2023.01.20

フランク ミュラー「カサブランカ」の歴史とは?【ロングセラー変遷記】vol.12

FRANCK MULLER

フランク ミュラー

【カサブランカ】

トノウ カーベックスを認知させた

同社初の量産型SSケースモデル

1994年にフランク ミュラー初のSSモデルとして誕生した「カサブランカ」。トノウ型湾曲ケースを一般の時計ファンに知らしめたこのモデルの変遷を追う。

 

Original model

オリジナルモデル

1994年

アールデコを蘇らせた

SS製トノウ型ウォッチ

オリジナルとなる「第1世代」。アールデコスタイルの文字盤デザインと三次元曲線のトノウ カーベックススタイルを擁し、ブランド初のSSケースモデルとして誕生。経年変化が味わえるよう、あえて文字盤には保護塗料が施されていない。自動巻きの汎用キャリバーETA2892A2を搭載する。

 

本物を知るがゆえの

確かなデザインと品質

フランク・ミュラーがブランドを立ち上げた2年後、彼の作品としてはある意味斬新な時計が生まれた。「カサブランカ」と名付けられたそのモデルは、過去の作品にはないSSケースを取り入れ、価格を抑えるために汎用ムーブを搭載。数々の驚異的な複雑機構を手がけてきた天才時計師は、当初この開発に乗り気ではなかったが、共同経営者たちの勧めもあり、最終的には製作を決断。結果、一部のマニア向けだった彼の作風は、一般の時計ユーザーにまで広く浸透していくこととなった。

本作の2大デザイン要素のひとつが、彼が愛して止まない1910〜30年代の初期腕時計に範を取るアールデコ文字盤だ。劣化防止の保護塗料をあえて施さず、経年による表面の変色を楽しめるこの文字盤は、第2、第3世代と進むにつれ、象徴的なビザン数字のサイズが拡大し、ブランド名などの表記も湾曲の度合いを強めていった。それを極めた現行モデルでは、躍動感あるデザインが最高潮に達した。

もう一方の要素であるトノウ カーベックスケースも、初期のトノウ型から想を得て彼が独自にアレンジしたもの。三次元曲線という美しいラインから成るケースが、腕の形状に沿って緩やかにカーブする。現行モデルでは側面のボリュームを増やし、全体の湾曲も強めることで手首へより快適にフィット。さらに、手縫いのカーフストラップやSSブレスといった装備の品質も、代を重ねるごとに向上していった。

フランク ミュラー=複雑系の名手、とはまた違う魅力がこのモデルには満ちている。

 

歴代名作モデルはコチラ!!

【1998年頃】「第2世代」のホワイト文字盤&インデックスモデル。アールデコスタイルを踏襲しつつ、より華やかな文字盤デザインとなった。また、第1世代では様々な文字盤仕様が存在したが、この頃からホワイト、ブラック、サーモンピンクに集約。生産終了。【変更点】ブランドの象徴となるビザン数字のサイズが拡大され、12時位置のブランド表記がよりアーチを強調したスタイルに。文字盤には相変わらず保護塗料が施されておらず、写真のようにオフホワイトに変色していく。

【2003年】2003〜13年頃まで製造された「第3世代」のブレスモデル。「第2世代」にくらべ、いっそうデフォルメされた印象の文字盤スタイルに。また、ケースやブレスのデザインも一新された。この「第3世代」までが、初期型カサブランカという位置付けになる。生産終了。【変更点】インデックスがより拡大し、12・6時位置の表記も湾曲度が増した。ケースは側面のボリューム感がアップしたほか、裏蓋のカーブが強まり、さらに快適な装着性を獲得。また、SSブレスの品質も改善されている。

【2014年】「第4世代」のレギュラーモデルとして流通する現行モデル。基本デザインは「第3世代」を踏襲しつつ、よりモダンテイストを強調。自動巻き。縦45×横32㎜。SSケース。日常生活防水。132万円。【変更点】インデックスがやや細くなり、ブランド表記は過去最大のカーブ仕様に。モデル名表記には通常、ロゴと同色が使われるが、赤や青などの色も存在する。さらにリューズも、操作性に優れた位置に変更されている。

【2016年】この年のWPHHで発表された「カサブランカ ルナ」。基本デザインをキープしたまま、6時位置にムーンフェイズを採用。サーモンピンクのほか、ホワイト、ブラック文字盤もラインナップする。自動巻き。縦45×横32㎜。SSケース。日常生活防水。154万円。【変更点】新たに装備されたムーンフェイズは、月がアルカイックな笑みを浮かべる正統派のデザイン。その上にモデル名を赤色で表示し、インデックスは前作よりも細身に。秒針にはクロノグラフ用の変形タイプを採用した。

【2019年】2019年に登場した「カサブランカ 25th アニバーサリー」。ベージュカラーの夜光針&インデックス、ヌバックに加工されたカーフストラップを取り入れた。アニバーサリー記念のFMロゴも入る。自動巻き。縦45×横32㎜。SSケース。日常生活防水。132万円。【変更点】前作から細身のインデックスを引き継ぎ、そこに経年変化の味わいがあるベージュ色の夜光塗料を施した。時・分・秒の各針も同じ仕様に。また6時位置にはブランドマークをセットし、その下にモデル名を配した。

【1998年頃】「第2世代」のホワイト文字盤&インデックスモデル。アールデコスタイルを踏襲しつつ、より華やかな文字盤デザインとなった。また、第1世代では様々な文字盤仕様が存在したが、この頃からホワイト、ブラック、サーモンピンクに集約。生産終了。【変更点】ブランドの象徴となるビザン数字のサイズが拡大され、12時位置のブランド表記がよりアーチを強調したスタイルに。文字盤には相変わらず保護塗料が施されておらず、写真のようにオフホワイトに変色していく。
【2003年】2003〜13年頃まで製造された「第3世代」のブレスモデル。「第2世代」にくらべ、いっそうデフォルメされた印象の文字盤スタイルに。また、ケースやブレスのデザインも一新された。この「第3世代」までが、初期型カサブランカという位置付けになる。生産終了。【変更点】インデックスがより拡大し、12・6時位置の表記も湾曲度が増した。ケースは側面のボリューム感がアップしたほか、裏蓋のカーブが強まり、さらに快適な装着性を獲得。また、SSブレスの品質も改善されている。
【2014年】「第4世代」のレギュラーモデルとして流通する現行モデル。基本デザインは「第3世代」を踏襲しつつ、よりモダンテイストを強調。自動巻き。縦45×横32㎜。SSケース。日常生活防水。132万円。【変更点】インデックスがやや細くなり、ブランド表記は過去最大のカーブ仕様に。モデル名表記には通常、ロゴと同色が使われるが、赤や青などの色も存在する。さらにリューズも、操作性に優れた位置に変更されている。
【2016年】この年のWPHHで発表された「カサブランカ ルナ」。基本デザインをキープしたまま、6時位置にムーンフェイズを採用。サーモンピンクのほか、ホワイト、ブラック文字盤もラインナップする。自動巻き。縦45×横32㎜。SSケース。日常生活防水。154万円。【変更点】新たに装備されたムーンフェイズは、月がアルカイックな笑みを浮かべる正統派のデザイン。その上にモデル名を赤色で表示し、インデックスは前作よりも細身に。秒針にはクロノグラフ用の変形タイプを採用した。
【2019年】2019年に登場した「カサブランカ 25th アニバーサリー」。ベージュカラーの夜光針&インデックス、ヌバックに加工されたカーフストラップを取り入れた。アニバーサリー記念のFMロゴも入る。自動巻き。縦45×横32㎜。SSケース。日常生活防水。132万円。【変更点】前作から細身のインデックスを引き継ぎ、そこに経年変化の味わいがあるベージュ色の夜光塗料を施した。時・分・秒の各針も同じ仕様に。また6時位置にはブランドマークをセットし、その下にモデル名を配した。

お問い合わせ:フランク ミュラー公式サイト

[時計Begin 2019 SUMMERの記事を再構成]
文/岡崎隆奈 構成/市塚忠義