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2021.11.13
その時計は強心臓ムーブを搭載しているか
アップデートしたパワーマティック80
強心臓ムーブを搭載している
時計の本当の価値は、何といっても搭載するムーブメントで決まる。長時間駆動＋高耐磁の高性能キャリバーを、ティソは身近にする。
新旧２つのひげ用合金を比較
新合金の開発でひげゼンマイが進化
スウォッチグループ傘下のニヴァロックス・ファー社は、ひげゼンマイ、テンワ、脱進機をグループ外にも提供するトップ・シェアのサプライヤー。シリコン製のひげゼンマイと脱進機を製作する技術も持つ。2019年には、ひげゼンマイ用の非磁性合金ニヴァクロンを、なんとオーデマ ピゲと共同開発した。
全く反応ナシ！
ニヴァクロンは、チタンとニオブを主母材とした新合金。鉄の含有量は極めて少なく、磁石に反応しない。緩急針が使え、既存ムーブへの置き換えが容易。
歪みまくり！
これまでのひげ用素材ニッケルスチールは、ステンレス合金の一種。弾性に優れ、温度変化にも強いが、鉄を含むため磁石に反応し、磁気帯びする。
高耐磁へと進化
ニヴァクロン製ひげゼンマイとなった、最新版のパワマティック80を搭載。ニヴァクロンは、既存のひげゼンマイの10～20倍もの耐磁性能を持ち、身近のいたる場所に強力な磁石が潜んでいる現代社会において、心強い。
計3モデルを展開
自動巻きの＂PRX＂はブルーダイヤルに加え、ベゼルにPGのPVDを施したリッチな見た目のバイカラーも用意され、そのダイヤルにはクールなシルバーを用いている。8万5800円。
計3モデルを展開
自動巻きの＂PRX＂はブルーダイヤルも選べる。8万2500円。
TISSOT
エントリー価格でも大満足の機械式時計
スイス時計産業は、クォーツショックをきっかけにブランドや関連企業の統廃合・グループ化が進んだ。そうした中、生まれたスウォッチグループは、ブランドのみならずムーブメント会社のＥＴＡ、脱進機とひげゼンマイが専業のニヴァロックス・ファー社といった、多くの関連企業を傘下に収める。時計製造に関するすべてがグループ内で完結し、研究・開発をブランドで共有できることが最大の強み。ゆえに機械式時計を、エントリー価格で展開することを可能にする。
このティソの新作も、極めて高性能な自動巻きムーブメントを搭載する。ＥＴＡと共同開発を進め、２０１３年に誕生した「パワーマティック80」の最新版である。グループ外のブランドも多用するキャリバー２８２４をロービート＆フリースプラング化。38時間だったパワーリザーブは80時間まで延ばされ、クロノメーター取得も可能な高精度をかなえたことで、発表時には大きな話題となった。それがさらに、磁気に強く進化。ニヴァロックスが開発した、非磁性合金ニヴァクロン製ひげゼンマイを採用したのだ。
３日間を超えるロングパワーリザーブを備え、精度と耐磁性能に優れる──実に頼もしい高性能自動巻きパワーマティック80を、ケースとブレスを完全統合したスタイリッシュな外装に収める「ティソＰＲＸオートマティック」を、ティソは８万２５００円で提供。エンボス加工したダイヤルの仕上がりも上々。この時計の価値は、間違いなく価格以上であり、高い満足感が必ず得られる。
[時計Begin 2021 autumnの記事を再構成]