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2026.02.10
ダニエル・ロート&ジェラルド・ジェンタ —過去と現在を繋ぐ新作—

ダニエル・ロートとジェラルド・ジェンタという伝説的な2ブランドが、ラ・ファブリク・デュ・タン ルイ・ヴィトンの下で再始動することが2023年に発表され、以降、注目モデルが相次いで登場している。
2025年11月に開催されたドバイウォッチウィークにおいて、両ブランドから新作が発表され、日本国内で唯一の取り扱いリテールであるアワーグラス銀座でお披露目された。
ダニエル・ロートからは「トゥールビヨン プラチナ」が登場

この「トゥールビヨン プラチナ」は、88年に自身のブランドを立ち上げたダニエル・ロート氏が製作したファーストモデル「C187」を着想源とする再始動後第一作「トゥールビヨン スースクリプション」(ジュネーブ・ウォッチ・グランプリ2024のトゥールビヨン部門グランプリ受賞)、それに続く「トゥールビヨン ローズゴールド」からの流れを受けたモデルだ。
前2作で証明された高い品質と共通のデザインコードを受け継ぎ、プラチナケースがピュアな至高性とラグジュアリー感を一層際立たせている。
ストレートタイプのハンドギョーシェ、浅く繊細に仕上げたコート・ド・ジュネーブ装飾をはじめ、仕上げも秀逸。ゼンマイを巻き上げるクリック感にもこだわり、ウォッチメイキングの粋を凝らした出来栄えを堪能できる。

シースルーバックから視認できる美しい仕上げのCal.DR001は、ラ・ファブリク・デュ・タン ルイ・ヴィトンにて、ミシェル・ナバス氏とエンリコ・バルバシーニ氏の監修のもと、開発された。
新生ダニエル・ロートでは、コレクションのファーストエディションに“スースクリプション”という言葉を冠している。購入代金の一部を前払いすることに由来しており、以降レギュラーモデルがこれに続く方式を採っている。

ダニエル・ロート「トゥールビヨン プラチナ」手巻き(ラ・ファブリク・デュ・タン ルイ・ヴィトン製Cal.DR001)、ケースサイズ38.6×35.5㎜、プラチナケース、カーフレザーストラップ、3気圧防水。185,000スイスフラン。
ジェラルド・ジェンタからは2型が登場

まず「ジェンティッシマ ウルサン」のニューバージョンとなる「ジェンティッシマ ウルサン41」。
ウルサンとは、フランス語でウニの意味だが、その名の通りウニをモチーフに1994年に発表されたアヴァンギャルドなモデルをベースとする「ジェンティッシマ ウルサン」の第1作が、再始動後の2024年に登場。ゼニス製エリートムーブメントをベースとするCal.GG-005を搭載した直径36.5㎜のケースには、ウニのトゲを思わせる多数のスタッズやビーズが手作業で取り付けられた。
「ジェンティッシマ ウルサン」の再始動後5作目となるこの新作は、直径41㎜にサイズアップし、グレード5のチタン製ケースにWG製のスタッズ234個をセット。文字盤にはメテオライトを採用。既存モデル同様、サファイア風防の内側にはジェンタを象徴する八角形のファセットが刻まれ、こちらもゼニス製エリートムーブメントをベースとするCal.GG-005を搭載する。
スタッズをあしらったケースとデザインリンクしたラバーストラップがセットされ、防水性も3気圧から5気圧に向上し、スポーティさやマスキュリンなイメージも漂わせている。
ブルーとグリーンの2色が用意された。

ジェラルド・ジェンタ「ジェンティッシマ ウルサン41」自動巻き(ゼニス製エリートベースのCal.GG-005)、ケース径41㎜、チタンケースにWGスタッズ、ラバーストラップ、5気圧防水。各25,000スイスフラン。ブルーとグリーン合わせて50本を製造。
ジェラルド・ジェンタ氏はソヌリ機構を好んだと伝えられているが、薄型クッションケースの「ミニッツ・リピーター」も登場した。

ジェンタ氏が手がけた90年代のモデルをインスピレーションソースとして、ラ・ファブリク・デュ・タン ルイ・ヴィトンのアーティスティック・ディレクター、マチュー・エジ氏が新たにデザインを起こした。ミニッツトラックは、内周は正円だが、外周はケースに沿った形状で、そこはかとなくエスプリを感じさせる。ケースは音響性を考慮しYG製、文字盤にはオニキスが採用された。
ラ・ファブリク・デュ・タン ルイ・ヴィトンの共同創業者でマスターウォッチメーカーのミシェル・ナバス氏とエンリコ・バルバシーニ氏の二人は、若き日、“マエストロ”ジェンタと仕事を共にした経歴を持つ。その知見が、このモデルに反映されていることは言うまでもない。

ジェラルド・ジェンタ「ミニッツ・リピーター」手巻き(ラ・ファブリク・デュ・タン ルイ・ヴィトン製GG-002)、ケース径40㎜、YGケース、シープレザーストラップ、320,000スイスフラン。年産10本。
両ブランドの新作には、往時の時計業界に於いて余人を以って代えがたい存在感を示したレジェンドへのリスペクトにあふれ、さらに当時ではなしえなかった機構の改善や精妙な仕上げが、ラ・ファブリク・デュ・タン ルイ・ヴィトンの技術力によって実現されている。
伝説に新たな息吹が吹き込まれ、ハイウォッチメイキングの過去と現在とを繋ぐクリエーションに感銘を覚えないではいられない。
ところで、現在この2ブランドを取り扱うアワーグラス銀座を運営するザ アワーグラスジャパン(株)は、1996年の設立当時、2ブランドの輸入総代理店を務めていた。今回の再始動により、その絆が四半世紀近い時を経て、改めて繋がったことも興味深い。
問い合わせ/アワーグラス銀座 TEL:03-5537-7888
公式サイト https://www.thehourglass.co.jp/
文/まつあみ 靖