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2024.10.24
「時間」という沼に、あえてハマりたいなら「Seiko Seed」
多彩なクリエイターと時間のあり方について考える
「時間」とは、まったく不思議な概念である。我々の生活には欠かすことのできない、当たり前のように備わっている大前提。地球が生まれた瞬間から、地球に備わっていたかのように「身近」なものだが、「時間」そしてそれを知らせる「時計」は、人間が創ったものだ。
「時間は誰しもに平等」ともよく言うが、そうとも限らない。それは時間がどれも同じ「正確さ」を持っていたらの話。事実、日本はつい最近まで(明治になるまで)、太陽暦を採用する他の国とは違い、1日における1時間の長さが違ったのである。現代ではとうてい理解し難いが、個人が所有する時間が「機械式時計」だとしたら、今だって多少の誤差はまだ存在するのだ。
電波時計、GPS時計に囲まれていると、そんなことを考える「余地」すらない。1秒はどうやって生まれているのか、それはどうして正しいリズムで刻まれ続けているのか。「時間」とは、人類が築き上げてきた最も優れた英知なのである。
随分と前置きが長くなってしまったが、そんな壮大な世界を、思わず想像してしまう展示会が、原宿の「Seiko Seed」で開催中だ。ここは日本を代表する時計ブランドであるセイコーが、腕時計のあらゆる可能性を感じてほしいと、さまざまなアイデアや情報を発信している場所。「Seed」とは「Seiko Experience Engineering and Design」 の略であり、「エンジニアリングとデザインで 創り出した、腕時計の様々な楽しさを体験する場」 という意味が込められている。
その「Seiko Seed」で、2024年12月8日まで開催しているのが、セイコーの機械式腕時計の特性とムーブメントに込められた技術の可能性を伝える展覧会、「からくりの森」だ。実は、今回が3回目となる人気シリーズ。新進気鋭なアーティスト達が、独自の観点で「時間」を切り出した作品が展示されている。
今回の参加デザイナーは、セイコーウオッチのデザイナーの他、アーティストの小松 宏誠 (コマツ コウセイ) 氏、エンジニアリングデザイン集団のsiro(シロ)、SPLINE DESIGN HUB + siro(スプライン・デザイン・ハブ + シロ)の 3 組。メカニズムも、サイズも、動き方も、まるで異なるアーティスト達の想像力には、思わず時間を忘れてのめり込んでしまうだろう。
参加クリエイター
小松宏誠 | Kosei Komatsu
1981年生まれ。2004年武蔵野美術大学建築学科卒業、2006年東京藝術大学大学院修了後、アーティストグループ「アトリエオモヤ」のメンバーとして活動を開始。2014 年に独立。「浮遊」や「鳥」への興味からはじまり、 現在では「軽さ」「動き」「光」に着目した作品 を展開中。美術館での作品展示をはじめ、商業施設など大空間の空間演出も行う。2022年武蔵野美術大学建築学科特任准教授着任。http://kosei-komatsu.com/
小松宏誠の展示作品
siro
2015年に設立。展示を作る仕事を中心に様々なプロジェクトで、企画から設計、制作までを行う。得意とするのは体験の設計。「からくりの森」という展覧会をより良くするために、必要なメンバーが集結。siroの松山と片桐に加え、光学設計が得意な高田徹、文章を紡ぎ出すことが得意な渡辺浩彰の4 名で作品を作り上げた。 https://si-ro.jp
Siroの展示作品
SPLINE DESIGN HUB + siro
デザインとエンジニアリングの融合を目指すSPLINE DESIGN HUBとsiroのコラボレーションにより本プロジェクトに参加。外部メンバーも加えた総勢6名の精鋭チーム。それぞれが異なる専門分野を持っており、多彩なスキルを結集して「ロボティクスによる美しい動き」を追求。デザイナー、エンジニア、アーティスト、研究者が知恵を絞り、互いのアイデアを高め合いながら、新たなクリエイティブの可能性を探る。
SPLINE DESIGN HUB + siroの展示作品
セイコーウオッチ株式会社
1881年の創業以来「常に時代の一歩先を行く」という創業者の信条を貫き、国産初の腕時計や世界初のクオーツウオッチを発売するなど、革新的な商品を次々と世に送り出す。革新へのあくなき挑戦で、人々と社会に信頼と感動をもたらし、世界中が笑顔であふれる、感性的価値の高いものづくりを目指している。
seikowatches.com/
展示作品
■展示概要
からくりの森 2024
会期:2024 年 10 月 11 日(金)〜 12 月 8 日(日)11:00-20:00
※水曜日のみ 14:00 〜20:00
※入場は 19:45 まで 会期中無休
会場:Seiko Seed
東京都渋谷区神宮前 1-14-30 WITH HARAJUKU 1F
TEL:03-6271-5061
入場料:無料
主催:セイコーウオッチ株式会社
参加クリエイター:小松宏誠、siro、SPLINE DESIGN HUB + siro、セイコーウオッチ株式会社
プロデューサー:桐山 登士樹 (TRUNK)
文・構成/市塚忠義