2020.09.04

ロレックスに続き、LVMHグループも撤退を決定。そして誰もいなくなった……。

我々が不穏な空気を最初に感じ取ったのは、スウォッチグループの上位6ブランドが、バーゼルワールドから撤退を表明した2018年の7月。時計業界を代表する巨大組織の決断は大きな衝撃をもたらした。当初「とは言ってみたものの、結局バーゼルに戻ってくるのでは?」との見方もあったが、それは間違いであった。各CEOのインタビューで明らかになったのはバーゼルワールドに対する不信感。某ブランドのトップは、こうも漏らした。「バーゼルに10年以上参加しているが、運営側の人間と一度も顔を合わせたことがない、一度もだ」。

そして2020年4月14日、ロレックス、パテック フィリップ、チューダー、シャネル、ショパールが揃って声明を発表。バーゼルを離れ、ジュネーブで新作発表を行う意向を固めた。その3日後にはLVMHグループ(ウブロ、ゼニス、タグ・ホイヤー、ブルガリ)も同内容の声明を発表。これでバーゼルワールドのメインステージには、誰もいなくなってしまった。歴史ある時計見本市が突然幕を下ろすとは考えにくいが、新作時計発表の見所が、バーゼルからジュネーブに移ることは間違いない。

どうなる!?バーゼルワールド

100年の歴史に、ついに終止符が打たれるのか
1917年の「スイス・マスターメッセ・バーゼル」を起源にもつバーゼルワールド。ちなみに2019年バーゼルワールドの参加ブランド数は、前年より20%減の520社、来場者数は前年より22%減の8万1000人となったが、主要ブランドの脱退により、かつてない激減が予想される。またマスコミの参加も今まで通りとはいかないだろう。

1階メインフロアはほぼ撤退が確定
会場の1階と言えば、バーゼルワールドの花形エリア。入ってすぐにタグ・ホイヤーやゼニス、ウブロといったLVMHグループのブースが軒を連ね、ロレックス、パテック フィリップという流れがいつものレイアウトだった。2階に陣取っていた日本の主要ブランド(セイコー、シチズン、カシオ)もバーゼルワールドから撤退することを決めている。

 

[時計Begin 2020 SUMMERの記事を再構成]
写真/岸田克法 文・構成/市塚忠義