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2026.04.10
F1日本GP現地取材:BWTアルピーヌF1×H.モーザー、精密機械が生み出すパートナーシップの真価
鈴鹿サーキットで見た、時計とF1の共通点
2026年3月、F1日本グランプリが開催される鈴鹿サーキットを訪れた。目的は、アルピーヌF1チームをスポンサードする「H.モーザー」の取材だ。フリー走行の行われた金曜日には、アルピーヌF1のマネージングディレクター、スティーブ・ニールセン氏へのインタビューが実現。この特別なパートナーシップの意味を探った。

時間に支配されるF1の世界
「フォーミュラ・ワンは、サーキットでもファクトリーでも、物流を含めて、すべてが『時間』によって成り立っています」
ニールセン氏の言葉が印象的だった。パドックツアーで案内された現場では、まさに秒単位で動くF1の世界を目の当たりにした。設計、製造、レース現場のすべてが時間と目標に基づいて進む。その象徴が、チームメンバーの手首に輝くH.モーザーの時計だ。
「私たちの締切は決して動かないので、時間はとても重要なのです」とニールセン氏。F1において時間は単なる概念ではなく、勝敗を左右する絶対的な要素なのだ。

スティーブ・ニールセン(Steve Nielsen) BWTアルピーヌF1チームのマネージングディレクター。ロータス、ティレル、ベネトン、ルノーなどF1界で長年のキャリアを持つベテランで、2023年にアルピーヌに加入。チーム運営全般を統括し、ファクトリーでの開発から現場でのレース運営まで幅広く責任を負う。エンジニアリング出身らしく論理的な思考と、時間管理に対する厳格な姿勢で知られる。F1参戦初期からカーボンファイバーの普及など技術革新を目の当たりにしてきた経験豊富な人物。
エンジニアリングの美学
ニールセン氏が特に気に入っているのは、H.モーザーの時計に見える機械構造だという。「時計の両側から精密な機械構造が見えるのは、とても魅力的です。私たちはエンジニアリングの世界で働いていますから」
この発言は、F1と高級時計製造の本質的な共通点を示している。両者とも限られたスペースに最高性能を詰め込む技術が求められる。「特に時計の裏側を見ると、その詰め込み方は驚異的です。F1のクルマも同じで、ボディワークは中身を覆う最低限の大きさしかありません」

開発競争の激しさ
現在のF1は「完全に開発競争の段階」だと彼は語る。「ライバルたちは毎週のように新しいウイング、ボディワーク、フロアを投入してきます。最初に速いクルマを作るだけでは足りません」
この絶え間ない改良は、高級時計製造における継続的な技術革新と重なる。どちらも現状に満足することなく、常に限界を押し上げ続ける姿勢が求められる。
鈴鹿サーキットの特別さ
「鈴鹿は本当に特別なサーキット」とニールセン氏が語るように、このコースはF1カレンダーでも独特の存在だ。特にセクター1の高速コーナー群と130Rは、ドライバーとマシンに極限の精度を要求する。
「非常に高速コーナーが多いのが特徴です。特にセクター1では、フロントのダウンフォースが重要になります」。この技術的挑戦こそが、鈴鹿を世界中のF1関係者に愛される理由なのだ。

パートナーシップの真価
H.モーザーとBWTアルピーヌF1のパートナーシップは、単なるスポンサー的関係を超えている。「チームが実際に製品を使えるという直接的なメリットがあります。それによって、チームは会社から信頼され、期待されていると感じることができます」
ニールセン氏自身、「昨年このチームに来るまでH.モーザーを知らなかったのですが、今はとても気に入っています」と率直に語る。実際に製品を使用することで生まれる信頼関係が、このパートナーシップの基盤となっている。

時間への意識変化
興味深いのは、F1で働くことが彼の私生活にも影響を与えている点だ。「妻がいたら、私が何でも早く到着したがると言うでしょう。外出するときは、必ず5分前に着きます」
時間に支配された規律ある働き方が、彼の人生観そのものを変えた。これは、精密な時計を身につけることの意味を象徴的に表している。

未来への展望
決勝では、ピエール・ガスリーが見事7位に入賞した。この結果も含め、アルピーヌF1チームは着実に前進している。次の大きなアップグレードはマイアミGPで予定されており、新しいフロアとリアウイングの投入が期待される。
一方、H.モーザーとの関係も深化している。ガスリーが着用する「ストリームライナー・アルピーヌ ドライバーズ ピンク エディション」のように、両ブランドの特色を活かした製品開発も進んでいる。時計の詳細はこちら。

日本GPでは、ピエール・ガスリー(写真)が、レッドブルのマックス・フェルスタッペンを抑え7位入賞。チームメイトのフランコ・コラピントは16位だった。
精密機械が結ぶ絆
鈴鹿サーキットで目撃したのは、単なるスポンサーシップを超えた関係だった。F1と高級時計製造という、異なる分野でありながら精密機械への情熱を共有する両者が、互いの技術と哲学を尊重し合う姿がそこにあった。
時間という絶対的な制約の中で最高のパフォーマンスを追求するF1と、時を刻む芸術品としての時計。この二つの世界が交わる場所で、新たな価値が生まれ続けている。H.モーザーとアルピーヌF1のパートナーシップは、精密機械が持つ可能性の新たな地平を切り開いているのだ。

左が「ストリームライナー・アルピーヌ ドライバーズ ピンク エディション」。自動巻き。径42.3㎜。SSケース。ラバーストラップ。右が「ストリームライナー・アルピーヌ メカニック ピンク エディション」。コネクテッドムーブメント。径42.6㎜。SS×ピンクコンポジットケース。ラバーストラップ。2本セットの販売で50セット限定。予価1219万9000円。
問い合わせ/H.モーザー公式サイト