2021.11.11

200年を超える老舗時計ブランド創業年ランキング国別検証

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積み重ねてきた長い歴史がある

時計界には、創業から200年を超える老舗が、いくつもある。長い歴史の中で積み重ねた技術の研鑽と技巧とが、価値ある時計を生む。

優れた歴史的遺産を手本に新たなヘリテージを創出

オーデマピゲは老舗時計ブランドの中で唯一、創業者一族による家族経営を連綿と継続してきた。これは、極めて幸運な例。ほとんどの老舗時計ブランドは、何度も経営危機に陥り、他社に譲渡され、現代にいたっている。経営を脅かした要因は、戦争や金融恐慌、クォーツショックなど。繰り返す経営危機に見舞われながら、今も名を残す老舗は、単に長い歴史を持つだけでなく、未来に受け渡すべきヘリテージを持つ名門揃いである。そして今の経営陣は、ブランドの正統性を確立するために歴史を精査し、特徴ある機構やデザイン、装飾などをすくい取り、現代的に進化させる丁寧な時計製作を続けている。

例えば現存する最古の時計ブランド、ブランパンは、1983年に復興を果たすと、ミニッツリピーターをはじめとする複雑機構を発表。実力派メゾンとしての名声を、取り戻してゆく。さらにスウォッチグループ傘下になって後の2010年には、ムーブメント会社フレデリック・ピゲと経営統合され、自社製ムーブメントの開発に一層の拍車がかかった。

英国時計の名門アーノルド&サンは、長い休眠状態を経て、1995年にスイスで復活。そして2010年、優れたムーブメント製作で知られるラ・ジュー・ペレ傘下となって、創業者製作の懐中時計に倣う英国スタイルの上質なモデルを次次と生み出して、見事に再興を果たした。

パリで創業したブレゲも、経営陣の交代を受け、1976年から製作拠点をスイスに移した。稀代の天体時計師が創業した名門は、1999年にスウォッチグループ傘下となったことで、大きな飛躍を果たす。カギとなったのは、やはりムーブメント会社。名機を多く持つヌーベル・レマニア社と統合させて、その工場に資本投資をし、拡張。高級ムーブメント製作を推進すると同時に、様々な革新的複雑機構の開発も可能としたのだ。

東西冷戦で休眠を余儀なくされたドイツの名門A.ランゲ&ゾーネが再興を果たしたのは、1990年のこと。その4年後に当時VDOグループ傘下だったジャガー・ルクルトとIWCの技術協力で、極めて上質に仕上げられた4つのコレクションを発表。世界的に大評判となった。以降、創業の地でザクセン州の伝統的技術を受け継ぎ、独創的な自社製ムーブメントの数々を生み出している。

これら各国を代表する老舗時計ブランドは、機構的に優れているのはもちろん、そのムーブメントと外装の仕上げの美しさでも極めて評価が高い。蘇った名声を再び失わないよう、徹頭徹尾、心血を注いだ真摯な製作を続ける老舗の時計は、未来に受け継ぐべき現代のヘリテージだ。

古豪ブランドを有する4強

ヨーロッパで、古くから時計の歴史に関わってきたのは、イギリス、スイス、フランス、そしてドイツ。ブランド創業年のランキングを見ても、この4ヵ国が、精度の良い時計を競い合ってきたのがわかる。現在、高級機械式時計ブランドのほとんどはスイスにあるが、積み重ねてきた長い歴史の価値は、新しいオーナーや資本になったとしても、変わることはない。

ヴィルレウルトラスリム

100時間駆動の薄型自動巻き
創業の地の名を冠し、ダブルステップ・ベゼルとローマ数字でクラシカル・エレガントな印象を創出。8.7mm厚の極薄ケースに、100時間パワーリザーブムーブメントが潜む。極小のリンクをつなぎ合わせたミルマイユブレスレット。自動巻き。径40㎜。SSケース&ブレスレット。132万円。問い合わせ:ブランパンブティック銀座

ブランパン創業から286
2つの拠点で伝統を受け継ぐ

上は創業の地ヴィルレの当時の工房。1891年にジュウ渓谷の町ル・ブラッシュに拠点を移し、高級時計製作を継承してきた。2010年にフレデリック・ピゲを統合。ル・サンティエに位置するそのファクトリーを受け継いで、下の第2の製造拠点が誕生した。

エイト-デイジャパン

アーノルド&サン創業から258

創業者に捧ぐ美しきダイヤル
その名の通り、8日巻き搭載モデル。パワーリザーブ計とスモールセコンドを上下対称に並べた、初代製作のマリンクロノメーターに範を採るダイヤルは、3の色と4つの仕上げを使い分け、高い審美性を誇る。ゴールドシャトンを用いたムーブメントの仕上げも、実に見事。日本限定8本。手巻き。径43mm。SSケース&ブレスレット。176万円。問い合わせ:アーノルド&サン相談室

英国スタイルを確立
創業者ジョン・アーノルドは、マリンクロノメーターの作り手として名高く、多くの大航海に貢献した。息子ジョン・ロジャーも、優れた才能の持ち主。父子で築いた英国スタイルの時計製作を、スイスのラ・ショー・ド・フォンで継承する。

クラシックトゥールビヨン エクストラフラット5377

ブレゲ創業から247

超薄型の自動巻き

初代が発明した自動巻きとトゥールビヨンを、極薄に革新。わずか7mm厚のケースに収めてみせた。高効率なハイエナジー香箱も考案。薄型では異例に長い約80時間駆動を実現した。19世紀当時と同じ手動マシンによるギヨシェ彫りダイヤルは、各模様のエッジが際立つ。自動巻き。径41mm。Ptケース。アリゲーターストラップ。1951万4000円。問い合わせ:ブレゲブティック銀座


偉大なる創業者

トゥールビヨンをはじめ多くの機構を発明し、針や数字の意匠にもその名を遺すアブラアン-ルイ・ブレゲがパリのシテ島に開いた工房が、メゾンの始まり。スイスに拠点を移した今も、パリのヴァンドーム広場に本店とミュージアムを置く。

ランゲ1

A.ランゲ&ゾーネ創業から176

新生ランゲのアイコン
1994年に発表された新生ランゲによるファーストモデルの内の1つ。黄金比に基づくオフセットダイヤルのデザインは、全表示が重ならない優れた視認性をかなえている。写真の現行モデルは2代目。香箱が完全に巻き戻ると、秒針が0位置で止まる仕組みになっている。手巻き。径38.5mm。18KPGケース。アリゲーターストラップ。447万7000円。問い合わせ:A.ランゲ&ゾーネ

経済発展に寄与

宮廷時計師に師事したフェルディナント・アドルフ・ランゲが、貧しいエルツ山地の町を救うため時計工房を設立。彼が製作する時計は海外で高く評価され、町に多くの時計関連企業が誕生。東西冷戦による休眠からの復活劇は、時計界の伝説。

 

[時計Begin 2021 autumnの記事を再構成]

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