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2024.02.29
着けて納得インプレッション! ティソ「PR516 クロノグラフ」
スペックがパワーアップした偏差値高めのクロノグラフ
ティソ「PR516」のクロノグラフ言えば、1970年代にルーツを持つモデルであることを、時計ファンならばご存知だろう。「PR」とは、「Particularly Robust(極めて頑丈)」の略。モーターレースが全盛期を迎える1960年代に誕生した「PR516」に加わった、レーシングスピリットに溢れるクロノグラフだった。
当時のモデルに搭載されていたのは、レマニア製の手巻きムーブメントであったが、この度ティソは、その手巻きクロノグラフをオマージュする新作クロノグラフを発表した。注目すべきは、その新作クロノグラフにも、いまとなっては大変希少な「手巻き」のクロノグラフ・ムーブメントが搭載されていることだ(ちなみにクォーツムーブメント搭載モデルも同時に3種発表)。
ベースとなっているムーブメントは、「バルジュー7753」。そこに特別な改良を加えた「ETA/バルジューA05.291」である。このキャリバーの搭載はティソにとって初。7750系ベースとは言ったものの、これまでのクロノグラフからは大幅なスペックアップが実現されている。
まずパワーリザーブ。この新キャリバーには「最長68時間」というパワーリザーブが与えられている。これは新たに設計されたバレルの構造によって実現されたという。さらに多くのムーブメントが精度を落とすパワーリザーブ最後の時間帯であっても高精度をキープ。日差±5秒の精度を保証している。
またひげゼンマイには「ニヴァクロン™️」が採用されており、現代生活環境では避けられない磁気帯び対策もばっちり。さらに耐衝撃性の対策として「NIVACHOC Aシステム」を新たに搭載。あらゆる衝撃から精度の安定性を守る。嬉しいことにシースルーバックが採用されているため、このメカニズムをじっくりと眺めることも可能だ。
外装に関しては、オリジナルモデルのデザインが、かなり忠実に再現されている。ベゼルに刻まれたタキメーターはブラック、パルスメーターはホワイトというユニークな配色(ともにスーパールミノヴァ®︎)。サブダイアルに一部採用されているブルーの配色もオリジナルからの意匠だ。クッション型ケースの形状、クロノグラフのプッシュボタンなども、1970年代のモデルそのものだ。
このように見どころ満載の手巻きクロノグラフは、なんと言っても、その価格が魅力的だ。値上げラッシュが続く時計業界で、こだわりまくりのメカニカル・クロノグラフが、いまだにアンダー30万円を実現している。これは奇跡的というよりは、ティソという巨人ブランドの良心なのだろう。
お問い合わせ:ティソ公式サイト
文・構成/市塚忠義