2025.12.11

パテックが開発した最初のワールドタイマーは角型だった!

【学ぶぞ、本格時計】パーツで分けて、すべてを理解しよう!

なんとなくは分かっているけど、人には説明できない……。そんな時計の専門用語を一度しっかりマスターすれば、本格時計の真の価値が見えてくるはずだ!

ワールドタイム

[ムーブメント編]
原点はPP(パテック フィリップ)の“ルイ・コティエ式”【ワールドタイム】

都市名&24時間リングで24都市の時刻を一目瞭然に

時針とともに1日で1周する24時間リングの数字と、その外側に置く都市名を照らし合わせれば、世界24のタイムゾーンの時刻が分かる。もっともスタンダードなワールドタイムのスタイルは、発案者である時計師の名にちなみ、ルイ・コティエ式と呼ばれる。

その機構を持つ時計を1937年に初めて製品化したのが、パテック フィリップであった。初作ではダイアルにプリントされていた都市名は、後に回転ベゼルに移されタイムゾーンの設定を容易にした。1953年には都市名はインナー回転ベゼルとなり、専用リューズで操作する仕組みに。そして2000年、ケース左上のボタンを押すと都市名と24時間の各リング、時針が連動し、12時位置にある都市の時刻を時針が示すメカニズムが完成した。

この優れた設計に加え、ギョーシェやクロワゾネなどを駆使したダイアルの美しさも、パテック フィリップのワールドタイムの大きな魅力だ。

ワールドタイマーの仕組み

ワールドタイマーの仕組み

二股状のコレクターで一斉送り
プッシュボタンを押すと、内側にある二股状のダブル・アーム・コレクターが作動。上側の右に長く伸びるレバーが都市名リングを1都市分左回りに送る。同時に下側に回り込むレバーの先の爪が、中央左側シルバーのラチェット歯車を右に回し、その上下の歯車が時針と24時間リングを送る。

1937年

PATEK PHILIPPE(パテック フィリップ)
Ref.515 HU

PATEK PHILIPPE Ref.515 HU

角型だった初代
1937年誕生の初代ワールドタイムは、優美なレクタンギュラーケースに収められていた。28の都市名がダイアルに直接プリントされ、24時間リングとの連携でグリニッジ標準時間を基準とした時刻を知ることができる。1994年に出品されたオークションの資料には、ニューヨークの顧客のために製作したとある。

2024年

PATEK PHILIPPE(パテック フィリップ)
Ref.5330

PATEK PHILIPPE Ref.5330

初のデイト付き
同機構の初の日付表示は、ダイアルの視認を邪魔しない透明なガラス製の指針式。送る・戻すの二層構造の日車により、日付変更線をまたいで操作しても、日付表示が連動する。自動巻き。径40mm。18KWGケース。カーフストラップ。1242万円。

問い合わせ:パテック フィリップ ジャパン・インフォメーションセンター
パテック フィリップ公式サイト

[時計Begin 2025 AUTUMNの記事を再構成]

※表示価格は税込み