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2025.03.14
【螺鈿(らでん)】文字盤おさらい解説vol.16「動画で魅せる時計図鑑」
螺鈿(らでん)文字盤とは?
カンパノラ
メカニカル コレクション「暈響(かさねきょう)」
匠の技が光る幻想的な螺鈿工芸のラグジュアリー文字盤
今回紹介する文字盤の中で“螺鈿(らでん)”というワードはもっとも耳なじみがないかもしれない。なぜなら、この技術を採用した時計の文字盤は非常に数が少ないからだ。螺鈿を簡単に説明すると、貝殻を漆器などにはめ込む装飾法である。歴史的には古代メソポタミアや中国で生まれ、唐代に発展し、奈良時代に日本に渡ってきた。わが国でも平安時代以降、漆塗りや蒔絵と併用することでおおいにもてはやされた。江戸時代には生島藤七、青貝長兵衛といった高名な螺鈿職人も生まれ、国宝級の螺鈿工芸品も多い。また、夜光貝や白蝶貝などを使用するが、先述したように、漆塗りと組み合わせるのがマザー・オブ・パール(MOP)文字盤との大きな違いといえる。

【カンパノラ メカニカルコレクション「暈響(かさねきょう)」】カンパノラの誕生20周年を記念したモデル。会津漆器の伝統工芸士・儀同哲夫氏による螺鈿文字盤を採用し、12時位置にビッグデイト、6時位置に最大42時間分のパワーリザーブ表示を備える。ラ・ジュー・ペレ社製の機械式ムーブメントを搭載。自動巻き。径42mm。SSケース。ワニ革ストラップ。3気圧防水。110万円。
カンパノラのメカニカルコレクション「暈響(かさねきょう)」は、数少ない螺鈿文字盤を取り入れた高級時計である。この文字盤を手がけたのは、会津漆の伝統を守る匠、儀同哲夫氏。文字盤のベースとなる部分に漆塗りを施し、外周部を含め、切り貝をひとつ一つ丁寧にはめ込んで丹精に磨き上げる。それらすべての工程は手作業であり、2つと同じ顔がないまさに工芸品だ。光を受けて万華鏡のように煌めく文字盤は幻想的で、誰もが思わず見惚れてしまうだろう。内部にはスイスの名門ムーブメントメーカー、ラ・ジュー・ペレ社が製作した機械式キャリバーが搭載され、2枚のディスクで表示するビッグデイトや巻き上げ残量を示すパワーリザーブ表示も装備。希少な伝統工芸と精巧な時計技術が融合した唯一無二のラグジュアリーウォッチなのだ。

漆塗りベースの多層プレートに、手作業でひとつ一つ貝殻を施した螺鈿文字盤。光の当たり方によって万華鏡のように表情を変えて煌めくさまが美しい。12時位置には大型日付表示のビッグデイトも。

本作の螺鈿文字盤を担当した儀同哲夫氏は、昭和23年、福島県会津若松市生まれの伝統工芸士。平成14年よりカンパノラの漆塗り文字盤の製作に携わり、令和元年には瑞宝単光賞を受賞している。

文字盤センターのみならず、外周部のインジケーターにも螺鈿細工をセット。もちろんこちらもすべて手作業で施した。細部までしっかり作り込まれているのがラグジュアリーウォッチたるゆえんだ。

スイスの名門ラ・ジュー・ペレ社が手がけた自動巻きキャリバーを搭載。裏面に採用したシースルーバックを通し、心臓部が精緻に作動する様子やコート・ド・ジュネーブ装飾入りローターなどが鑑賞できる。
〈ブランド解説〉
カンパノラは2000年に誕生。腕時計を時刻を知るだけの道具ではなく、“時を愉しむ、日常を愉しむ、個性を愉しむ”ためのツールとしてとらえ、最新技術と日本の匠の技を融合した独創的モデルを展開。「宙空の美」を表現した多層構造の文字盤デザインを特徴とする。近年はメカニカルコレクションも充実。
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写真・動画撮影/岸田克法
文/岡崎隆奈
動画編集/中村重樹(時計Begin編集部)