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2025.07.15
エルメスが見せる、レザーメゾンの貫禄

厚さわずか0.4〜0.5㎜でカットした、さまざまな色の革のパーツをスキ間なくピッタリ、手作業で文字盤に敷き詰める作業は神業!
メゾンの伝統と神業が凝縮されたアートウォッチ
“時計の顔”である文字盤は、時を知る道具というより、ファッションアイテムたるラグジュアリーウォッチにとって、ムーブメント以上に大事なもの。
だからラグジュアリーメゾンは時計専業ブランド以上のこだわりと、独自の素材と技術で製作した特別な文字盤を使ったモデルを発売しているわけだが、1837年に馬具製造の工房としてスタートしたエルメスも同様。革はメゾンの象徴である大切な素材だ。
2010年代後半からは、その革を使った「レザーマルケトリー(革を使った象嵌細工=さまざまな形に切った革を組み合わせて絵や模様を表現する)」という技法を開発して文字盤作りを開始。2018年には、この技法を発展させた「レザーモザイク」技法で作った文字盤のアートウォッチが、ジュネーブ・ウォッチ・グランプリで「アーティスティック・クラフツ・ウォッチプライズ」に輝いている。
レザーならではの高い質感

【エルメス/アルソー 18. 3. 7】競い合う18番、3番、7番の馬とジョッキーの姿を描いたマクフェトリッジのイラストを10色の革のレザーマルケトリーで文字盤にした最新作。自動巻き、径41㎜、18KWGケース、カーフストラップ、3気圧防水。世界24本限定。752万4000円。
エルメスと何度もコラボレーションしてきた世界的なアーティスト、ジェフ・マクフェトリッジのイラストレーションをレザーマルケトリーで文字盤に再現したこのアートウォッチも「神業的なメティエ・ダール(職人技)」から生まれた、神の一本と讃えるのにふさわしい傑作。これを手にできる人は、本当に幸運だ。

1㎜角よりずっと小さく切った7色の革をびっしり並べるレザーモザイク技法で、馬をデザインした「ローブ・デュ・ソワール(夜会服)」という、スカーフのモチーフを描いた文字盤作品。

10色の革を使って、ダイナミックなダンスを踊る男女の姿をレザーマルケトリーで描いた文字盤作品「ジーン・ケリー」。ネーミングはミュージカル映画の名作『雨に唄えば』の主演男優の名前から。