持続するスーパールミノバ夜光をセット。暗所の視認性も申し分ない。

風防をしっかりガードするライダータブ

1980年代にイタリア空軍と共同開発された初代から進化を重ねてきた＂クロノマット＂。最新現行で復活したライダータブは回転ベゼルを操作する際、指をかけるポイントとなる部位だが、実は風防が障害物に当たって破損するのを防ぐバンパーの役割も併せもつ。

BREITLING（ブライトリング）
クロノマットB01 42 ジャパンエディション
シルバーのクロノ秒針が 映える日本限定バージョン
「15」と「45」を入れ替えてカウントダウン／アップのいずれにも使えるライダータブや、特徴的なルーローブレスなど初代の意匠を最新スペックで採用。自動巻き。径42㎜。SSケース＆ブレスレット。200m防水。89万円。問い合わせ：ブライトリング・ジャパン

同社が2009年に満を持して発表した、完全自社開発・製造による自動巻きクロノグラフムーブメントCal.01を搭載。

[時計Begin 2020 autumnの記事を再構成]