2023.06.16

日本のこだわりを貫いた新ジャパン時計ブランド「MONOLITH」

建築家、窪田勝文と群馬精密がコラボレーション

長く時計業界に関わってきたものなら、この時計を見た時、それが「時計デザイナー」の仕事ではないことに、なんとなく気がつくはずだ。時計製作の「裏の裏」まで知りすぎってしまった時計専門デザイナーであれば、前例のないデザインを実現しようとすれば、すぐ「コストの壁」にぶち当たることを知っている。結果、今まで使われてきたデザインにアレンジを加えて落とし所を考えるのが妥当なのだ。

ジャパンメイドに徹底した新ブランド「MONOLITH(モノリス)」のデザインを監修した人物は、ミニマリズムの旗手として国内外で活躍する建築家、窪田勝文氏。非常に薄く繊細なベゼル、ダイヤルの見返し部分に設置されたインデックス、ラグなしでケースと一体化したストラップ……。建築家ならではのこだわりが満載だ。

「モノリスで私が目指したミニマリズムとは、ただ無駄を省いてシンプルにすることではありません。日本の伝統建築には、人間の内面と自然とを寄り添わせる美しさがあります。それこそがミニマリズムのチカラ。私が建築家として培ってきたものは、時計のデザインにも活かすことができます。無の境地をきわめた時、人知を超えたものが生まれるのです(窪田氏)」

境地をきわめようとするデザインを実現するには、並大抵な製作陣では太刀打ちできない。窪田氏の時計デザインをカタチにしたのは、やはり妥協のないものづくりで知られる老舗「群馬精密」だ。これまで多くの有名時計ブランドのOEM製作など、企画からアフターサービスまで一貫したサービスを提供している。チタニウムにブラックイオンプレーティングでマットコーティングしたケースや、漆黒塗装のダイヤルなどは、シンプル極まりないが、圧倒的な存在感を放っている。

このモダンなケースに搭載したムーブメントもまた、日本製。毎時2万1600振動の自動巻き、MIYOTA製キャリバー82S0を採用。何から何まで、日本製にこだわりぬいた新・時計ブランドが、今ここに誕生した。「モノリスもまた、ふと目にするたびに精神を活気づける存在でありたい。それが豊かな生活を送るきっかけになると、私は信じている(窪田氏)」

「MONOLITH」。自動巻き。径45㎜。ケース厚13.97㎜。チタンケース。ラバーストラップ。パワーリザーブ約42時間。10気圧防水。55万円。

 

お問い合わせ:MONOLITH公式サイト

(文・構成/市塚忠義)