2022.08.09

CEOがこっそり教える、これからのロンジンとは!?

ロンジンCEO マティアス・ブレシャン氏/通信業界を経て、1996年にスウォッチ グループに入社。スウォッチ グループ傘下の2つのブランド、ラドーとハミルトンをそれぞれ9年と7年にわたり率い、2020年7月よりロンジンCEOに就任。

GMT、クロノグラフの先駆者として

インタビュー会場で我々を出迎えた際、マティアス・ブレシャンCEOの腕には、グリーンベゼルの「ロンジン スピリット Zulu Time」があった。GMT機構を装備する今年の新作である。

「GMT機構は、ロンジンが先駆けです。クロノグラフの先駆者でもあり、さらに1/10秒と1/100秒が計測できるハイビートなストップウォッチもいち早く実現しています。そうしたブランドを象徴する機構を、インハウスムーブメントでラインナップしていきたいと考えています」

前CEOのウォルター・フォン・カネル氏は、実に32年の長きにわたりロンジンを率い、成功に導いてきた。2020年にブランドを引き継いだブレシャン氏は、まず「カネル氏の成功は、何が要因だったかを理解することからスタートした」という。

「カネル氏は、ロンジンを非常にバランスのいいブランドに育ててくれました。ユーザーの男女比、ラインナップするクラシック系とスポーツ系、そしてヘリテージとエレガンスの両立、どのバランスもいい」

そこからさらに成長させるためにブレシャン氏は、190年の歴史の中で生まれた数々のマイルストーンに着目した。

「ヴィンテージ系の時計が人気の中、愛好家にも本質を求める若いユーザーに対しても、ヘリテージウォッチはアピールできます」

最新技術でよみがえる名作時計たち

カネル氏も、いくつものヘリテージウォッチを復刻してきた。ブレシャン氏は、さらにムーブメントでもヘリテージの再現を試みようとしているのだ。GMTのインハウスモジュールを搭載した「ロンジン スピリット Zulu Time」は、それを実現した1つ。さらに1968年に誕生した毎時3万6000振動のハイビートで高精度をかなえた「ウルトラ-クロン」も今年復活させた。

CEOがこっそり教える、これからのロンジンとは!?

「ロンジンは、スポーツ計時で高精度なハイビート技術を磨いてきました。ウルトラ-クロンは、ハイビート腕時計の先駆です。それをシリコンひげゼンマイなど、今の技術を駆使して生まれ変わらせたのです」

外観のみならずハイビートムーブメントも再現した新作「ロンジン ウルトラ-クロン」は、ジュネーブに拠点を置く独立機関TIMELABによるクロノメーター認定を取得した。同機構のテストは、COSCよりもはるかにクリアすることが難しい。

「社内試験では、TIMELABが課す日差=-4~+6秒よりはるかに高い精度を要求しています。そのおかげでクロノメーターの合格率は、95%を超えています」

新作のウルトラ-クロンにデイト機構がないのは?

新作のウルトラ-クロンのダイヤルには、オリジナルにはあった日付表示がない。カネル氏が、ヘリテージであってもデイト機構を堅持してきたのとは真逆だ。

1968年に発表された、高周波振動数ムーブメント搭載で初の防水時計、ウルトラ-クロン ダイバー。文字盤3時位置に日付表示がある。

「実は私は、自分の時計の日付を合わせたことがないんです。以前、日付が合っていないこと見付けたカネル氏から“ちゃんと合わせろ”と、叱責されたこともありました(笑)。私はヘリテージ クラシックコレクションに関しては、ヴィンテージ感を重要視したい。だから今後はデイトを入れない予定です」

一方でカネルCEO時代に設定された、10万~50万円の価格帯での展開は継承される。しかしこれも「外装仕上げのクオリティを、より向上させた上で」と、ブレシャン氏はさらなる高みを目指す。

「ロンジンは、”Elegance is an attitude”(エレガンスは生き方にあらわれる)をスローガンに掲げています。エレガンスとは、内面の美しさがあって、初めて外側も美しくなるもの。ムーブメントと外装の両面で、一層のハイクオリティを目指します」

ロンジン スピリット Zulu Time/航空時計のヘリテージを現代に再解釈したコレクションにGMTが新登場。リューズで主時針だけの操作ができ、現地時間に合わせられる設計。グリーンセラミックのベゼルは回転式で、時差分だけ回せば第3の時間帯も確認できる。COSC取得。自動巻き。径42mm。SSケース&ブレスレット。10気圧防水。41万5800円。

ロンジン ウルトラ-クロン/ハイビートを先駆けたウルトラ-クロンの中から、1968年製のダイバーズを復刻。逆回転防止ベゼルをサファイアクリスタル製とするなど、現代的にアップデートさせた。7連のブレスレットは、エレガントな印象。自動巻き。径43mm。SSケース&ブレスレット(NATOストラップ付属)。30気圧防水。51万1500円。

ロンジン ウルトラ-クロンに付属のNATOストラップを装着したところ。

ロンジン スピリット/ダイヤル外周に秒目盛りを刻んだ別体のスロープを与えるなど、ダイヤルの造作に凝る。コラムホイール式のクロノグラフ・ムーブメントには、シリコンひげゲゼンマイを採用し、COSCも取得。10時位置のボタンは、日付調整用。自動巻き。径42mm。SSケース&ブレスレット。10気圧防水。42万3500円。

ロンジン スピリット Zulu Time/航空時計のヘリテージを現代に再解釈したコレクションにGMTが新登場。リューズで主時針だけの操作ができ、現地時間に合わせられる設計。グリーンセラミックのベゼルは回転式で、時差分だけ回せば第3の時間帯も確認できる。COSC取得。自動巻き。径42mm。SSケース&ブレスレット。10気圧防水。41万5800円。
ロンジン ウルトラ-クロン/ハイビートを先駆けたウルトラ-クロンの中から、1968年製のダイバーズを復刻。逆回転防止ベゼルをサファイアクリスタル製とするなど、現代的にアップデートさせた。7連のブレスレットは、エレガントな印象。自動巻き。径43mm。SSケース&ブレスレット(NATOストラップ付属)。30気圧防水。51万1500円。
ロンジン ウルトラ-クロンに付属のNATOストラップを装着したところ。
ロンジン スピリット/ダイヤル外周に秒目盛りを刻んだ別体のスロープを与えるなど、ダイヤルの造作に凝る。コラムホイール式のクロノグラフ・ムーブメントには、シリコンひげゲゼンマイを採用し、COSCも取得。10時位置のボタンは、日付調整用。自動巻き。径42mm。SSケース&ブレスレット。10気圧防水。42万3500円。

 

お問い合わせ:ロンジン公式サイト
(文/髙木教雄 構成/TAYA)