2025.07.14

ティソの光を解放したダイアルの守護神

【ティソ/PRC 100 ソーラー】サテンと鏡面に仕上げ分けたケースとブレスの質感も上々。人工光でも発電し、内蔵する蓄電池がフル充電になれば、暗所でも14ヶ月動き続ける省電力設計を実現した。クォーツ。径39㎜。SSケース&ブレスレット。10気圧防水。7万2050円。発売中。

ソーラーウォッチ初のソリッドな金属ダイアル

1980年代に誕生し、2005年リデザインされた「PR」コレクションが、新テクノロジーを搭載して再リリースされた。12角形ベゼルが特徴的な、ややクラシカルな外装に潜めたのは、モデル名にもあるように光をエネルギーに変えて発電する光発電である。そのダイアルは、繊細なサンレイ加工によって光の具合で変化する豊かな表情を湛え、インデックスも植字だ。

光の感知はダイアル下じゃなくて上

ソーラーウォッチとして、ダイアルよりも上にソーラーセルを設置したのは、腕時計では初。ダイアルが光を透過する必要がないので、素材や表現が自由になった。年内にリリースされる予定の34㎜モデルには、MOPダイアルまで存在するほど。インデックスも植字にすることができ、高級感を増せる。

光発電でも質感に優れたソリッドなダイアルが使えるのは、独自に開発したハニカム構造の薄膜アモルファス・ソーラーセルをサファイアクリスタルの下に仕込んでいるから。それが得た電力は、6時位置の電極からムーブメントへ届けられる仕組み。ゆえにダイアルの素材・造作は制約を受けない。

目を凝らせば見えるハニカム模様

ハニカム構造の薄膜アモルファス・ソーラーセルを、サファイアクリスタルの裏側にラミネート技術で圧着。セルは極めて薄いため、正面から見てもほぼ存在に気付かせず、ダイアルの視認を邪魔しない。傾けて目を凝らせば、ハニカム構造が見えてくる。これほど薄くても、十分な発電量を誇る。

これまでソーラー発電を導入した腕時計のダイアルの素材や造作には、大きな制約があった。その下に設置したソーラーセルに光を届けるために透過性の素材を用いるか、あるいはインデックスやダイアル外周などを開口する必要があるからだ。そうした制約から初めて解き放たれたのが、この「PRC 100ソーラー」である。

「ソーラーテクノロジーをさらに展開させる予定です」

【ティソ CEO/シルヴァン・ドラ氏】2004年にスウォッチのハイテク&アクセス部門責任者としてキャリアをスタート。翌年ハミルトンのインターナショナルセールス部門トップに就任し、2011年にハミルトンのCEOに着任。2020年7月1日より現職。

この離れ業は、スウォッチのハイテク&アクセス部門責任者として時計業界のキャリアをスタートさせたシルヴァン・ドラCEOだからこそ成し遂げられた。上質なダイアルを誇る、世界初のソーラーウォッチの誕生である。

バリエーション

既存のソーラーウォッチでは考えられなかった漆黒のサンレイダイアルもラインナップ。7万2050円。

ケースとブレスレットをPVDでオールブラックに。7万9200円。

既存のソーラーウォッチでは考えられなかった漆黒のサンレイダイアルもラインナップ。7万2050円。
ケースとブレスレットをPVDでオールブラックに。7万9200円。

 

ティソ 公式オンラインストア

[時計Begin 2025 SUMMERの記事を再構成]

※表示価格は税込み