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第1回 ブランパンのダイバーズ
時計専業ブランドであれば、そのほとんどがラインナップするダイバーズ。しかし、ブランパンのダイバーズは、その中でも「超別格」なのである。
1953年に誕生した初代フィフティ ファゾムス。ブランパンにとって初のダイバーズとなった1953年のフィフティ ファゾムス。特許を取得した分目盛りの入りのロック機構式回転ベゼル、蓄光塗料の優れた視認性、高い防水性能など、現在のダイバーズウォッチの先駆けだ。
ブランパンがいなければダイバーズは存在しなかった!?
来る2025年、創業290年を迎える名門中の名門、ブランパン。その古豪時計ブランドを語る際、長い歴史とともに欠かすことのできない要素が、ダイバーズウォッチとの蜜月関係だ。現在、ISOないしJISの基準をパスしていなければ、その時計は「ダイバーズウォッチ」を名乗ることはできない。
ではそもそも、ダイバーズウォッチとは、なんなのか。実は、その概念自体を作ったのが、ブランパンなのである。ダイバーズウォッチ以前、もちろん防水腕時計はあった。しかしそれらは今でいう日常生活防水程度。ブランの傑作ダイバーズ「フィフティ ファゾムス」(約91m防水)誕生の衝撃の大きさは、容易に想像できるだろう。
密閉構造で特許も取得。1950年代に当時ブランパンCEOであったジャン=ジャック・フィスターによって申請された特許技術の図面がこちら。ケース自体の高い防水性を確保するためにフィスターは、ケースバック固定時に「Oリング」が変形して浸水してしまうとこを防ぐため、メタルディスクを入れた構造を採用した。裏蓋は二重構造になっているのがわかる。また、リューズの防水性も確保するため二重の「Oリング」システムを採用し、特許を取得している。リューズの巻き上げ時にリューズの防水機構が摩耗する恐れがあることに気付き、ムーブメントには自動巻きを採用し、リューズを引き抜く回数を最小限に抑えることにした。
ブランパン初のダイバーズ「フィフティ ファゾムス」が完成したのは1953年。開発には2人の人物が貢献している。1人目は、1950〜1980年までCEOを務めたジャン=ジャック・フィスターだ。当時はまだ、スキューバダイビングが誕生したばかり。機材が不具合を起こすことも多く、海に潜ることはリスキーだった。それでもフィスターは深海の美しさの虜となり、幾度となくダイビングを決行。潜水時間を計測できる防水腕時計の必要性を、身にしみて感じていた。
南フランスでダイビングを楽しむジャン=ジャック・フィスターCEO(1950〜1980)。熱中するあまりボンベの空気を使い切り、遭難しかけたこともあった。
フィフティ ファゾムスを着用するフランスの海軍潜水戦闘部隊を編成したロベール・“ボブ”・マルビエ大尉。
レジャーダイビングが定着する一方、軍事の面から参画したもう1人が、フランスの海軍潜水戦闘部隊を編成したロベール・“ボブ”・マルビエ大尉だった。海軍潜水戦闘部隊は、海中での情報収集や、夜間に潜水士を集めた様々な任務を行うことを使命とした、潜水部隊のエリート集団である。正確な時刻表示に加え、水中での経過時間を確実に表示できる機能の必要性を感じた彼は、ブランパンに「回転ベゼル」の開発を要請。マルビエからの依頼を受け、フィスターはダイバーとしての経験から、ベゼルが逆方向に回って時間計測に間違いが生じないよう、一方向にしか回らないようにロック機構付きのベゼルを開発したのだった(現在の逆回転防止ベゼル)。
フィフティ ファゾムスはフランス海軍だけでなく、アメリカ、ドイツ、スペイン、イスラエル、パキスタンなど各国海軍が制式時計として採用した。写真は1960年代にアメリカ海軍に納められたモデル「MIL-SPEC2」。
1959年、アメリカ海軍によるフィフティ ファゾムスの水中使用に関する評価試験の報告書の一部。その性能について「事実上、完璧なものであった」 と結論づけている。
2人の海のスペシャリストによって誕生した時計、それが「フィフティ ファゾムス」だ。現在、アイコンの「回転ベゼル」には傷に強いサファイアクリスタルリングがセットされ、絶対的な機能性に加え、唯一無二の美しさも獲得。誕生から70年経過した今も、そのカリスマ性が色褪せることはない。
FIFTY FATHOMS Collection
フィフティ ファゾムス コレクション
防水性能は、初代の約91mから現行モデルでは300mにアップしている。
初代を色濃く映し出す現行機
「フィフティ ファゾムス オートマティック」。ベゼルに刻まれた12時位置の菱形インデックスやブラックのカラーリングなど、初代のイメージを強く感じられるモデル。18Kレッドゴールド製ローターのデザインは 1953 年 のオリジナルモデルのローターを想起させます。約120時間パワーリザーブ。自動巻き。ケース厚14.3㎜。径42.3㎜。グレード23チタンケース。ラバーストラップ。5010 12B30 B64B。272万8000円。
サファイアクリスタル製のドーム型風防に加え、絶妙なカーブを見せる同素材の回転ベゼルリング。官能的な曲線美と丁寧に施されたケース仕上げが、同コレクションの魅力。
ラグジュアリーなゴールド
「フィフティ ファゾムス オートマティック」。サンレイ仕上げのブルーダイアルに、贅沢なゴールドケースを組み合わせたモデル。ケース厚は14.3㎜。自動巻き。径42.3㎜。18Kレッドゴールドケース。ラバーストラップ。5010 36B40 O64B。509万3000円。
スポーティーなブルー&チタン
「フィフティ ファゾムス オートマティック」。ひとまわり大きな45㎜径モデルにチタンケースを採用することで軽量化を実現。大型ながら高いフィット感が得られる。自動巻き。ケース厚は15.4㎜。径45㎜。チタンケース。セイルキャンバスストラップ。5015 12B40 O52A。251万9000円。
あらゆるフィフティ ファゾムスの基本
「フィフティ ファゾムス オートマティック」。搭載する自社製自動巻のキャリバー1315は、シリコンひげゼンマイ搭載で、精度も安定している。120時間のパワーリザーブを誇る。4時位置にはデイト表示も備わり、実用性は高い。自動巻き。ケース厚は15.5mm。径45㎜。SSケース。ラバーストラップ。5015 1130 52A。232万1000円。
ブランパン公式サイト
文・構成/市塚忠義