2025.07.21

H.モーザーの新作が色彩の魔術師と称されるワケ

【H.モーザー/エンデバー・センターセコンド コンセプト パープルエナメル】自社製Cal.HMC 201をアンスラサイトグレー仕立てにして搭載。2つのひげゼンマイを反転してセットすることで伸縮時の偏りを解消したダブルヘアスプリングで高精度をかなえた。自動巻き。径40㎜。SSケース。クーズーストラップ。3気圧防水。予価482万9000円。発売中。

【H.モーザー/エンデバー・センターセコンド コンセプト パープルエナメル】自社製Cal.HMC 201をアンスラサイトグレー仕立てにして搭載。2つのひげゼンマイを反転してセットすることで伸縮時の偏りを解消したダブルヘアスプリングで高精度をかなえた。自動巻き。径40㎜。SSケース。クーズーストラップ。3気圧防水。予価482万9000円。発売中。

鎚目模様を透かし見せるパープルエナメルのフュメ

ダイアルの美神といえば、ここ。この新作では、ブランドを象徴するフュメダイアルをグランフー エナメルで再解釈し、ロゴもインデックスもない“コンセプト”に仕立て上げた。

ダイアルのベースは、ホワイトゴールド。まず全体に鎚目模様を施した後、熟練したエナメル職人が6色の顔料を何時間も調整しながら施釉し、平均12回もの高温焼成を繰り返すことで、色むらなく滑らかにグラデーションするフュメ効果が、グラン・フーエナメルでも得られた。その際、釉薬の厚みや透明感を完璧にコントロールし、鎚目をクッキリと透かし見せているのも、お見事。これはギョーシェの上にエナメルを施すフランケにも似るが、類例がほぼない独創的な技巧だ。

ダイアルの中央部から外側に向かってパープルの色味が増す様子は、実に高貴な印象である。そしてインデックスがないピュアなダイアルの上で、パープルのセンターセコンドが悠々と時を刻み、ホワイトゴールドの時分針が明確に浮き立つ。針の色と質感まで入念に検討された結果、前例のない鎚目模様を透かすパープルエナメルによるフュメダイアルの美しさが、最大限まで引き出された。

H.モーザー 公式サイト

[時計Begin 2025 SUMMERの記事を再構成]

※表示価格は税込み