- 時計Begin TOP
- ニュース
- 余計なものは削ぎ落とす体脂肪「0%」の時計作り シチズン唯一の100%メカニカル・コレクション「Series 8(シリーズエイト)」とは?
2023.05.25
余計なものは削ぎ落とす体脂肪「0%」の時計作り シチズン唯一の100%メカニカル・コレクション「Series 8(シリーズエイト)」とは?
sponsored by CITIZEN
シチズンには、高精度を追求する「ザ・シチズン」や、厚さ1mmムーブメントの「エコ・ドライブ ワン」など、キャラクターの異なる独自ブランドが複数存在する。その中で、一際異彩を放っているのが、唯一の100%メカニカル(機械式)・コレクションの「Series 8」だ。「8」は90度回転させると「∞(無限)」。同社のモノづくりに対する無限の可能性を証明する伝道者として2008年に誕生した伝説のコレクションが、2021年に再始動を果たした。無駄を極限まで削ぎ落とす「引き算の美意識」は、今も健在。他の、どの時計とも異なる、モダンでスポーティな機械式時計を完成させた。
Talk about Series 8~「Series 8」について、語り尽くそう!
ムーブメント/ケーシング/デザイン
Talk about Movement~ムーブメントについて語ろう!
■機械式時計の天敵「磁力」も1万6000A/mまで耐える
機械式時計が故障する原因のトップは、「磁気帯び」による精度不良。100%メカニカルを宣言するこのコレクションは、まずその天敵をシャットアウト。ムーブメント自体に耐磁性能がそなわり、JIS保証水準の2種耐磁時計をクリア。1種が4800A/mなのに対し、2種は1万6000A/m以上の耐磁性能が要求される。磁気発生源から1cmまで時計を近づけても、ほとんどの場合で性能を維持することが可能なムーブメントを新開発して搭載。現代デジタル環境に負けないタフウォッチに仕上げている。
Q. どうやって、耐磁性をキープするのですか?
A. <開発者の声> 耐磁性を上げるには大きく分けて二つの方法があります。軟磁性体という磁気が流れやすい素材でムーブメントを包んで磁気を逃す方法と、ムーブメントの部品を磁化しにくい素材で造る方法です。Cal.0950は後者の方法を採っています。具体的には、機械式時計の精度を司るてんぷ周りにある、磁石の影響を受けやすいぜんまい等の部品を非磁性の材料に変更しています。細かな時計部品やぜんまいまで自社一貫製造できる世界でも数少ないマニュファクチュールであるシチズンだからこそ可能なアプローチです。
■微動緩急針の採用で、−5秒〜+10秒を実現
「870 メカニカル」が搭載する自動巻きのムーブメント「Cal.0950」は、シチズンが新たに開発した高性能機。てんぷの振り幅を調整する調速機構として、一般的な緩急針より、より微細な調整が可能な微動緩急針を採用することで、日差−5秒〜+10秒という高精度を実現している。
Q. どうやって、精度をあげたのですか?
A. <開発者の声> 「Cal.0950」はより高精度(日差−5~+10秒)を実現するために、構造のみならず組立工程にも変更を加えています。構造は、微動緩急針という調整機構を搭載しています。これは過去にThe CITIZENに搭載していた機械式ムーブメントでも採用しており、より細かな精度の調整が可能となります。また、アオリと呼ばれる、ぜんまいと緩急針という部品の隙間を1/1000mm単位で調整しています。組立工程では、エイジングと呼ばれる精度を安定化させる“慣らし”を行い、一般的な時計よりもさらに厳しい検査・調整工程を経ることで、高精度を実現しています。
■高いフィット感を達成する厚さ4.10mmの薄型設計
高い耐磁性能を備えていながら、「Cal.0950」の厚さは4.10mmに抑えられている。この薄型設計のおかげで、時計ケース自体の厚みも10.9mmと、非常にスリム。振動数は、毎時2万8800振動となり、最大巻き上げ時で約50時間のパワーリザーブを実現している。秒針停止機能に、瞬時に修正できる日付表示など、シチズン機械式ムーブメントの上級機として君臨している。
Q. どうやって、薄型を実現したのですか?
A. <開発者の声> 先にお答えさせていただきましたように、耐磁性を上げる構造には、磁気を逃がす素材でムーブメントをガードする方法と、ムーブメント自体を磁化しにくい素材で造る方法があり、前者は耐磁性能がないムーブメントをそのまま使用できるメリットがありますが、ムーブメントを覆う分、大きく厚く、結果として重くなりがちです。「Cal.0950」は後者の方法を採ることで耐磁性能を上げつつも、製品としてシャツの袖に収まるような実用的で着用感の良い厚みを実現しています。
Talk about Casing~ケースについて語ろう!
■実はかなり複雑な2ピース構造
「Series 8」のケースは、一見するとシンプルな丸形ケース。しかし、よく見てみると、通常の丸形ケースと、似て非なる構造を持っていることがわかる。ケースの3時位置と9時位置及び、文字盤外周部分にはカラーの異なる部分が存在する。これはグレーのメッキ加工を施したものだが、実は色を変えただけでなく、別体の2ピースで構成されている。この複雑な構造を採用することで、これまでの丸形にはないメリハリと、存在感が生まれている。
■大胆にカットされた多面構造と磨き分け
「Series 8」のケースを、あらゆる角度から覗き込んでみると、多くの「面」の存在に気づかされる。まるで金属の塊から削り出したかのような、エッジィなケース。極限まで贅肉を削ぎ落とした多面カットのケースは、その表面をツヤのあるミラー仕上げと、マットなヘアライン仕上げの磨き分けにより、面の力強さがより強調され、表情豊かなスポーツケースに仕上がっている。
Q. ケース磨きのこだわりを教えてください
A. <開発者の声> 直線的なケースラインは、金属の塊から削り出したかのようなソリッド感を意識しています。また、ヘアラインの仕上げについてもこだわっています。通常よりもやや粗目の番手を用いることによって光の反射量が増え、金属の質感が強調されます。ベゼルは2体構造とすることで、ブラック/シルバーで色調の区分けが可能となり、立体感のアップに貢献しています。隙間なく組み立てるためには、高い工作精度が要求されます。
Talk about Design~デザインについて語ろう!
■初代からブレない引き算の美意識
「Series 8」のデザインコンセプト、それは2008年誕生の当時から変わらず「引き算の美意識」を徹底すること。ダイヤルにもケースにも、いたずらに個性を「ひけらかす」要素は、何ひとつない。しかし、見れば見るほど新たな発見があるのは、デザイナーの並々ならぬこだわりが、ディテールに生かされているから。腕時計は、「足す」より「引く」方が、圧倒的に難しい。
■シンプルに徹底しながらも個性は残す
「Series 8」が目指した時計は、シンプルに力強く、そして大胆なこと。シンプルが際立つように、時を刻む時分針とバーインデックスは、太く直線的。ソリッドなケースもヘアライン仕上げを効果的に使うことで、見るからにギラついた印象はない。結果、エッジの効いた「金属感」が全面で表現され、この時計の個性を唯一無二なものとしている。
Q. デザインのコンセプト、もっと教えて
A. <開発者の声> 新しいブランドのフラッグシップモデルとして「モダン・スポーティ」をキーワードに、ケース全体で、とにかくシャープさを追求しました。ベゼルを2ピース構造としたのは、スタイリッシュな面構成を実現したかったからです。正面から見ると「U」字のベゼルが対になって向かい合っている形状となっていますが、これは反発しあうマグネットからインスピレーションを得た造形となります(耐磁機能を持ったムーブメントのため)。ウレタンバンドとの組み合わせで、平日だけでなく休日でも活躍する時計になったのではないでしょうか。
こちらはシルバーダイヤルのブレスレット仕様。「870 メカニカル NA1000-88A」。自動巻き。径40.8mm。SSケース&ブレスレット。10気圧防水。22万円。
ブルーダイヤル、ウレタンバンドの「870 メカニカル NA1005-17L」。自動巻き。径40.8mm。SSケース。ウレタンバンド。10気圧防水。20万9000円。
ダイヤルの個性を重視するなら「830 メカニカル」
ソリッドな金属と天然素材の競演
「870 メカニカル」が丸形なのに対し、「830 メカニカル」のケースは、8角形。搭載するムーブメントは、「870 メカニカル」と同じ「Cal.0950」だ。このモデル最大の特徴は、ダイヤルである。花模様のような金属プレートの下には、白蝶貝のダイヤルがセットされ、まるでオーロラのような光を放っている。この美しいダイヤルが、どの角度から見ても正確に映るよう、球面状のサファイアガラスの風貌は、両面に無反射コーティングが施されている。
このクオリティでこの価格は、奇跡!「831 メカニカル」
0.25秒刻みのインデックス
「Series 8」の最もスタンダードなモデルがこちら。8角形のケース形状、独特なリューズガードなどは「830 メカニカル」に同じ。ただし搭載するムーブメントは約42時間パワーリザーブの「Cal.9051」となる。注目は、その秒インデックスの緻密さ。肉眼では確認できないほどの「刻み方」でプリントされている。5分刻みの植字式インデックスの間の線を数えると「14」もしくは「15」もの細い線が描かれており、メタルのバーインデックスに下で隠れてカウントされる目盛りまで入れると、1つのメモリは「0.25秒」。これだけの線を正確にプリントできる技術がまず素晴らしいが、クオリティに妥協のないケース、ブレスレット、ムーブメントで10万円台前半を実現したことは、「Series 8」の誠意である。
お問い合わせ:シチズン シリーズ8 ブランドサイト
(写真/上野 敦 文・構成/市塚忠義)