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2025.02.27
タグ・ホイヤーといえば、やっぱりクログラフ!
LVMH Watch Week 2025 注目の新作
大きな進化を遂げた「フォーミュラ1」

「タグ・ホイヤー フォーミュラ1 クロノグラフ」。CBZ2085.FT8093。自動巻き。径44㎜。チタンケース(ブラックDLCコーティング)。ラバーストラップ。200m防水。73万7000円。
モータースポーツの頂点に君臨するF1(フォーミュラ1)。そのスピード感にあふれる世界観を全身で表現するコレクションが「タグ・ホイヤー フォーミュラ1」だ。1986年に誕生したこのコレクションは、タグ・ホイヤーにとって、特別な存在。それまでのホイヤー社がTAGグループの傘下となり、「タグ・ホイヤー」というブランド名で初めて発表した時計が「フォーミュラ1」コレクションなのである。新作紹介の1本目は、まずこの「フォーミュラ1」から。カレラやモナコといった歴史的なコレクションとは違い、「フォーミュラ1」は、現代技術の最先端を味わえる内容が魅力。この新作もまた、モータースポーツのディテールを大胆に取り入れて、大きな進化を遂げている。
特に注目したいのが、ケース。正面から見ると通常の丸形のように見えるが、ケースサイドから見ると、非常に複雑な形状をしているのがわかる。これはF1マシンの空力性能に優れるラインを表現しているという。ケースの素材は、チタン。その上部に取り付けられたベゼルはアルミニウム製だが、サイドにはマイクロパンチング加工が施されており、F1マシンのブレーキディスクのデザインをさりげなく取り込んでいる。ケースとベゼルの間には、大胆にカラーリングしたジョイントパーツが設けられており、時計を横から見た時の差し色になっているのも高得点だ。またダイアルにセットされた8本のアワーインデックスをよく見ると、F1マシンのフロント形状を模しているのが分かる。公式な情報ではないが、指がかりが良さそうなクロノグラフのプッシュボタンも、どこかF1マシンのボディのように見えるのは、気のせいだろうか。モータースピリットを巧みに取り入れたディテールの数々は、時計ファンはもちろん、モータースポーツファンにもたまらない内容。新作は、カラーバリエーションで4種(写真の赤レッドの他に、ライムラッカー、ブルーと、ブラックDLCではないチタンケースのレッド)と、オラクル・レッドブル・レーシングの特別モデルが用意されている。

「タグ・ホイヤー カレラ トゥールビヨン クロノグラフ」。CBS5017.FC6605。自動巻き。径42㎜。SSケース。カーフレザーストラップ。100m防水。481万2500円。
ケースの形状や素材で訴求した「タグ・ホイヤー フォーミュラ1」の新作に対し、斬新なカラーリングで魅せる新作が、この「タグ・ホイヤー カレラ トゥールビヨン クロノグラフ」である。ダイアルカラーに選ばれたのは、スモーキーなパープル。ダイアル中央に向かって色が薄くなるグラデーションのパープルダイアルは、2022年に発表された「タグ・ホイヤー モナコクロノグラフ」で採用され、大きな話題になった色。それはかつてのモナコが真鍮製ダイアルの上にメタリックブルーを塗布しており、それが経年変化でブルーからパープルに近いカラーになることを意図的に表現したものだった。そのモナコゆかりのパープルを、カレラの“グラスボックス”デザインに組み合わせたというわけだ。個人的には、直線的でシャープなモナコより、官能的で美しいカーブ曲線を持つカレラの方が、このスモーキーパープルが完璧にマッチしているように思える。
もともと、パープルは時計のダイアルカラーに多用される色ではない。しかし、今回初めて気がついたが、ムーブメントの「受け」などに使われる人工ルビーは赤系。この新作トゥールビヨンでも、6時位置にセットされたトゥールビヨンの中心にあるインカブロックや、アンクルのツメ石の色と、このパープルダイアルは完全に調和しているではないか。さらにパンチング加工のブラックレザーストラップの裏面も、パープルのカーフスキンライニングを施すなど、見えない部分にまでパープルへの気配りは、抜かりなし。2022年の「タグ・ホイヤー モナコクロノグラフ」は世界限定500本であったが、こちらの「タグ・ホイヤー カレラ トゥールビヨン クロノグラフ」は、世界限定200本のみ。さらにレアピースとなりそうだ。

「タグ・ホイヤー カレラ クロノスプリント × ポルシェ ラリー」。CBS2015.EB0381。自動巻き。径42㎜。SSケース&ブレスレット(カーフレザーストラップ付属)。100m防水。153万4500円。世界限定911本。
タグ・ホイヤーとポルシェのセンセーショナルなコラボレーションから、早いもので、もう5年。しかし、両者が苦難の道のりをともにしてきたパートナーシップの歴史は、最近始まったものではない。ここに紹介する最新のコラボモデル「タグ・ホイヤー カレラ クロノスプリント × ポルシェ ラリー」は、ポルシェがタグ・ホイヤーとともに活躍した1965年のラリー・モンテカルロをオマージュするものである。この大会でポルシェは、新型の911をレースデビューさせる。市販車ベースのポルシェ911は、本格的なレース仕様として開発されたわけではなかったが、大方の予想を上回る活躍を見せた。

カーナンバー147のポルシェ911。
そのカーナンバー147の車内で、正確な時を刻んでいたダッシュボードタイマーが、ホイヤー社の「ホイヤー マスタータイム/モンテカルロ」ストップウォッチ。新作クロノグラフのダイアル右側のフリンジにデザインされた赤い線は、カーナンバー147のポルシェが、大会中に記録した時速0kmから100kmへの到達時間8.4秒に敬意を示したもの。しかし、この視覚的な演出が単なるギミックだけに終わっていないところが、タグ・ホイヤーがクロノグラフのパイオニアと言われる所以。なんとこのクロノグラフ秒針は、最初のスタート時15秒だけ加速して動き、徐々にゆっくりとスピードが変化。結果的にピッタリ1分で1周するという世界初のクロノグラフ・ムーブメント「キャリバーTH20-08」を搭載している。

ポルシェのダッシュボードに取り付けられた「マスタータイム」と「モンテカルロ」。
ちなみにこのムーブメントは、2023年に「カレラ」と「ポルシェ911」の誕生60周年を記念したモデルで初搭載されたもの。またオリジナル911のステアリングホイールの色は、時計のダイアルでベージュのマーキングとして採用され、その形状はムーブメントのローターで表現するなど、911ファンにはたまらないディテールが満載。なお、このコラボモデルには911本世界限定のSSケースモデルと、11本限定の18KYG(3N)ケースモデルの2種が同時に発表されている。
問い合わせ/タグ・ホイヤー公式サイト
文・構成/市塚忠義