2023.04.17

ウォッチズ&ワンダーズの主役たち W&W2023 速報 Part4 ウブロ/IWC/ジャガー・ルクルト

W&W2023 速報 Part4

ウブロ/IWC/ジャガー・ルクルト

3月27日からスイスのジュネーブで開催された「ウォッチズ&ワンダーズ ジュネーブ」。3回目となる今年は、48のブランドが参加した。新作の詳しい情報は、2023年6月8日発売の『時計BeginVol.110』でも紹介する予定だが、ここでは華やかな時計展示会の主役となった、人気ブランドの注目モデルだけを厳選。全8回にわたり、約50本を紹介する。

ウブロの新作

2つのユニークなトゥールビヨン

ウブロの革新的な時計技術を最前線でリードするハイエンドなコレクション、それが「MP」コレクションだ。時計ファンをあっと言わせた複雑時計の数々が、このコレクションから誕生しているが、今作で13番目となる「MP-13」もまた例外ではない。100%ウブロ製の2軸トゥールビヨンに、デュアルレトログラードが組み合わされたのは同社初。6時位置を陣取るトゥールビヨンは、1つ目の軸が1分間に1回転、2つ目の軸が30秒に1回転。見飽きることのないこの光景は、ベゼルの一部を開放したサファイアクリスタルから存分に楽しむことができる。また2つのレトログラードは、分針がゆっくり進むのに対し、時針はジャンプして次のインデックスに。2軸、バイレトログラードには大量のエネルギーを必要とするため、ウブロは約96時間のパワーリザーブをこの時計に与え、残量をダイヤル上部で表示した。

同じく世界限定50本だけという希少なモデル。重さはわずか68gしかない。ウォッチヘッドだけではなく、ブレスレットまで入れて68gという快挙。採用されたのは、カーボンファイバーにテキサリウムを“フュージョン”した新素材だ。テキサリウムとはグラスファイバーにアルミニウムの薄膜を合わせた複合素材で、軽量ながら傷がつきにくいのが特徴。外装だけでもなかなかスペシャルなモデルだが、中身のムーブメントも抜かりない。6時位置には透明なサファイアクリスタル製ブリッジで覆われたトゥールビヨンが、まるで浮いているかのように回転。そのトゥールビヨンとシンメトリーに配されたのが12位置のマイクロローターだ。時間表示に加え、2つの「回転」が、文字盤の存在感を盛り上げる。

お問い合わせ:LVMHウォッチ・ジュエリー ジャパン ウブロ公式サイト

 

IWCの新作

伝説のタフウォッチがひさびさのリニューアル

時計ファンに「最も有名な耐磁時計は?」と聞けば、誰もがIWCの「インヂュニア」と答えるだろう。そんな耐磁時計の代表格であるが、最後のモデルチェンジからはだいぶ時間が経っており、存在感は希薄になりかけていた。しかし、今年のW&Wのヒーローは、紛れもなくこの新作インヂュニアだ! 軟鉄製インナーケースを装備した耐磁性能はもちろんのこと、中に搭載するキャリバー32111のパワーリザーブは約120時間にも達する。さらに大きな変更点が、時計のサイズだ。ケース径は40㎜とコンパクトになり、厚みも10.8㎜に抑えられている。前モデルが「ちょっとゴツい」と躊躇していた人には、これは嬉しいニュースである。ベゼルの「多角形ネジ」、文字盤の「グリッド構造」など、新採用のディテールも見逃せない。

ドイツ語とフランス語で「エンジニア」を意味する「インヂュニア」は、1955年に初代モデルが誕生した。1972年には時計界のピカソといわれる奇才、ジェラルド・ジェンタデザインのインヂュニアが完成。今回の新作は、その「インヂュニアSL」を受け継ぐモデルとなっている。新生インヂュニアのSSケースモデルには、上で紹介したブラックダイヤルの他に、シルバーダイヤル、グリーンダイヤルの3種類がラインナップするが、SSケースの他に、軽量なチタンケースのインヂュニアも発表されており、こちらはグレーダイヤルがチタンモデルの目印となる。時計の重さは、SSモデルの3分の1しかないという。

お問い合わせ:IWC公式サイト

 

ジャガー・ルクルトの新作

レベルソから久々のクロノグラフ新キャリバー

一見すると、2針になったエレガントなレベルソ・トリビュート。しかしよく見ると、リューズの上下に控えめながらスクエア型のプッシュボタンが。そう、こちらのモデルは、レベルソからは久々の登場になるクロノグラフ搭載機! クルッとケースを反転させると、裏側からスケルトンダイヤルで存在を強調されたクロノグラフキャリバーが姿を表す。しかも裏面にも時刻表示が備わるうえに、6時位置には30分計のレトログラード表示も。これだけの多機能モデルで、300を超えるパーツ数を持ちながらも、手巻きの新ムーブメント「キャリバー860」は、厚さ11.14㎜のケースにしっかりと収まっているから驚きだ。

2023年、ジャガー・ルクルトはレベルソにおける黄金比の重要性を改めて提唱。近似値が1:1.68となる黄金比の長方形とは、長方形から短い辺を一辺とする正方形を切り取ると、残りの長方形の縦横比がオリジナルの長方形の縦横比と同じになる長方形のこと。1931年初代レベルソは、黄金比を原則として生まれた角形時計であり、そのオリジナルを色濃く継承した「レベルソ・トリビュート」には完璧なる黄金比が宿るという。その最新作は、ピンクゴールド製の新型ケースを採用。50個以上のパーツで構成される複雑な反転式ケースは、さらに1㎜薄くなり、ケースの厚さは7.56㎜となった。またサンレイ仕上げのブラックダイヤルを採用したことも、初代モデルへのオマージュ。シンプルなエレガンスで、レベルソの美しさを追求した。また同じピンクゴールドケースにバーガンディ、シルバーダイヤルを備えたモデルも発表している。

お問い合わせ:ジャガー・ルクルト公式サイト

 

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(文・構成/市塚忠義)