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2021.11.03
創業してからずっとブレないIWCの哲学とは
創業してからずっとブレない哲学がある
IWCは、創業から今日まで本社を置くシャフハウゼンを誇りとし、ドイツ語圏ならではの、独自の理念を貫いた時計製作を続ける。
1903年から変わらぬ哲学
PROBUS SCAFUSIAとの言葉を掲げる認証印は、1903年に当時の社長ヨハネス・ラウツェンバッハ・シェンクの提唱で生まれた。創業者であるF.A.ジョーンズの基本設計を受け継ぐCal.98000を除く、すべての自社製ムーブメントの自動巻きはローターに、手巻きはブリッジに、さらに全モデルのリューズに印が刻まれる。
資料とともに哲学を継承
1920年代まで広告やカタログなどで使われた、1906年のミラノ万博でのグランプリ受賞を告げるビジュアル。2人の屈強な男が肩に掲げる懐中時計のムーブメントには、今と同じ認証印が刻まれている。ブリッジをいくつにも分割するジュネーブ・スタイルとは違い、巨大なプレートで覆う頑強な設計が、見て取れる。
シャフハウゼンの本社に保管される、創業時からの時計台帳。前述したようにIWCは、いつの時代の時計も修理することを保証する。古い懐中時計の修復には、これらが貴重な資料となる。
グリーンをまとう7日巻きの旗艦機
シャイニーなサンレイダイヤル
7日巻きをかなえるツインバレルを、ペラトン式自動巻きが高効率に巻き上げる旗艦機Cal.₅2110を、グリーンダイヤルに潜めた。サンレイによるシャイニーな質感は、ストイックな航空時計の中にあって実に新鮮。エレガントに腕もとが華やぐ。自動巻き。径₄6.2㎜。SSケース。カーフストラップ。160万₅00円。問い合わせ:IWC
徹底したクラフツマンシップ「プローブス・スカフージア」
シャフハウゼンで受け継ぐ優れたクラフツマンシップ
IWCの時計のリューズ・トップや自動巻きローターに丸い認証印が刻まれていることを、ご存じのファンも多いだろう。1903年から採用する、このマークに書かれる「PROBUS SCAFUSIA(プローブス・スカフージア)」とのラテン語を直訳すると”優れたシャフハウゼン”。
これをIWCは、「シャフハウゼンの優秀な、そして徹底したクラフツマンシップ」と翻訳し、今日まで用いてきた。大半がフランス語圏に集積するスイス時計産業の中にあって、ドイツ語圏の街シャフハウゼンで創業以来、受け継ぎ、研鑽してきた製作技術に対する誇りと自信が、この言葉に表れている。
事実、優れた高精度と頑強な設計は、古くから高く評価されてきた。1906年に、ミラノ万博でグランプリを獲得した懐中時計が搭載していたキャリバー₅2は、今も傑作と称賛される1つ。腕時計の時代になってからも、かのアルバート・ペラトン設計によるキャリバー85や89そしてクルト・クラウス設計の永久カレンダー・モジュールなど歴史的名機は数多い。現在10シリーズを展開する自社製ムーブメントも、高い精度と耐久性を兼ね備え、多彩な複雑機構も網羅する。
徹底したクラフツマンシップは、外装にも注がれる。ケースは、ほぼ100%自社製造。事前に冷間鍛造した金属素材を用い、切削によって極めて加工精度に優れたケースが生み出されている。
プローブス・スカフージアという哲学を貫くIWCの価値は、揺るがない。
日本人の手首にジャストフィット
新サイズケースに自社製クロノを搭載
₄3㎜のみで展開してきたシリーズに、一回り小さい₄1㎜ケースが新登場。右のモデルと同じサンレイ・グリーンのダイヤルの下には、コラムホイール式の自社製クロノCal.6938₅が潜む。ブレスレットも、インターチェンジャブル式へと進化を果たした。自動巻き。径₄1㎜。SSケース&ブレスレット。91万3000円。
[時計Begin 2021 autumnの記事を再構成]