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2025.12.08
回すか、押すか、パーペチュアルカレンダーの使い方
【学ぶぞ、本格時計】パーツで分けて、すべてを理解しよう!
なんとなくは分かっているけど、人には説明できない……。そんな時計の専門用語を一度しっかりマスターすれば、本格時計の真の価値が見えてくるはずだ!

[ムーブメント編]
カレンダーの修正は何でする? 永久カレンダーの操作術
使いやすさを追求した万能カレンダー 機構①【パーペチュアルカレンダー】
《リューズ式》
1985年、IWCがリューズで全暦を一斉送りできる仕組みを開発。後に他社も追随した。この機構の進め過ぎたら時計が止まるのを待つしかない欠点を、オーデマ ピゲは個別操作で解決。


新型Cal.7138はメゾンが先駆けとなった12ヶ月カムではなく、伝統的な48ヶ月カムに回帰した。1時位置に見えるのがそれで、3時位置の月ピニオンを直接駆動する。
全暦表示の個別修正機能を1つのリューズに集約
創業以来、永久カレンダーを製作し続けるオーデマ ピゲは、腕時計初の閏年表示や次の記事で後述する12ヶ月カムの先駆けとなるなど同機構を革新してきた。そして今年、完全自社製となった永久カレンダー搭載キャリバー7138で、カレンダー修正に革命を起こした。リューズだけで全カレンダー表示を個別に調整できる世界初の“オールインワン”リューズを開発したのだ。
そのリューズ機構は、カムと自動巻きローターのリバーサーにも使われる揺動ピニオンを組み込んだ実に大掛かりな設計。これらによりリューズを引く・戻すのアクションと回す方向とで操作系統を切り替え、各ポジションごとに日と月・閏年、曜日・週番号とムーンフェイズが個別修正できる。
リューズによる一斉送りで起こりがちな進め過ぎを防ぎ、誤って進め過ぎても修正が容易。これは、実に便利だ。
AUDEMARS PIGUET(オーデマ ピゲ)
CODE 11.59 バイ オーデマ ピゲ パーペチュアルカレンダー


誤操作を防ぐ安全装置搭載
すっかりお馴染みとなった籠目状のエンボスダイアルにスモークブルーを与え、新たに永久カレンダーを搭載。9時位置の24時間計の赤いゾーンは暦調整の禁則時間帯で、この間はリューズ操作ができなくなる安全装置が備わる。自動巻き。径41mm。18KWGケース。ラバーストラップ。価格要問い合わせ。
問い合わせ:オーデマ ピゲ ジャパン
オーデマ ピゲ公式サイト
《コレクター式》
収集家ではなく、修正者などを意味するcorrectorが語源。写真ではケースサイドに埋め込まれた2つのボタンが、それに当たる。ケースを傷付けない付属の専用ピンで、修正操作を行う。

専用のピンでプッシュするもっとも一般的な操作術
ケースサイドに埋め込まれたプッシュボタンを専用のピンで押し、各カレンダー表示を修正する仕組みのコレクター式は、懐中時計の時代から広く普及していた。
パーペチュアルカレンダーだけでなく、コンプリートカレンダーにも使われ、備わるカレンダー表示の数だけプッシュボタン(コレクター)が用意され、それぞれに対応する暦が修正できる。長く使われてきたので、安全性と信頼性は完璧に検証済み。また操作時の負荷も小さいことが、パーペチュアルカレンダーの修正機能としてもっとも採用例が多い理由だ。
操作時にムーブメントの内部では、コレクターに連動する修正レバーの爪先が、各カレンダー表示を司る歯車を送っている。それらの歯車には、ムーブメント自体が送るレバーも備わる。つまり各歯車ごとに2つのレバーが備わることになり、その構造は複雑だ。
A. Lange & Söhne(A.ランゲ&ゾーネ)
ミニッツリピーター・パーペチュアル


搭載するCal.L122.2は新開発。永久カレンダーは瞬転式で、深夜0時に一斉に切り替わる。リピーターを調速するガバナーは、動作音を発しない遠心式を採用。
渾身の複雑モデル
モデル名通り、2つの複雑機構を統合。日付表示はアウトサイズデイトで、ランゲらしさが際立つ。黒が艶めくダイアルは、4ピース構造の高温焼成エナメル製。ブティック限定50本。手巻き。径40.5mm。Ptケース。アリゲーターストラップ。価格要問い合わせ。
問い合わせ:A.ランゲ&ゾーネ
A.ランゲ&ゾーネ公式サイト
[時計Begin 2025 AUTUMNの記事を再構成]
※表示価格は税込み