2023.08.04

ブレゲの傑作クロノグラフに、ついに新世代モデルが誕生 「タイプ 20」と「タイプ XX」2つの名前がある理由とは?

生産終了から4年の時を経てカムバック!

(新登場した新世代の「タイプ XX」。左「タイプXX 2067 民間バージョン」。右「タイプ20 2057 ミリタリーバージョン」。ともに自動巻き。ケース径42㎜。SSケース。NATOストラップ。各258万5000円。)

ブレゲといえば、トゥールビヨンなどの複雑時計、そしてブレゲ針やブレゲ数字といったクラシックな意匠のタイムピースで有名だが、愛用者の多さでダントツの人気を誇っているモデルといえば、パイロット・クロノグラフの傑作「タイプ XX」である。

2019年、「タイプ XX アエロナバル」が生産終了となったことを残念に思った人も、きっと多いだろう。時計史に刻まれる傑作クロノグラフは、そのまま姿を消してしまうのか。いや、あの永世定番がなくなるなんて、ありえない。第四世代となる新たな「タイプ XX」がついに発表された。

(NATOとトラップの他に、写真のカーフストラップが付属。)

最新モデルを見ていく前に、この伝説のクロノグラフについて、名称(呼び方)をおさらいしておきたい。「タイプ XX」「アエロナバル」「トランスアトランティック」この3つの名称が、ごっちゃになっている人がいるかもしれない。念の為であるが「タイプ XX」は「エックスエックス」ではなく「トゥウェンティ」、つまり「20」を意味している。「タイプ 20」とは、フランス航空省が空軍のパイロットウォッチに制定した規格のこと。かつてのフランフ航空省は、航空機の計器パネルにセットされた時計などを数字で分類しており、「タイプ 11」や「タイプ 12」などは、ブレゲ社が最も多く供給して高い評価を得たコクピットクロックである。

軍用「タイプ 20」のオリジナル、ブレゲ品番はNo.7211。

1950年代に入ると、フランス航空省はパイロットに支給する高精度な腕時計が必要であると考えた。この時、未来の腕時計に与えられたコードネームが「タイプ 20」。ブレゲを含めた数社のブランドが「タイプ 20」の時計を製作して契約を結んだため、複数ブランドから「タイプ 20」と呼ばれる腕時計が誕生している。

民間用に作られた「タイプ XX」の初期モデル、ブレゲ品番はNo.2988。

その後ブレゲは、1952年にプロトタイプを提出。1953年にフランス航空技術局から承認されると1954年にフランス空軍から1100本の発注を受けることに。そして1955年に最初の「タイプ 20」を納品。この時計が初代「タイプ 20」ということになる。ブレゲは、このパイロット・クロノグラフ「タイプ 20」を2種類製作している。ダイヤルに「Breguet」のブランド名が入らない「軍用」と、ブランド名が入り回転ベゼルやインダイヤルの仕様を変更した「民間用」だ。軍用と民間用を区別するため軍用には「タイプ 20」、民間用には「タイプ XX」の名称を与えた。これらのモデルは現在、いずれも希少性が極めて高く、オークションで稀に見かけることはあっても、かなりの高額で取引されている。

新作の装着イメージ。左が軍用バージョン、右が民間用バージョン。

「アエロナバル」「トランスアトランティック」という言葉が使われるようになったのは、1995年に誕生した第三世代から。まず「タイプ XX アエロナバル(Ref.3800)」が誕生し、1998年になるとダイヤルの6時位置に日付表示が入る「タイプ XX トランスアトランティック(Ref.3820)」が加わった。トランスアトランティックは2018年に、アエロナバルは2019年に惜しまれつつも生産終了を迎える。

そしてついにベールを脱いだ第四世代。ポイントは先述した初代モデルの「軍用」と「民間用」の存在だ。新しい「タイプ XX」は、初代同様に2種類のタイプが用意されているのだ。「タイプ20  2057 ミリタリーバージョン」は、初代の軍用を受け継ぐモデル。スッキリとした2カウンターのクロノグラフで、溝を設けた回転ベゼルに刻まれたのは三角マーカーだけ。夜行塗料はミントグリーンだ。一方、民間用をモチーフとしたのが「タイプ XX  2067 民間バージョン」。インダイヤルは3カウンターとなり、回転ベゼルには三角マーカーの他に数字のインデックスも刻まれている。夜光塗料はアイボリー色。

新「タイプ 20(XX)」に搭載される新型キャリバー7281(728)。

このように外装は異なるが、搭載されているムーブメントの基本スペックは同じだ。シリコン製のひげゼンマイに毎時3万6000振動のハイビートを組み合わせた、新型のクロノグラフ・ムーブメントを搭載しており、パワーリザーブも60時間にアップしている。キャリバー名は軍用バージョンが「7281」、民間バージョンが「728」となる。ケースサイズ(径42㎜、厚さ14.1㎜)と、100m防水機能は、どちらも同じ。ストラップはカーフストラップとNATOストラップの2本が付属し、ボタン一つで簡単につけかけることが可能だ。

どちらを選ぶかは非常に悩ましい選択を迫られることになると思うが、今なら日本橋三越本店で、この2本の新作モデルの日本初披露イベント『Breguet 「Type XX」New Generation“The Stage”』が開催中だ。じっくり手にとって見比べて見たい人は、ぜひ足を運んでみて欲しい。

Breguet 「Type XX」New Generation“The Stage” 詳細

期間 2023年8月2日(水)〜8月15日(火)

会場 日本橋三越本店 本館1階ステージ

問い合わせ 日本橋三越本店 本館6階 ブレゲ ブティックTEL03-6665-0143(直通)

 

時計のお問い合わせ:ブレゲ公式サイト

文・構成/市塚忠義