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2025.02.12
レイモンド ウェイル「ミレジム」に初の日本限定モデル
ビンテージの名店「シェルマン」と異例のコラボ

「ミレジム センターセコンド シェルマン リミテッド エディション」。2925-STC-JAP01。自動巻き。径39.5㎜。SSケース。カーフレザーストラップ。5気圧防水。シェルマン限定30本。30万8000円。
今はもうなくなってしまったが、世界最大級の高級時計見本市バーゼルワールドを古くから取材していた者なら、不思議に感じていた時計ブランドがあったはず。それがRAYMOND WEIL(レイモンド ウェイル)だ。
バーゼルワールドのメインステージである「1階」に巨大なブースを構えながらも、日本への正式な上陸はなし。極めて高額と言われていたバーゼル1階の出展料を支払うグローバルブランドで、日本への展開がなかったブランドは、ココぐらいである。
創業は1976年。クオーツショックの最中に立ち上がったスイス伝統の機械式時計ブランドは、いまだに家族経営を貫くスイスでも稀有な独立系ブランドだ。高いクオリティに対し、手の届きやすい価格帯。もし日本に入ってきたら「売れるだろうなぁ〜」と思いながら、ショーケースの時計を見ていた関係者も多いはずだ。
そんなレイモンド ウェイルが、満を辞して日本導入されたのが2017年。それだけにブランドの認知度は、まさにこれから。しかし、そんな状況に大きな転換期となる出来事が。2023年11月に開催されたGPHG(ジュネーブ・ウォッチメイキング・グランプリ)において、同社の「ミレジム」がチャレンジウォッチ賞を受賞したのだ。
「ミレジム」とはフランス語でビンテージの意味。1930年代に見られる古典的なディテールを絶妙にアレンジしたレイモンド ウェイルの定番コレクションだ。基本に忠実な3針モデルは、その高い完成度と良心的な価格帯(チャレンジウォッチ賞には時計の価格に上限がある)で、見事に栄光を勝ち取ったのである。
すると日本の時計ファンの間でも、人気が急上昇。特に、ビンテージやレトロテイストが好きな人の間では一目置かれる存在となった。だいぶ前置きが長くなってしまったが、本題はここから。その「ミレジム」に初の日本限定モデルが誕生したのだ。
この日本限定モデルが販売されるのは時計専門店「シェルマン」のみ。「シェルマン」と聞いて「え?」と思った方も多いだろう。シェルマンといえば、日本を代表するビンテージ時計が中心の専門店。こだわりの年代物が並ぶ専門店として有名だ。その名店と、現行スイスブランドのコラボレーションによって、限定30本のミレジムが誕生したのだ
選ばれたダイアルは、かつてない上品な味わいのシャンパンゴールドカラー。外側から秒インデックス、分インデックス、アワーインデックスと段階的にメモリのサークルが分けられ、それに合わせシャンパンゴールドのカラートーンも変えられている。
ミレジムの代名詞であるセクターダイアルは、もちろん健在。ダイアルで唯一、アラビア数字を採用した「12」のインデックスが存在感を放つ一方、ブランドロゴはアンスラサイトカラーで主張控えめにしたところも、極めて通好みだ。
個人的に好感が持てたのは、直径39.5㎜という程よいケースサイズ。「まんまビンテージ」な小径サイズを採用するのではなく、現代時計ボリュームをキチンと盛り込んでいる点だ。ケース厚は9.25㎜と薄型。ボックス型サファイアクリスタル風防とのマッチングも完璧だ。
日本の機械式時計市場は、世界的に見ても非常に成熟していて「ビンテージ」と「現行品」の境界線がはっきり分かれている。特に販売店においては顕著で、両者がコラボレーションすることは極めて稀。しかし世界を見渡せば、こうしたケースは決して珍しくない。
時計愛好きにとっては、「古いもの」も「新しいもの」も関係ない。特にビンテージウォッチの延長線上にある最新モデルなどは、気になって仕方ない存在だ。歴史を繋ぐ「レイモンド ウェイル」と「シェルマン」のような関係性が、もっと日本でも定着して欲しいと、願うばかりである。
なお、このシェルマン限定モデルのミレジムの発売は、2025年3月1日。シェルマン銀座三越店、日本橋・三越店、新宿・伊勢丹本館店のみの取り扱いとなり、現在各店舗で実機を見ることができる。
商品の問い合わせ:シェルマン公式サイト
文・構成/市塚忠義