2022.03.10

本当のバリューはココにある。リシャール・ミルは「中身」で語れ!!

リシャール・ミルは、ムーブメントの革新性にも秀でる。
最新作では独創的なローターで、自動巻きを進化させた。

文/髙木教雄 写真/小澤達也(Studio Mug) 構成/市塚忠義

バタフライローター搭載モデル

RM 35-03 オートマティック ラファエル・ナダル
爽やかな外観に秘めた屈強さ

ブルー×ホワイトの外装は、超軽量かつ頑強。X型ブリッジは耐衝撃性に秀でる。2時位置にリューズ機構を、8時位置に巻き上げ効率を、それぞれ切り替えるボタンを装備。自動巻き。ケース49.95×43.15mm。クオーツTPT®ケース。ラバーストラップ。2750万円。
 
これまでに開発した巻き上げシステム

プッシュボタンを押すとリューズとは別系列の巻き上げ輪列が稼働し、ゼンマイを均一なトルクで、より高速に巻き上げる独自機構。2020年発表のRM 65-01に初搭載。

パワーリザーブが50時間に達するとクラッチが働き、香箱と巻き上げ機構とが切り離される。パワーリザーブが40時間以下になると再び連結。2011年のRM 030に初採用。

プッシュボタンを押すとリューズとは別系列の巻き上げ輪列が稼働し、ゼンマイを均一なトルクで、より高速に巻き上げる独自機構。2020年発表のRM 65-01に初搭載。
パワーリザーブが50時間に達するとクラッチが働き、香箱と巻き上げ機構とが切り離される。パワーリザーブが40時間以下になると再び連結。2011年のRM 030に初採用。

 

慣性モーメントを装着者自身で操作

特殊な新素材を駆使したアバンギャルドかつ芸術的な外観に目を奪われがちだが、実はリシャール・ミルはムーブメント開発においても真の実力派である。その技術力は複雑機構のみならず、自動巻き機構にも注がれてきた。
「メゾン初の自動巻き時計RM 005を開発する際、それまで誰も気を回してこなかったローターによる巻き上げ効率の最適化に挑みました。そして着用者のライフスタイルに応じて最適な巻き上げ効率が得られる可変慣性モーメントローターが誕生したのです」
と、ムーブメント開発技術部長サルヴァドール・アルボナ氏は、振り返る。
頻繁に運動する人とインドア派では、腕を動かす頻度が違う。可変慣性モーメントローターには、位置を動かすことで慣性モーメントを変えられるフィンが備わる。そして慣性モーメントを減らせば運動時での過剰な香箱への負荷が軽減でき、逆に増やせばデスクワークでも十分な巻き上げが可能となる。
「通常、可変慣性モーメントローターのフィンの移動は時計師の手を借りなければなりません。それを着用者自身でコントロールできるようにしたのが、今回のバタフライローターです」
ローターは重量バランスが大きく偏るほど慣性モーメントが増え、強く回転する。多くが半円形であるのは、そのため。バタフライローターも通常は半円形で力強く回転するが、8時位置のボタンを押してスポーツモードにするとローターが二分割に開いて重量の偏りを軽減し、回転しづらくなる。
「スポーツモードにすると、ローターは巻き上げ能力を失います。一般的な自動巻きは、ゼンマイが完全に巻き上げられると巻き過ぎを防止する装置が作動しますが、この抑制装置の出番が少ないほど香箱とゼンマイの寿命が延びるのです。バタフライローターは、自動巻きの抑制装置に依存することなく、スポーツ時の過剰なローター回転による負荷を解消できる機能なのです」
リシャール・ミルの開発陣は、優れた発想力でスポーツウォッチにおける究極の自動巻き機構を生み出した。

 
これがバタフライローターだ!

ローターはチタン製フレームに比重が高いメタル製の外周ウエイトとの組み合わせで、回転効率に優れる。ローターの右下に見える櫛歯を備えたカムにより作動する太陽歯車と遊星歯車による輪列が、新機構の鍵だ。

8時位置のボタンを押すと、カムが動いて遊星歯車が太陽歯車にそって回転。二段になっている太陽歯車が作動し、対称位置で二分割するように回転させる。再びボタンを押せば、元通りに。

ローターはチタン製フレームに比重が高いメタル製の外周ウエイトとの組み合わせで、回転効率に優れる。ローターの右下に見える櫛歯を備えたカムにより作動する太陽歯車と遊星歯車による輪列が、新機構の鍵だ。
8時位置のボタンを押すと、カムが動いて遊星歯車が太陽歯車にそって回転。二段になっている太陽歯車が作動し、対称位置で二分割するように回転させる。再びボタンを押せば、元通りに。

 


商品の問い合わせ先/リシャールミルジャパン☎03-5511-1555