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2022.07.15
ついにオリジナル・ムーブメントも登場!? ベル&ロスの「裏番」がこっそり語った「大物待機」の2022後半戦
ベル&ロスのツートップといえば、高校時代からの親友である社長のカルロス・ロシロ氏と、デザイナーのブルーノ・ベラミッシュ氏。しかしもう一人忘れてはならない重要な人物がいる。セールス部門のトップであり、ジェネラル・マネージャーでもあるファビアン・ドゥ・ノナンクール氏だ。あらゆるプロジェクトの「番頭」にベル&ロスの、現在・過去・未来を尋ねた。
Q ベル&ロスに入って12年、一番のビッグプロジェクトは?
A 商品のことを期待されているかもしれませんが、私の一番大きなミッションは、世界中の国々における「現地法人化」です。私が入った時、現地法人があるのはアメリカだけでした。現在は、イギリス、スペイン、シンガポール、マレーシア、中国、オーストラリア、そして日本などが現地法人化されています。と同時に進めてきたのが「ブティック化」。初のブティックはシンガポールでしたが、今では世界に17のブティックが存在します。世界各地に100%ベル&ロスの仲間がいることは、非常に重要なのです。正確なブランドの本質を知ってもらうことで、短期的ではなく長期的に成長していくことが必要です。このプロジェクトは、もちろん現在も進行中です。
Q ベル&ロスが、他の時計ブランドと違う点を、1点あげるとすれば?
A 創設者の「仲良し2人組」が、今も変わらずブランドのトップにいることです。2人のうちひとりがデザイナー(ブルーノ・ベラミッシュ)であることも、非常に珍しい組み合わせではないでしょうか。この2人の考えていることが、そのままベル&ロスとして表現されるので、製品に関してもブレがないのです。例えば、あるブランドに新しいCEOが就任した場合、まずは業績を伸ばすために「変化」させることを好みますが、この2人の場合は、そうではありません。2人にとって、最終の目的地もベル&ロスなのです。
Q 新製品はどのように製品化されますか?(誰がアイデアを持ち寄るのか、モデル名やコレクション名、決定機関、スピード感、限定モデルの本数、価格の決定など)
A なかなか難しい質問ですが、ベル&ロスでは毎週月曜日の午後にプロダクトミーティングを必ず行います。参加者は5人。カルロスとブルーノ、それからマーケティングの責任者と商品開発の責任者、そして私です。このミーティングで重要な案件が決められていきます。私の役割としては、世界中を飛び回っていますから、世界各地の需要やニーズを持ち帰ること。そのリクエストがブルーノの新製品デザインに生かされることも多いですし、もちろんブルーノはアイデア豊富ですから、彼の方から提案があり製品化されることもあります。ちなみに新しい時計のモデル名に関してはブルーノが、限定モデルの本数は私が決めることが多いですね。皆が納得するまで、とにかく話し合います。
Q 実際のユーザーや市場の声を、どのように集めていますか?
A とにかく沢山、旅をします(笑)! ですからコロナの期間中は、とても厳しい状況でしたが、最初にお答えしたように、現地法人化によって世界各地にスタッフがいますので、彼らから現場の声をヒアリングすることが大事です。しかし、そうしたニーズを、そのままデザインすることは、ありません。一度飲み込んで、ベル&ロスらしさを加えるのです。トレンドを追いかける側ではなく、作り出す側にいると自負しているからです。マーケットが何を必要としているか、ベル&ロスには非常に強いアンテナが機能しています。例えば、ビンテージコレクション。昔のアイテムを現代風にアレンジすると……、単なる復刻モデルではなく、昔のアイテムを現代風にアレンジしたヘリテージウォッチは、今ではどこのブランドも発表していますが、ベル&ロスは随分と前から展開しています。ブラックセラミックケースや、最近で言うとインテグレーテッドブレスレット(ケース一体型ブレスレット)など、ベル&ロスから波及したトレンドも多いのではないでしょうか。
Q ベル&ロスの時計はミリタリーのイメージが強いですが、BR 05を都会的なイメージにした理由は?
A ベル&ロスにはBR 03というミリタリーを象徴したアイコンモデルがありますが、もっと気軽につけられる雰囲気も欲しいという声がありました。またスティールブレスレットの必要性も感じており、BR 03には用意はされていたのですが、しっくり馴染むものではありませんでした。専用設計されたケース一体型のブレスレットで、サイズ的にもつけやすい小ぶりなモデル、それがBR 05誕生のきっかけです。この2つを組み合わせるには、ミリタリースタイルではなく、洗練されたアーバンスタイルを生み出す必要があったのです。
Q 注目の最新作について教えてください。
A 「BR 05 GMTホワイト」と「BR 05 アートライン」の2本を紹介させてください。
ベル&ロスというと、「黒」のイメージが強いかもしれませんが、最近はBR 03のダイバーホワイトなど、ホワイトダイヤルの人気が高まっています。「BR 05 GMTホワイト」は、ホワイトといっても完全な白ではありません。実際には、わずかにメタリックが入ったオパラインシルバーで、ベル&ロス独自のホワイトダイヤルを採用しています。GMTの赤針との組み合わせによって、よりモダンな印象に仕上がっています。もう1本はブティック限定モデルの「BR 05 アートライン」です。時計のベゼル部分と、ブレスレットの中央のコマだけにゴドロン装飾を施しています。このゴドロン装飾ですが、1930年代のドイツの航空機「ユンカース」のボディをイメージして作られました。航空の世界と深い関わりを持つベル&ロスならではの、非常に特別感のあるモデルです。
Q 今年の後半〜来年の新商品、BR 06の構想など、お答えできる範囲で教えてください。
A BR 06 !!!??? 。BR 05を、もっと成長させなければならないので、BR 06は、まだちょっと考えられませんね。ですが……、今年2022年の後半には、なかなか面白いモデルを用意していますよ。どこまで話していいのかなぁ……(汗)。ひとつは新素材のケースを持つ時計です。軽量感があり、いくつかの素材をミックスしたもので、今年の10月頃には一般公開できるかと。ほかにもBR 03では、文字盤に装飾を施したモデルや、アルピーヌモデルも予定しています。それからBR 05の派生モデルとして、マニュファクチュール・ムーブメント搭載機を予定しています。ただマニュファクチュール・ムーブメントといっても、ベル&ロスが完全にゼロから作り上げる自社開発キャリバーという意味ではなく、ムーブメントサプライヤーと共に専用の特別キャリバーを制作するという意味です。そのパートナーとは、今もっとも勢いのあるムーブメン・トサプライヤー。もう、お分かりですね。
Q ついに心斎橋にもブティックがオープンしましたが、ベル&ロスにおけるブティックの役割と、近々にご予定のイベントなどあれば教えてください。
A はい。7月14日に銀座に続く日本国内2店舗目のブティックが、心斎橋にオープンしました。ベル&ロスというブランドが、どのような考えを持って時計を作っているのか。時計購入の単なる場所という位置づけではなく、ブランドの全てが揃った完璧な空間で時計選びを「体験」してもらうことが重要です。そのためにはブティックの存在が欠かせません。銀座ブティックのコンセプトを考えたのはブルーノですが、銀座ブティックには、今後のベル&ロスの方向性がいち早く取り入れられており、最新ブティックの基準となっています。このコンセプトは、当然、心斎橋ブティックにも共通するものです。また現在、新宿伊勢丹でもポップアップイベントを開催中ですので、興味のある方は、是非とも足をお運び下さい。
お問い合わせ:ベル&ロス公式サイト
(取材・文・写真/市塚忠義)